原題:Gaudi Afternoon

大人のためのちょっと不思議なハートフル・ストーリー

2001年/アメリカ=スペイン合作/93分/35mm/シネマスコープ/ドルビ−SRD 配給:東芝デジタルフロンティア

2002年12月21日よりDVD発売開始 2002年6月22日より新宿テアトルタイムズスクエアにてロードショー公開

公開初日 2002/06/22

配給会社名 0238

公開日メモ バルセロナに住む、アメリカ人翻訳家カサンドラ。謎の女フランキーから「失踪した夫を探して」と依頼を受け、高いギャラに目が<らみ引き受けてしまう。ところが!調べるうち、家族の秘密が次々と明らかになる。

解説


◆だれもが人生模索中!

バルセロナに住む、アメリカ人翻訳家カサンドラ。謎の女フランキーから「失踪した夫を探して」と依頼を受け、高いギャラに目が<らみ引き受けてしまう。ところが!調べるうち、家族の秘密が次々と明らかに。女が男で、男が女。妻が夫で、夫が妻?一体、、誰と誰が愛し合っている?果たして彼女は、フランキーの夫をさがし出し、事態を収拾できるのだろうか? 物語が進むほど、事態は刻々と変化をみせる。今、私たちが見ているものは、本当に真実?思い込んでいることは、正しいこと?本作は、時に笑いを織り交ぜて私たちを混乱させながら、そんな問いを投げかける。 同時に、崩壊しかけた家族の再生を見つめながら、カサンドラ自身も自分の殻を打ち破ってゆく。彼女が抱える“母と娘”の確執や問題が、手掛けている翻訳本に、託されているのも見逃せない。フランキーの娘デライラと接することで、自分の過去を振り返り、母の愛に気付かされる瞬間も徴集ましい。みんな誰もが悩みや秘密を抱え、それでも自分らしく、幸せになろうと人生を模索している。全登場人物を愛で包んだ本作は、ユニークでビビットな人間ドラマなのだ。 ◆まるでガウデイ作品のような映画! 舞台となるバルセロナ、天才建築家ガウディや異色の天才画家ダリが生まれ育ち、そしてあのピカソまでが多感な時期に移り住んで過ごした街だ。まるで街全体が美術館みたいな雰囲気で、独特のエネルギッシュな空気がみなぎっている。 中でもガウディの建築物は、要所要所で登場する。特にハミルトンのアパート、カサ・ペドリョの内部を見られるのは貴重!一見奇抜に見える複雑な様式のガウディ建築は、様々な装飾や要素が寄せ集められているが、実は見事な調和をなしている。自然界の動植物から発想を受け、天空や神をモチーフにした、実はいたってシンプルなもの。多様される曲線からは、生命力がほとばしる。 そう、一見奇抜で複雑なキャラクターが寄り集まって物語を織り成す本作は、まさにガウディ建築そのものなのだ! ◆ユニークな視点で女性を描き続けるスーザン・シーデルマン監督 監督のスーザン・シーデルマンは、『マドンナのスーザンをさがして』(89)や『シー・デビル』(89)などを代表作に持つ女性監督。最近は大ヒットTVシリーズ『SEX AND THE CITY』の演出も手掛けるなど、活躍は多岐にわたる。また、4月末より公界の『アート・オブ・エロス』で、ブレイク寸前のミラ・ソルヴィーノを主演に撮っているなど、女優の発掘における洞察眼も鋭い。女性ならではの感覚を、ユニークに調理する才能は、本作でも見事に発揮されている。 また、現代における家族のあり方にも光を当てる。家族の崩壊や再生を描く中で、新しい家族の形を手探りしてみせる。父と母の逆転家族、男っ気なしの女ひとり、子だ<さんの半母子家庭。それぞれに温かで肯定的な視線を送っているのも、スーザン監督ならではだろう。 ◆4人のトップ女優が大競演! この一見奇抜な物語に負けない、個性的な女優たちがここに集結した。カサンドラを賞じるのは、『インドヘの道』(84)及び『夫たち妻たち』(92)で、2度アカデミー主演女優賞にノミネートされたジュディ・デイヴィス。化粧っ気のない男勝りの、しかし傷つきやすい繊細さをのぞかせた妙演は、カサンドラの人間的な魅力をより深いものにしている。 フランキーを演じるのは、『Pollock(未)』(OO)でアカデミー賞肋演女優賞を受賞し、『スペース・カウポーイ』(OO)の女医役も記憶に新しいマーシャ・ゲイ・ハーデン。美女ながら実は男で、服装倒錯者の上、性倒錯者という役にピタリとはまってみせる。 ペンには、インディペンデント映画の女王リリ・テイラー。喧嘩っ早い少年のような服装倒錯者の女役も、やはり見事。 エイプリルを演じるのは、復活目覚しいジュリエット・ルイス。本作ではレズビアンのニンフォマニアを伸び伸びと演じている。これら実力も個性も傑出している女優たちの競演も大きなみどこらとなるだろう。

ストーリー



18歳でミネソタの家を飛び出して以来、世界中を転々としているカサンドラ(ジュディ・デイヴィス)は、現在バルセロナで、ラテンアメリカ文学の翻訳をして暮らしている。しかし、“女帝と娘”という母娘物語の翻訳が、なぜかなかなか進まない。煮詰まっていた時、見知らぬ女性が突然彼女を訪ねてくる。危険な香りのするフランキー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)というその女性は、“ある人を探してほい”と依頼する。一旦は断ったものの、高い報酬に心が揺れ、結局カサンドラはその依頼を受けることに。
探すのは、2年前に失踪したフランキーの夫ベン。早速彼女は張り込みを開始し、ペンとおぼしき人物らの撮影に成功する。どうやら男(クリストファー・ボウエン)と、ボヘミアン風の(ジュリエット・ルイス)、そして少年のような女(リリ・テイラー)の3人は、一諸に暮らしているらしい。
写真を見たフランキーは、すぐさまペンだと確認し、カサンドラに小切手を渡す。とこらが同じ日、トイレで、立ったまま用を足すフランキーの姿を目にして、愕然とするカサンドラ。何と、フランキーは男だったのだ!その上、フランキーから受け取った小切手が、不渡小切手だと発覚する。騙されたと怒り狂い、彼女はホテルに駆け付けるが、フランキーは既にチェックアウトした後だった。
そこで、フランキーが接触するに違いないペンを見張ることに。やがて、3人と知り合いになってしまったカサンドラは、ボーイッシュな女がペンであることを知る。男の名はハミルトン、ボヘミアン女はエイプリル。ハミルトンのアパートに、ペンとフランキーの娘デライラも一緒に、2人が居候させてもらっているのだ。ペンとエイプリルは、現在恋人同士。ペンはレズビアンで服装倒錯者だという。そしてフランキーは、服装倒錯に加え、性倒錯者でもあることを聞かされる。大学時代に、ベンとフランキーは性向を越えて結婚し、しばらくは上手くいっていたが、フランキーが性転換を決意したことが原因で離婚。ペンがデライラの親権を得たのだった。だから今、フランキーがデライラを取り戻そうと、バルセロナまで追いかけて来ているらしい!妙にデライラになつかれてしまったカサンドラは同様を隠せない。
やがて全てを観念したのか、フランキーから、カサンドラに「ひとりでガウディの聖堂へ来て」と電話がかかる。カサンドラは、現金で報酬をもらい直し、フランキーの真意を聞く。涙ながらにデライラヘの母性愛(!)を語るフランキーは、ベンと2人で話し合う段取りをしてほしいと懇願する。
ところが当日、フランキーはペンをすっぽかし、ハミルトンの家に忍び込む。そしてデライラをさらって逃げてしまう…

スタッフ

タイトル・デザイン:ホアン・ガッティ
キャスティング:ケリー・ハーデン(USA)、ペブ・アルメンゴル(SPAlN)
音楽:ペルナルド・ボネッツイ
プロダクション・デザイン:アンチョン・ゴメス
編集:ディァドレ・スレヴィン
編集コンサルタント:クレイグ・マッケイ,A.C.E.
撮影監督:ホセ・マリア・シビット
原作:バーバラ・ウィルソン
脚本:ジェームス・マイヤー
アソシエイト・プロデューサー:ナディン・ルケ
ライン・ブロデュ一サー:フリーダ・トレスプランコ
共同ブロデューサー:ジェー一ムス・マイヤー
製作総指揮・監督:スーザン・シーデルマン

キャスト

カサンドラ:ジュディ・デイヴィス
フランキー:マーシャ・ゲイ・ハーデン
ペン:リリ・テイラー
エイプリル:ジュリエット・ルイス
デライア:コートニー・ジンズ
カルメン:マリア・バランコ
ハミルトン:クリストファー・ボウエン
パコ:ペプ・モリナ
ファン:ビクトル・アルバロ

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