原題:IRIS

幾千の言葉を失って、私たちはやっと愛に辿り着いた。

第74回アカデミー賞最優秀助演男優賞(ジム・ブロードベント)受賞!

2002年1月18日イギリス初公開

2001年/イギリス・アメリカ/カラー/91分/Dolby Digital / Dolby 配給:松竹

2003年06月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年06月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年12月7日よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー公開

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公開初日 2002/12/07

配給会社名 0003

公開日メモ 幾千の言葉を失って、私たちはやっと愛に辿り着いた…数々の映画賞に輝く、真実のラブ・ストーリー

解説



●幾千の言葉を失って、私たちはやっと愛に辿り着いた…数々の映画賞に輝く、
真実のラブ・ストーリー
終わりがくるのなら、消えてしまうのなら、それは元々愛とは言えないのかもしれない。観る者にそんな思いを抱かせるほど、深く強い愛を描いた感動が誕生した。積み重ねる歳月と共に形はさまざまに変わりながらも、永遠に続く愛がここにある。それは昔話でもなければ、お伽話でもない。現代を生きる男女が幾多の運命を乗り
越えて結び合った魂の絆の物話なのだ。
主人公は、「イギリスで最も素晴らしい女性」と形容される実在した作家で哲学名のアイリス・マードックと、その夫で同じく作家であり、文芸評論家のジョン・ヘイリー。ションがアイリスについて綴り、イギリスでベストセラーになっている原作を元に監督のリチャード・エアとチャールズ・ウッドが脚本を書き上げた。アイリスは、作家としても一流だったが、自由を愛し既成概念に捕われない並外れたパーソナリティの持ち主で、イギリス女性のアイコン
的存在でもあった。常にその奔放な言動で周りを驚かせ、時代の先頭を走っていた。
描かれるのは、アイリスとジョンの共に過ごした40年間。1950年代、二人はオックスフォード大学で出会う。一目でアイリスの全てに恋をしたジョンは、ひたすら彼女を追い求める。恋愛経験豊富なアイリスは、複数の恋人と付き合いながら、ジョンの純粋さに惹かれ始める。やがて本当の自分を理解してくれるのはジョンだけだと気づいて彼と結婚、その後は次々と小説を発表し、文学界の寵児となる。
そして現在。歳月を経て、二人の愛は穏やかに深まっていた。ジョンはイギリスの知性を支えながら自由な精神は変わらないアイリスを心の底から敬愛していた。そんなある日、アイリスに現代の医学ではどうすることもできない、アルツハイマーという悲しくかつミステリアスな運命が降りかかる。時にくじけそうになりながらも、持ち前のユーモアを忘れずに酷薄な運命に愛だけを武器に立ち向かうジョン。それは、人はどこまで人を愛せるのかという永遠の問いかけへの、傷だらけだが美しい回答だった。
●一人の人物をアカデミー賞受賞俳優が演じ分ける豪華で賛沢な競演の実現
現在と若き日のアイリスを、木作でアカデミー賞助演女優賞とゴールテングローブ賞最優秀主演女優賞、アカデミー賞助演女優賞とゴールデングローブ賞最優秀助
演女優賞に各々ノミネートされたシュディ・デンチとケイト・ウィンスレットが演じわける。『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジュディ・デンチは、名実共にイギリスを代表する大女優。作家であるアイリスにとって、言葉を紡ぐことは仕事である以上に人生そのもの。まさに命である言葉をなくしてしまう恐怖と苦しみを細やかな表情やしぐさで表現。彼女をして「今までで一番大変な仕事」と言わしめたアルツハイマーが進
行してからの演技も胸に迫り、恐れなくとも病気と共に生きることもまた人生なのだと私たちに勇気を与えてくれる。
「タイタニック」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたケイト・ウィンスレットは、素晴らしい知性と魅力的な容姿をあわせ持ち、どんなに多くの恋愛を経験しても、その純粋さには一点の曇りもない若き日のアイリスを生き生きと演じた。本作は、間違いなく彼女の代表作となるだろう。
ジョンもまた、現在と若き日を『ムーランルージュ』のジム・ブロードベンドと、『ノッティングヒルの恋人』のヒュー・ボナヴィルが演じわけている。ジム・ブロードベントは、瓢々として立居振舞に常にユーモアを漂わせながらも、次第に病に蝕まれていく妻を大きな愛で包み込む夫を熱演し、見事アカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞を受賞した。
●イギリス演劇界の重鎮、リチャード・エアの下に超一流スタッフが集結
監督は、自ら脚本も担当したイギリス演劇界の重鎮、リチャード・エア。ロイヤルナショナルシアターの芸術監督を務め、「三文オペラ」「リチャード三世」「ハムレット」などの舞台で、数々の賞を受賞している。アイリスとジョンの過去と現在をテンポよく行き来することによって、二人の切っても切れない愛の絆の秘密を、まるで少しずつ謎解きをするかのように見せていき、熟練した手腕を発揮した。また、記憶をなくし、言葉も失うというアルツハイマーの症状にも真っ向から取り組みながら、苦しみはあっても悲惨さはないという稀有な表現を成功させた。アルツハイマーの描き方に温かい視線と希望を感じさせるのは、自身の母親も同じ病を患っていたことと少なからず関係があるだろう。近年はオペラの演出も手がけ、日本でも9月に「フィガロの結婚」の上演が決まっている。
川や海などアイリスとジョンが大好きだった自然の風景を瑞々しく切り取った撮影のロジャー・プラットは、『ことの終わり』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされ、その後も『ハリーポッターと賢者の石』『ショコラ』などの話題作を手がけている。音楽では、世界的に人気の高い若手ヴァイオリニスト、ジョシュア・ヘルの参加も大きな話題になっている。また、映画界の重鎮、『愛と哀しみの果て』のシドニー・ポラックと『イングリッシュ・ペイシェント』の名匠アンソニー・ミンゲラが製作総指揮を務めている。

ストーリー



その日、アイリス・マードック(ジュディ・デンチ)は、夫のジョン・ヘイリー(ジム・ブロードベンド)と母校のオックスフォード大学サマヴィル校のチャリティディナーに主賓として招かれる。校長はアイリスを哲学者であり、26冊の本を書いた文学者と、またジョンを有名な文学教授だと紹介する。
アイリスは「精神の自由こそ何よりも大切な宝物」だと語り、アイルラント民謡の「ラークイン・ザ・クリア・エア」を歌う。型破りのスピーチに、親友のジャネット・ストーン(ぺネロープ・ウィルトン)は微笑み、皆は驚きつつも賞賛の眼差しでアイリスを見つめる。傍らのジョンは誇らしげに彼女の歌声に耳をかたむけながら、遠い昔を思い出す。
オックスフォード大学で講師と指導教官を務める若き日のアイリス(ケイト・ウィンスレット)とジョン(ヒュー・ボナヴイル)。アイリスは、知性とウィットに富んだ熱弁と、魅力的な容姿で常に周囲の注目を集めていた。一方、あまり目立たない存在だったジョンは、アイリスと初めて言葉を交わした時から彼女に恋をする。二人が友達になってまもなく、アイリスはジョンに小説を書いたと打ち明ける。
 現在。二人はスーパーマーケットで言葉の遊びを楽しみながら買い物をし、いつものようにパブに寄る。そこでアイリスは、自分が同じ言葉を繰り返したことに気づくが、ジョンはよくあることだと片付ける。しかし、アイリスは以前は決してなかったスペルの間違いなど、自分の頭脳に何かが起こり始めていることを予感する。
 若き日の二人。ダンスパーティヘ行った帰り、アイリスはジョンの部屋へ寄る。二人はシャンペンを開けて初めてのキスを交わす。
 現在。アイリスはBBCのテレビスタジオでインタヴューを受ける。司会者の質問に答えるアイリス。突然、彼女は言葉につまる。自分が何を話していたか全くわからなくなってしまったのだ。別の日、アイリスはパニック状態で帰宅する。ロンドンまで
出かけたが、何をしに出かけたのか忘れてしまったのだ。ようやくアイリスの異変に気づいたションは、自宅に医師を呼ぶ。医師はいくつか質問するがアイリスは首
相の名前すら答えられない。精密検査を受けた結果、アイリスはアルツハイマーだと診断される。現代の医学では治療することはできない。アイリスは恐れながらも覚悟を決めるが、言葉を紡ぐことに天性の才能を持つ彼女が言葉を失ってしまうという事実を、ジョンはどうしても受け人れることができない。
 若き日の二人。ジョンはアイリスに誘われるまま、彼女の友人モーリス(サミュエル・ウェスト)の家へ行き食事を共にする。アイリスとモーリスは関係があるらしく、モー
リスはジョンに嫉妬するが、彼は気丈に紳士的にふるまう。アイリスもそんなジョンに愛情を感じ始めていた。彼女はジョンを自分のアパートに誘い、自分の書いた小説を渡し、寝てもいい頃だとベッドに誘う。ジョンにはそれが初めての体験だった。
 現在。アイリスの症状は進行する一方だ。ジョンはそんなアイリスに、ついイライラして当たってしまい、自己嫌悪に陥る。病院でアイリスの脳のスキャン写真を見せられるジョン。脳が萎縮して空洞ができている。ジョンは自分が愛したアイリスの輝くような知性が、消えていきつつあることをようやく認め始める。ジョンはアイリスを連れてジャネットと二人の娘が住むサ
フォーク海岸へ出かける。実はジャネットも重い病気にかかっているのだが、なんでもないように振る舞っていた。アイリスはほとんど会話できなかったが、突然ジャネットに「天使が見える。あなたよ」と囁く。ラジオの音楽にあわせて踊る二人は、これが最後の出会いだと知っているかのようだった。
 家に戻った数日後、ジョンが目を離した隙にアイリスは外へ出てしまう。ジョンの耳に若き日のアイリスの言葉が蘇る。「プロテウスを知ってる?あの神話のように私を手離さないで。たとえ私がライオンや魚に変身しても」。
ジョンは車で町中を探すが、アイリスは見つからない。その時、老人がアイリスを送り届けてくれる。スーパーマーケットで見つけたという彼は、なんと昔の恋敵のモーリス(ティモシー・ウェスト)だった。
 若き日の二人。ジョンはアイリスの恋人たちの存在に苦しんでいた。アイリスはジョンに過去の男性遍歴を告白し、ジョンこそが本当の自分を一番理解してくれてい
ると真剣に打ち明ける。

 ジャネットが亡くなった。葬儀の最中、押し黙っていたアイリスは、出棺の時に泣き叫んで暴れる。夜の道、車で帰る一人。突然、アイリスがションの運転するハンドルを掴む。車は道をはみ出し、アイリスはドアを開けて外へ転がり落ちる。半狂乱になってアイリスを探すション。彼も藪の中に転がり落ちると、そこにアイリスが横たわって笑っている。そして、はっきりとこう言ったのだ。「愛してる。あなたを」ションは微笑み、アイリスに優しく言う。「明日も
次の日も生きていこう。これ以上近づけないほど一つになろう」
けれどもジョン一人の看護はそろそろ限界だった。ジョンは彼女を施設に入れる決意をする・・・・・・。

スタッフ

監督:リチャード・エアー
原作:ジョン・ベイリー
脚本:チャールズ・ウッド
プロデューサー:ロバート・フォックス
スコット・ルーディン
製作総指揮:アンソニー・ミンゲラ、シドニー・ポラック
撮影:ロジャー・プラット
美術:ジェマ・ジャクソン
衣裳:ルース・マイヤーズ
編集:マーティン・ウォルシュ
音楽:ジェームズ・ホーナー
ヴァイオリン演奏:ジョシュア・ベル

キャスト

アイリス・マードック:ジョディ・デンチ
若き日のアイリス:ケイト・ウィンスレット
ジョン・ベイリー:ジム・ブロードベント
若き日のジョン:ヒュー・ボナヴィル
ジャネット・ストーン:ペネロープ・ウィルトン

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