原題:A DROWNING MAN

愛と絶望のロマン 蛇口から落ちる水滴が愛の謀反を企てる

2001年第23回PFF正式招待 2001年第20回バンクーバー国際映画祭ヤングシネマ・コンペティション部門正式出品 2001年第12回ダマスカス国際映画祭正式招待 2001年第6回プサン国際映画祭ニュー・カレント<コンペティション>部門正式出品 2002年アリゾナ国際映画祭リアルフィルム&ビデオコンペティション部門 2002年フランクフルト<ニッポン・コネクション>日本映画祭正式出品

2000/日本/16ミリ/カラー/スタンダード/オプチカル・モノラル/全2巻・2961.45フィート・82分 配給:ゼアリズエンタープライズ

2003年08月08日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年08月25日よりDVDリリース 2002年5月25日よりユーロスペースほかにてレイトショー公開

(C)2000 ICHIO Naoki、NAGOYA VISUAL ARTS COLLEGE、KUSAKABE Keiko

公開初日 2002/05/25

配給会社名 0040

公開日メモ バスタブに沈んだ妻を放置した夫。翌朝、死んだはずの妻に世話を焼かれるうちに、夫の日常は妻の死臭に彩られてゆく。恋人や夫婦という日常的“関係”が寸断される瞬間とその寂寥感を描いたシュールなラブ・ストーリー。

解説


恋人や夫婦という日常的“関係”が寸断される瞬間とその寂寥感を描いたシュールなラブ・サスペンス。バスタブに沈んだ妻を放置した夫。翌朝、死んだはずの妻に世話を焼かれるうち、夫の日常は妻の死臭に彩られていく…。

バスタブに身を沈める妻の目にうつる蛇口から落ちる水滴をきっかけに、無意識の風景と意識的な想像の乱舞、心の死と肉体の死の交錯、隠蔽され露出される日常の狂気、過剰と欠落の感情の放出が、静謐に冷酷に進行していく。ここに描かれるのは、信頼と安心で営まれる夫婦関係がジワジワと破壊されていくリアルな状況である。さらに、死んだ妻に翻弄されていると夫に思わせれば妻は夫から逃げることができるとも本作は教えてくれる。

監督は男。名古屋で自主製作を続けてきた一尾直樹初の16ミリ長編作品である。落胆を背負いこみ身勝手な本質を暴露する夫役を演じるのは「鉄男」「バレット・バレエ」の監督・塚本晋也(「殺し屋1」「とらばいゆ」)。片岡礼子(「鬼火」「ハッシュ!」)演じる妻は、慈悲深い聖母マリアを思わせる甘い美貌で恐ろしい。

ストーリー



夜。クミコ(片岡礼子)は風呂の中で、蛇口から落ちる水滴を見つめていた。その規則正しいリズムに誘われるように、彼女はいつしか深い眠りに落ちる。
「死んでも夢を見られるのなら、死ぬのもそう悪くない」
冷めた風呂の底に沈むクミコを発見した夫のトキオ(塚本晋也)は、茫然と立ちすくむ。クミコは死んだ。しばらくして。トキオは動き始める——気をとりなおし119番をダイヤルし、繋がる前に受話器をおく。コーヒーを飲み、ぼんやりする。風呂の栓を抜いて、クミコの死骸を見つめる。泣き崩れ、クミコの死体をソファに運ぶ。死体を所構わず叩き、「蘇れ!」と叫ぶ。そうして。トキオは疲れ、酒をあおって眠ってしまう。
翌朝。クミコは目を醒し、泥酔したトキオを介抱する。トキオは目を醒し、クミコが生きていることに驚く。
クミコは昨夜のことを何も覚えていないらしい。クミコに向かって、トキオは思わず嘘をつく・・・君は風呂で気を失ったのだと。一度死んだ人間が生き返るわけがない。
その日から少しずつ。トキオの行動が狂いはじめる。クミコは死んでいる。クミコは家にいる。家は死臭に溢れている!
「死んだ君はきれいだった。今までいちばんきれいだった」
クミコの場所からトキオは遠ざかり、トキオの場所からクミコは離れていく。ふたりの間の距離は増し、もはや取り返しがつかない。

スタッフ

製作:一尾直樹、学校法人専門学校名古屋ビジュアルアーツ
監督・脚本・編集:一尾直樹
総合プロデュース:日下部圭子
撮影:山崎のりあき
音楽:南野梓、エモーショナル・アワ
照明:岩瀬ヨウイチ、浜嶋将裕
録音:河本隆志
撮影助手:八木康友
衣裳・メイク:谷渡香代子
ケータリング:高橋綾子
スチール:永吉直之
スタッフ:須田卓志、柴田寛子、青木兼治、奥林恒
応援:戸谷英明
ロケ協力:仁藤由美、東馬英治、東馬高子
機材協力:安藤伸、ライトテック、ダスキン児玉支店、
     劇団人工子宮、カスタムロード
協力:川井雅登、染谷祐子、宝槻文則、芹川事務所、海獣シアター、
   名古屋ビジュアルアーツ放送・映画学科、フィルムワークス
協力:大橋雅之、辻井一敬、イソガイマサト、後藤晴美、宇杉公一、
   石田正樹、日比野浩次、高城早和子、須田三恵子、加藤智宏
協力:加藤洋一、杉山文朗、中村彰宏、田中峰男、田中智之、白井勝彦、
   白菊クリーニング商会、ハムティバイナ、アートクロス東海、ダイナー
ネガ編集:岸眞理
タイトル:道川昭
タイミング:安斎公一
現像:東映化学
グラフィックデザイン:ウルトラグラフィックス
和文英訳:小島弘史
和訳:日下部圭子
印刷:成旺印刷
予告演出:一尾直樹
予告:東映化学
英文字幕:Dean GASCOIGNE
字幕:JOT

キャスト

片岡礼子
塚本晋也
火田詮子
上馬場健弘
海上宏美

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