原題:The COPY CAT

宮部文学を森田芳光が衝撃の映画化。 魂を抉る驚愕と感動の犯罪映画誕生。

毎日新聞社創刊130年特別企画作品

2002年/日本/カラー/124分/ 配給:東宝

2003年01月26日よりビデオレンタル開始 2002年12月21日よりDVD発売開始 2002年6月8日全国東宝系にてロードショー公開

(C)2002「模倣犯」製作委員会

公開初日 2002/06/08

配給会社名 0001

公開日メモ 「今」のメディアを制するトップスター・中居正広主演、動体である時代の「今」の手触りを、フィルムに活写し続ける達人・森田芳光監督作品

解説


動体である時代の「今」の手触りを、フィルムに活写し続ける達人・森田芳光監督作品

 出世作『家族ゲーム』(1983)を始め、数々の話題作を世に出してきた森田監督。その作品群には、常にその時代の「今」が、理屈でなく「手触り」とも言うべき触感で描かれている。森田監督は、常に「今」を見据え、その「今」を描き出すに当たって最も適した題材を選び抜いて作品を作り上げてきた。「今」にこだわる達人・森田芳光が、「今」選んだ題材が、<「人が起こしたこと」を「メディア」が増幅し、関わる「人を変えてゆく」>状況を大胆に描いた衝撃のミステリー「模倣犯」である。
 原作は、昨年各方面で絶賛され、100万部を超える大ヒットミステリー小説。
 作者の宮部みゆきは、「火車」、「理由」、「本所深川ふしぎ草子」など数々の話題作を発表し、今最も支持されている作家の一人。豊富な語彙を駆使して描かれる奥深くきめ細かい人物描写と、速度感ある語り口で多くの読者を魅了する。
 「模倣犯」のあの分厚い原作小説を難なく読了させてしまうことからもその力の程が伺える。新作「あかんべえ」も発表され、その活動から目が離せない、時代の「今」を走る代表作である。

メディアにより増幅されてゆく犯罪──描かれる「事件」の在り様も、まさに「今」

 今、多くの人々が事件に参加してしまっている。TVなどのメディアが、事件をセンセーショナルに煽り立て、見るものは次の展開を待つ。皆、事件と無縁ではいられなくなっている。それはもはや、事件の一端に参加したも同義であろう。事件が発生し、メディアが衝撃的に伝え、聴衆はそれを待ち構えていたように消費してゆく。こんな現状を見据え、メディアの力を逆手にとって日本中を動かしてしまうことを面白がる犯人の出現は、フィクションとは言い切れない。それが実に恐ろしい「現在」の一容姿でもあるのだ。

主演は、「今」のメディアを制するトップスター・中居正広でなくてはならなかった

 主演は、SMAPのリーダー・中居正広。もはや説明するまでもないだろう。数々のTV番組で現代的なスタイリッシュさと明るい笑顔を振りまき、幅広い層に熱狂的な支持を得ているトップスターの1人だ。その中居が、実はメディアを縦横に扱う犯罪者だったなら? 映画『模倣犯』は、そんなたとえ話が冗談には聞こえなくなる虚実薄皮一枚の危うさを、中居という極めて「現在」な大スターの存在を借りることで、リアルに表現することに成功した。

「今」の香りを湛えた個性的な共演者たちが作品の随所に登場

 メディアを題材とした、「今」の物語に強い説得力を持たせるために、「今」の香りを持った人気の個性派が随所に起用されている。事件の核心に迫りつつ、事故死する高井和明に藤井隆。ピースに導かれ犯罪を続ける栗橋浩美に津田寛治。浩美が最初に殺してしまった肉感的な女に小池栄子。事件を目撃するいわば聴衆代表に爆笑問題の太田光と田中裕二。中でも佐藤江梨子が出演するジュースの広告や、山田花子の納豆の広告をはじめとする劇中のCM映像は、扱う商品、出演するタレント共に「現在」的だ。それが、CMという日常を挟んで描かれるメディアの物語にリアリティを与え、実生活でTV番組を見ているような錯角すら引き起こすのだ。

ストーリー


一人の娘が消えた。やがて切断された右腕が発見された。事件はこうして幕を開けた。

「お父さん、鞠子が帰ってこない。」
東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男(山崎努)の孫娘・古川鞠子(伊東美咲)が突然行方不明になった。
それから10ヶ月後、墨田川沿いの大川公園で女性のバッグと切断された右腕が発見された。この事件はTVや新聞によって大々的に報じられ、事態の進展を日本中が注目し始めた。

犯人がTVに電話出演し,殺人ライヴを予告。誰もがメディアを凝視した。

「僕、大川公園で片腕捨てた男だけど、もうあの事件放送しないの?」
生放送中のワイドショーに突然一本の電話がっかった。
「バッグと腕は別の人間のだよ。バッグの方は、古川鞠子という女だ」
思わぬ事態の展開に、人々の関心は更に高まってゆく。
犯人は、幾度となく番組に電話を掛け、事件に関わることを嬉々として喋った。放送するメディア自体や、内容に踊らされる聴衆たちを嘲笑うかのように。やがて、犯人がメディアに乗せたヒントから、古川鞠子の遺体が発見された…。
「生で僕の犯罪を送信する」
更に生放送中のワイドショーに電話を掛けてきた犯人が、恐るべきことを予告した。前代未聞の「殺人ライヴ」である。もはや日本中がこの事件に囚われていた。予告された日がやってきた。誰もが理性では抗いつつも、メディアの前に釘付けになっていた。そして、送信が始まった…。

容疑者二人が自動車事故で死亡。
事件は呆気無く幕を閉じるのか?

ルポライターの前畑滋子(木村佳乃)は、驚愕した。
「殺人ライヴ」に日本中が翻弄されていたころ、崖から転落、炎上した自動車のトランクから、夫・前畑昭二(寺脇康文)の遺体が発見されたのだ。それまで、別の事件被害者の遺族の塚田真一に対して、親身に取材して来たつもりの滋子だったが、一転、自らが被害者遺族となり、取材というものの無神経さに踏みにじられてゆく。
その車を運転していた男たちの遺体は、栗橋浩美(津田寛治)と高井和明(藤井隆)と判明。その栗橋浩美の部屋から、連続女性殺人事件に関する大量の証拠品が発見された。警察は、彼らが犯人である可能性が高いと発表。マスコミは2人の犯行と断定的に報道。人々はまた騒然となった。連続女性誘拐殺人事件は収束に向かうかに見えた…

容疑者の友人を名乗る男がTVで事件を語り始めた。「真犯人は生きている」。
そして恐るべき終局は待っていた。

「そうです。犯人は別にいると思います」
事故死した浩美と和明が犯人だった、という大勢の認識の中、一人の男が華々しくマスコミに登場した。エール大学卒業の犯罪心理学者・細川浩一(中居正広)だ。彼は、浩美と和明の中学の同級生で、その時のあだ名は「ピース」。笑うとピースマークに似ていたからだ。ピースは、和明の無実と、真犯人の存在を主張しはじめた。
ピースは、数多くの番組に出演し、真犯人の存在を主張した。やがて、その主張の説得力と、爽やかな容姿、優しく理知的な語り口に、日本中が魅了されてゆく…。

ピースが主張する真犯人とは誰なのか?
愛するものを失った有馬と滋子は、真犯人を追い詰められるのか?
加害者・被害者・遺族・警察・メディア・そして見る者すべてを巻き込んで、物語は、衝撃の終局へ突入してゆく…!

スタッフ

製作:島谷能成、亀井修、大塚康高、棚次隆
企画:鶴田尚正、中島健一郎、北條茂雄、青山悌三
プロデューサー:本間英行
アソシエイト・プロデューサー:市川南、春名慶、堀口慎
企画協力:三沢和子
原作:宮部みゆき(『模倣犯』小学館刊)
撮影:北信康
美術:桜井佳代
録音:橋本文雄
照明:渡辺三雄
編集:田中愼二
キャスティング:田中忠雄
助監督:杉山泰一
製作担当者:金澤清美
監督・脚本:森田芳光

キャスト

網川浩一(ピース):中居正広
高井和明:藤井隆
栗橋浩美:津田寛治
前畑滋子:木村佳乃
有馬義男:山崎努
古川鞠子:伊藤美咲
塚田真一:田口淳之介
高井由美子:藤田陽子
前畑昭二:寺脇康文
武上悦郎:平泉成
篠崎刑事:モロ師岡
坂木刑事:吉田朝
鳥居刑事:桂憲一
白井刑事:佐藤二郎
古川真智子:中村久美
古川茂:小木茂光
栗橋寿美子:由紀さおり
田川一義:村井克行
板垣:佐藤恒治
岸田明美:小池栄子
角田真弓:角田ともみ
木島:城戸真亜子
向坂:磯部弘
木村:阪田マサノブ
犬田:小林麻子
谷村:菅原大吉
氷川高原ウエイトレス:坂井三恵
『テレビナイン』女性レポーター:一戸奈未
新宿プラザホテル・フロント:吉見幸洋
バー・オラシオンのウェイター:大橋一三
CM:山田花子
CM:佐藤江梨子
CM:吉村由美(PUFFY)
CM:大貫亜美(PUFFY)
CM:大森彩乃(吉本女子プロレス)
CM:石川美津穂(吉本女子プロレス)
CM:山中聡
CM:五十嵐りさ
CM:大地泰仁
CM:坂下千里子

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