原題:Gabriel & Me

あの日の出来事を、僕は一生忘れない・・・!

2001年11月2日イギリス初公開

2001年/イギリス/カラー/86分 配給:コムストック

2003年01月22日よりDVD発売開始 2002年7月6日よりシネスイッチ銀座にてロードショー公開

公開初日 2002/07/06

配給会社名 0028

公開日メモ 大ヒット作「リトル・ダンサー」の脚本家が描いた、もうひとつの父と子の感動作

解説



ミニ・シアターで22週ものロングラン・ヒットを記録し、アカデミー賞でも3部門の候補にあがった『リトル・ダンサー』。その脚本家リー・ホールの出世作となったラジオ・ドラマを映画化した本作は世界中を涙と感動で包み込んだ『リトル・ダンサー』の原占と呼べる作品。サッカーよりも天使修行に熱中する風変わりな少年と、不況のどん底にあえぎながら不治の病に冒されていく父親。おたがいに愛情を伝えられない不器用な親子が、一瞬の心のふれあいを得るまでの物語を、優しいまなざしでみつめた感動のヒューマンドラマだ。
 父親に愛されたいという願いから、天使になる夢を持つジミー。炭坑町でバレエ・ダンサーをめざす『リトルダンサー』のビリーと同様、誰にも理解されない望みを内に秘め、健気に生きる主大公の姿が、胸を打つ。彼の心にあるのは、家族みんなで幸せに暮らしたいというささやかな願い。しかし現実の壁は厚く、不況、失業、不治の病といった試練が、容赦なく一家にふりかかってくる。そうした社会的な背景をエッセンスとして取り入れつつ、あくまでもジミーの目線で語られていくドラマは、夢と希望と現実の狭間で葛藤を繰り広げながら、自分自身のなすべきことを模索するジミーの成長ぶりをいきいきと活写。大大への階段を昇りつつある少年のナィーブな心理を、鮮やかに浮き彫りにしていく。その果てにに待ち受けるのは、見る者の予測を超えた衝撃的な結末。ジミーと父のあいだに真の絆が生まれる奇跡の瞬間を切なくボエティックに描きあげたたラストには、誰もが熱い涙を誘われずにはいられないだろう。
主人公のジミーを演じるのは、2000人以上の候補者から選ばれたショーン・ランドレス。本作が映画デビューとなる彼は、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルに負けない天性の輝きの持ち主。彼のナチュラルな演技力については、「素晴らしい存在感を失わせないことが私の仕事だった」と、監督のウダヤン・プラサッドも絶賛する。そのランドレスを支える共演陣には、イギリス映画を代表するベテランが揃った。ジミーを心から愛しながらも思いを伝えられない父親に扮するのは『トゥームレイダー』の悪役演技が記憶に新しいイアン・グレン。天使らしからぬユーモラスな風貌で出現し、ジミーに人生の方向性を示すガブリエルには『Queen Vidoria至上の恋』で英アカデミー賞候補にあがったビリー・コノリー。ジミーの良き相談相手である祖父には、ロイヤル・シエイクスビア・カンパニーの重鎮で、『シャンプー台のむこうに』などに出演しているデイヴィッド・ブラッドリー。不況にあえぐ一家を支える強く優しい母親にはTV「Soldler Soldier」などで活躍するロージー・ローウェル。また、天使修行を始めたジミーに命を救われるスカウトの役どころで、『ぼくの国、パパの国』で末っ子を演じたジョーダン・ルートリッジが出演し、ランドレスと息のあった共演ぶりを見せている。原作は、イギリスで数々の賞を受賞したリー・ホールのラジオ・ドラマで、脚色はホール自身が担当。監督には、”Brothers ln Trouble”でテサロニキ映画祭のゴールデン・アレクサンダー賞を受賞し、”My Son the Fanatic”でインディペンデント・スピリッツ賞候補にあがったウダヤン・ブラサッドがあたり、インド出身の作家ならではのスピリチュアルな感性を光らせている。撮影監督のアラン・アーモンド、衣装テザインのメアリー・ジェーン・レイナー、編集のパリー・ヴィンスといったスタッフは、いずれもブラサッド監督と長年チームを組んできた顔ぶれ。同じくブラサッド組の一員で、『恋におちたシェイクスピア』でオスカーを受賞したステイーヴン・ウォーベックが、音楽を担当。モノコードという珍しい楽器を使い、ジミーの内面を物語っていく印象的なスコアを提供している。

ストーリー


僕の名前はジミー・スパッド(ショーン・ランドレス)。ニューキャッスルのバイカー・ウォールに、ママとパパとおじいちゃんと住んでいる。パパ(イアン・グレン)は腕のいい溶接工だけど長いあいだ失業中。うちの生活は、カフエで働いているママ(ロージー・ロウエル)が支えているんだ。ママも、鳩の飼育を生き甲斐にしているおじいちゃん(デイヴィッド・ブラッドリー)も僕に優しくしてくれるけど、パパはいつも何かにいらっいていて僕のやることなすことが気に入らないみたい。というのも、僕はサッカー選手より天使になることに憧れるちょっと変わった11歳だからだ。
そんな僕の前に大天使ガブリエル(ビリー・コノリー)が現れたのは、体育の授業をサボるたくらみが先生にバレて、トイレ掃除を言いつけられたときのことだった。ここでいくつかの質問をしたガブリエルは、僕がひとり遊園地で遊んでいるときに再び現れて、天使入門試験の続きを始めた。「なぜ天使になりたい?」とたずねる彼に、「人を助けるのがカッコイイから」と答える僕。結局、天使見習いとしてガブリエルと契約を交わした僕は、試用期間中、ホンモノの天使になれるかどうかの実力を試されることになった。
酔っ払って帰ってきたパパが、ニューキャッスル・ユナイテッドのユニフォームをくれたのは、その晩のことだ。バイカーウォールに住んでいる他の男の子ならきっと大喜びするだろうな。だけど僕がほしいのは、ユニフォームじゃなくて天使の衣装。だから、素直に「ありがとう」と言えなかったんだ。それが気に入らなくてパパはますます不機嫌になる。僕たちは、いつもこんな調子だ。
でも、僕が天使になれたなら、きっとパパだって誇りに思ってくれるに違いない。そう考えた僕は、羽根付きの衣装を着て、空飛ぷ練習を始めた。練習場所は、かつて造船所だった建物の屋上。ふと見下ろすと、自転車に乗ったボーイスカウトの少年が川に落ちるのが見えた。これぞ僕の出番だ!夢中で川へ飛びこみ、溺れかけたスカウト(ジョーダン・ルートリッジ)を救った。でも、そんな活躍も、第三者の証言がないと天使見習いの仕事として認められないのだとか。天使になる道は想像以上に厳じそうだ。
その晩、ショッキングなことがあった。パパが肺ガンにかかっていることがわかったのだ。さっそく僕は、ガブリエルに「パパを助けて」と頼んだけど、ガブリエルは力になれないと言う。ならば自分で奇跡を起こすしかない。僕はスカウトと一緒にいろいろなことを試してみた。でもそれが全部裏目に出てしまい、パパの怒りは増すばかりだ。
そしてついにパパが入院するときがやって来た。その前夜、裏庭でスカウトの死んだパパを蘇らせる儀式をやっていた僕は、驚いて目を丸くするママに、天使になってパパの病気を治す計画を打ち明ける。その話
を全然信用しないママは、僕を殴ったあと、「お願いだから早くオトナになって」と言って僕を抱きしめながら泣いた。
数日後、スカウトと一緒に病室のパパを見舞った僕は、一生懸命練習したトランペットを吹いた。天使の奏でる音楽には、病気を治す効果があるからだ。パパは思いがけず喜んでくれたけど、笑ったことが原因で咳
が止まらなくなってしまう。それを見て、パパの病気がいっそう悪くなったと思い込んだスカウトは、「二度とジミーに会いたくない」と言って逃げていった。
僕に奇跡なんか起こせやしない、まったくの役立たずだ。思いつめた僕は家に書き置きを残し、造船所に隠れることにした。そこへやってきたおじいちゃんは、「家を出て行くなら、父さんにさよならを言っておいで」と言い残して帰って行った。僕が病院を訪ねると、パパは酸素マスクをつけていた。とても苦しそうだ。でも、必死に何かをしゃべりたがっている。僕とパパのあいだに特別なこと起こったのは、そのときだった・・・。

スタッフ

監督:ウダヤン・プラサド
脚本:リー・ホール
撮影:アラン・アーモンド
編集:バリー・ヴィンス
音楽:スティーブン・ウォーベック
美術:アンディー・ハリス
衣裳デザイン:メアリー・ジェーン・レイナー

キャスト

ジミー:ショーン・ランドレス
パパ:イアン・グレン
おじいちゃん:デビッド・ブラッドリー
天使ガブリエル:ビリー・コノリー
ママ;ロージー・ロウエル
スカウト:ジョーダン・ルートリッジ

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