失われていく命と、生まれてくる命。生きるために出会った3つの命の真実の愛。

2002年/日本/1時間51分 配給:東映

2003年06月21日よりDVD発売開始 2002年9月14日より東映邦画系にて公開

公開初日 2002/09/14

配給会社名 0004

解説


●壮絶な愛を描いたベストセラー、珠玉の映画化。
 「愛するということは、その想いを行為に変えることではなく思うことそのもの」。命をめぐって繰り広げられる賢明な愛の物語を描く映画『命』が、ついに完成した。原作は『週刊ポスト』(小学館)連載中から話題を巻き起こした芥川賞作家・柳美里のベストセラー小説「命」シリーズ(「命」「魂」「生」「声」小学館刊)。突然の妊娠、子供の父親との別離、そして最愛の人の死一自身の壮絶な体験を赤裸々に綴ったこの小説は読者から大きな反響を呼び、現在100万部を記録している。
人気作家、柳美里。10代の頃から家族を憎み、家出、自殺を繰り返してきた彼女が妊娠。それまで激しい恋情を交わしていた人は妻帯者。父親になることに困惑する男の姿を目にし、彼女は生むべきか
どうか、激しく揺れ動きながら、以前、所属していた東京キッドブラース主宰者・東由多加を訪ねる。東はかっての美里の恋人であり、共に暮らした相手であり、家族のように、父のように彼女を包み込んだ人だった。なにより高校中退後の美里から、書く才能、すなわち生きる目的を見出した恩人であった。しかし、訪ねたその場で東は激しく咳き込み、東の体が癌に侵されていることを知る。美里と東とお腹の子供の中で、生と死という正反対のカウントダウンを始める”命”。
互いを支え合いながら最先端医学による治療を積極的に受け、ギリギリの体力と気力の中の出産、子育てに奮闘する二人の姿は、血のつながりや家族の絆をも超えた命と愛の尊さと強さを訴えてやまない。

●江角マキコ、豊川悦司主演感動のラブストーリー。
 主演・柳美里に江角マキコ。一番大切な人の闘病に献身的な愛をもって立ち向う姿は、人間の根源の感動を呼び起こす。そして東京キッドブラザースの主宰者であり劇作家の東由多加に豊川悦司。病と闘いながら、美里と子供の成長を見ることで生への望みを駆り立ててゆく様は、まさに圧巻。また、寛利夫、麻生久美子、寺脇康文、樹木希林ら、演技派、個性派の充実の共演者が脇を固め、さらに岸谷五朗、斉藤由貴、江守徹の演技がこの映画に花を添えている。監督は「月とキャベツ」「はつ恋」などの俊英・篠原哲雄。ドキュメンタリーでは語りきれなかった物語を、質の高い感動作として細部までこまやかに映像化することを実現している。また、主題歌は安室奈美恵。まさにエンディングを飾るにふさわしい曲となっている。
クランクインは2月15日、45日間をほぼ順撮りで撮影し、3月30日クランクアップした。

ストーリー


1999年初夏、作家・柳美里は、東京にある医療センター・産科病棟の診察室で、お腹の子どもの映像を見ていた。彼女は妊娠していた。しかし、父親となる男性は結婚しているため、産むべきかどうか決心がついていなかった。救いを求めるように美里は、作家としての自分の才能を引き出し育ててくれた恩人であり、また、激しい葛藤の末別れたかっての恋人、劇団主宰者・東由多加を訪ねる。だが、そのとき東はすでに、手の施しようのない癌に侵されていた。その日から、美里と東の2人3脚の闘病生活が始まった。なんとか東を助けたいと奔走する美里に、編集者など友人・知人も力を貸してくれる。また、美里の妊娠は彼女の家族に新しい絆を芽生えさせていた。高校中退後から疎遠だった母親は、過去に自殺未遂を繰り返していた美里の妊娠を知って泣きながら叫ぶ。「これであの子は、簡単に死ねなくなった…バンザイ。バンザイ!」
しかし一方で、彼女の中のもう一つの命は別の問題を投げかけていた。子どもの父親である相手が、出産後の養育費の話し合いにもなかなか応じてくれないのだった。「僕に子育てを手伝えって?・・昔の男によく言うね」苦しむ美里に、東は自分の病のすべてを知りながら手を差し伸べる。「あなたが一人で子育てする姿は想像できないね」それは、新しい命を生み、ともに育てる約束だった。抗癌剤治療に効果が見られなかった東は、かつて彼のオフ・ブロードウェイ進出を全面的にサポートしてくれた世界的プロデューサーエレン・スチュアートの手引きでアメリカに渡り治療を受け始めた。ニューヨークと東京とで、ファックスでやりとりする日々。「わたしの中には、今、はっきりと二つの命が息づいている」そんな中、美里に代わって、子どもの父親と交渉してくれた妹のおかげで、養育費の問題もようやく片づいていく。いよいよ臨月を迎えた2000年正月明け、東がニューヨークから帰ってきた。だが、治療の効果はあまり見られず、髪の毛は抜け落ち、体重も減少するなど副作用があらわれ始めた。それでも泣き言など言っていられなかった。
1月17日、ついに新しい命が誕生した。名前は柳丈陽。美里の母親、友人である作家岡本心・京子夫妻らが祝福に訪れたあとに、東は美里に打ち明ける。「ぼくは、自分の生まれ変わりをこの目で見たんだ。この手で抱いたんだよ…あの子の誕生は、ぼくにとって奇跡だ…」
丈陽の誕生後、東は生きることにより執念を燃やし、最善を尽くす山室医師に「たった2年でいいから生かしてほしい」と願う。慣れない子育てに、懸命になる美里と東。初めてのお風呂、人工乳の授乳…生きるために、3つの命と愛がひとつになっていたーー。そして、美里と東は、丈陽のお宮参りの日を迎えた。美里の母親、編集者の鎌田とともに参拝し、シャッターに収まる彼ら。その時、境内を2、3歳の男の子と父親が横切って行った。歩く子どもを
じっと見つめる東。「丈陽が『ヒガシサン』と自分の名を呼んでくれるようになるまで生きたい」と、丈陽をその子どもの姿に重ねていたーー。

スタッフ

監督:篠原哲雄
原作:柳美里
主題歌:安室奈美恵
脚本:大森寿美男
音楽:村山達哉
製作:児玉守弘、佐藤雅夫、亀井修、
撮影:浜田毅
美術:小澤秀高
照明:渡邊孝一

キャスト

柳美里:江角マキ子
東由多加:豊川悦司
鎌田:筧利夫
妹:麻生久美子
彼:寺脇康文
山室:平田満
杉原:根岸季衣
大岩:江守徹
岡本心:岸谷五郎
岡本京子:斎藤由貴
母:樹木希林

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