社会派ミステリーの最高傑作が、最先端技術で鮮やかに蘇る!!

1974年10月19日劇場初公開

1974年/日本/143min/シネマスコープ/ 配給:松竹

2007年08月24日よりDVDリリース 2005年6月18日、東劇にてデジタルリマスター版、ロードショー公開! 2002年2月21日DVD発売 1974年10月19日、渋谷パンテオン、新宿ミラノ座、松竹セントラルほか全国松竹系にてロードショー

(c)1974 松竹・橋本プロ

サブ題名 デジタルリマスター

公開初日 2005/06/18

配給会社名 0003

解説


迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負う為に殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描くサスペンス映画。原作は松本清張の1960年から1961年にかけて読売新聞に掲載された連載小説。時代背景を取り入れた社会派ミステリー。

脚本は「日本沈没」の橋本忍と「男はつらいよ寅次郎恋やつれ」の山田洋次、監督は「東京ド真ン中」の野村芳太郎、撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。

ストーリー



六月二十四日早朝、国鉄蒲田操車場構内に扼殺死体が発見された。被害者の年齢は五十〜六十歳だが、その身許が分らず、捜査は難航をきわめた。警視庁の今西栄太郎刑事と、西蒲田署の吉村正刑事らの必死の聞き込みによって、前夜、蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が重要参考人として浮かび上った。そしてバーのホステスたちの証言で、二人の間に強い東北なまりで交わされていた”カメダ”という言葉に注目された。カメダ……人の姓の連想から東北各県より六十四名の亀田姓が洗い出されたが、その該当者はなかった。しかし、今西は「秋田県・亀田」という土地名を洗い、吉村とともに亀田に飛ぶが、手がかりは発見できなかった。その帰途、二人は列車の中で音楽家の和賀英良に逢った。和賀は公演旅行の帰りらしく、優れた才能を秘めたその風貌が印象的だった。八月四日、西蒲田署の捜査本部は解散、以後は警視庁の継続捜査に移った。その夜、中央線塩山付近で夜行列車から一人の女が白い紙吹雪を窓外に散らしていた。その女、高木理恵子を「紙吹雪の女」と題し旅の紀行文として紹介した新聞記事が、迷宮入りで苛だっていた吉村の触角にふれた。窓外に散らしていたのは、紙なのか?布切れではなかったか?早速吉村は、銀座のクラブに理恵子を訪ね、その事を尋ねるが、彼女は席をはずしたまま現われなかった。だが、その店に和賀英良が客として現われた。和賀英良。和賀は音楽界で最も期待されている現代音楽家で、現在「宿命」という大交響楽の創作に取り組んでいる。そしてマスコミでは、前大蔵大臣の令嬢田所佐知子との結婚が噂されている。八月九日。被害者の息子が警視庁に現われた。だが被害者三木謙一の住所は、捜査陣の予測とはまるで方角違いの岡山県江見町で、被害者の知人にも付近の土地にもカメダは存在しない。しかしそれも今西の執念が事態を変えた。彼は調査により島根県の出雲地方に、東北弁との類似が見られ、その地方に「亀嵩」(カメダケ)なる地名を発見したのだ。なまった出雲弁ではこれが「カメダ」に聞こえる。そして三木謙一はかつて、そこで二十年間、巡査生活をしていたのだ……。今西は勇躍、亀嵩へ飛んだ。そして三木と親友だった桐原老人の記憶から何かを聞きだそうとした。一方、吉村は山梨県塩山付近の線路添いを猟犬のように這い廻って、ついに”紙吹雪”を発見した。それは紙切れではなく布切れで、被害者と同じ血液反応があった。その頃、とある粗末なアパートに理恵子と愛人の和賀がいた。妊娠した彼女は、子供を生ませて欲しいと哀願するが、和賀は冷たく拒否するのだった。和賀は今、佐知子との結婚によって、上流社会ヘー歩を踏み出す貴重な時期だったのだ。一方、今西は被害者が犯人と会う前の足跡を調査しているうちに、妙に心にひっかかる事があった。それは三木が伊勢の映画館ヘ二日続けて行っており、その直後に帰宅予定を変更して急に東京へ出かけているのだ。そして、その映画館を訪ねた今西は重大なヒントを得た……。本庁に戻った今西に、亀嵩の桐原老人から三木の在職中の出来事を詳細に綴った報告書が届いていた。その中で特に目を引いたのは、三木があわれな乞食の父子を世話し、親を病院に入れた後、引き取った子をわが子のように養育していた、という事だった。その乞食、本浦千代吉の本籍地・石川県江沼郡大畑村へ、そして一転、和賀英良の本籍地・大阪市浪速区恵比寿町へ、今西は駆けめぐる。今や、彼の頭には、石川県の片田舎を追われ、流浪の旅の末、山陰亀嵩で三木巡査に育てられ、昭和十九年に失踪した本浦秀夫と、大阪の恵比寿町の和賀自転車店の小僧で、戦災死した店主夫婦の戸籍を、戦後の混乱期に創り直し、和賀英良を名乗り成人した、天才音楽家のプロフィルが、鮮やかにダブル・イメージとして焼きついていた。理恵子が路上で流産し、手当てが遅れて死亡した。そしそ、和賀を尾行していた吉村は理恵子のアパートをつきとめ、彼女しこそ”紙吹雪の女”であることを確認した。今や、事件のネガとポジは完全に重なり合った。伊勢参拝を終えた三木謙一は、同地の映画館にあった写真で思いがけず発見した本浦秀夫=和賀英良に逢うべく上京したが、和賀にとって三木は、自分の生いたちと、父との関係を知っている忌わしい人物だったのである。和賀英良に逮捕状が請求された。彼の全人生を叩きつけた大交響曲「宿命」が、日本音楽界の注目の中に、巨大なホールを溝員にしての発表の、丁度その日だった。

スタッフ

製作:橋本忍、佐藤正之、三嶋与四治
製作補:杉崎重美
企画:川鍋兼男
監督:野村芳太郎
監督助手:熊谷勲
脚本:橋本忍、山田洋次
原作:松本清張
撮影:川又昂
音楽監督:芥川也寸志
作曲・ピアノ演奏:菅野光亮
指揮:熊谷弘
演奏・特別出演:東京交響楽団
美術:森田郷平
装置:若林六郎
装飾:磯崎昇
録音:山本忠彦
調音:吉田庄太郎
効果:福島幸雄
照明:小林松太郎
編集:太田和夫
衣裳:松竹衣裳株式会社
進行:長嶋勇治
製作主任:吉岡博史
製作協力:シナノ企画、俳優座映画放送株式会社

キャスト

今西栄太郎:丹波哲郎
和賀英良:加藤剛
吉村弘:森田健作
高木理恵子:島田陽子
田所佐知子:山口果林
本浦千代吉:加藤嘉
本浦秀夫:春日和秀
桐原小十郎:笠智衆
クラブ・ボヌールの女給明子:夏純子
三木影吉:松山省二
捜査一課長:内藤武敏
扇屋の女中澄江:春川ますみ
捜査一係長:稲葉義男
昔の三木の同僚安本:花沢徳衛
恵比須町のみ屋の主人:殿山泰司
国語研究所所員桑原:信欣三
三森署署長:松本克平
巡査:浜村純
新聞記者松崎:穂積隆信
岩城署署長:山谷初男
鑑識課技師:ふじたあさや
山下・お妙:菅井きん
若葉荘の小母さん:野村昭子
田所重喜:佐分利信
三木謙一:緒形拳
ひかり座の支配人:渥美清

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