ディフェンダー

3000年の眠りから醒めた悪魔と、神に選ばれし守護者たちとの、最終戦争《アルマゲドン》勃発！『ディフェンダー』はノンストップの興奮で放つオカルト・アクション大作だ。映画版『陰陽師』公開などでブームが加速するオカルト・アクション。伝奇的ムードと恐怖を盛り込みつつ、ホラーではないアクションの面白さを究めたエンタティンメント。同ジャンルでは『エンド・オブ・デイズ』以来の注目作だ。
主演は、アクション・スターとして揺るぎ無い定評のマリオ・ヴァン・ピープルズ。『ホワット・ライズ・ビニース』でハリソン・フォードと競演したべテラン、ジェームズ・レイマー。その他にもアイス・Ｔなど注目の顔ぶれが揃っている。

【チェック・ポイント！】

　『ディフェンダー』と言えば菅野美穂がヒロインを演じ、小中ブラザースが監督・脚本した、失われた記憶を巡ってのＳＦアクション映画がありましたが、本作は世界を救う能力を授かって生まれた少年デビッドの命を狙う蘇った悪魔テル・アルと、魔に戦いを挑むエキゾチックな女性戦士セリーンと、彼女の手で守護者（“ディフェンダー”でもいいですが、原題は“ガーディアン”）としての宿命を与えられた刑事クロスの奮戦を描いたオカルト・アクション映画。
　湾岸戦争下のリビアを舞台に、『エクソシスト』や『オーメン２／ダミアン』を髣髴させる遺跡発掘風景から物語はスタートする。そこで、悪魔の復活とその悪魔を封印すべく力を持った少年の誕生、そして“ブラザー”マリオ・ヴァン・ピープルズ演じるクロス軍曹が救助活動の最中に体中に正体不明の傷を刻まれるわけだ。そして、時は12年後麻薬捜査官となったクロスは、子供を狙うテルアルを阻止する戦いに巻き込まれ、オカルト・アクションが展開されていくという趣向。ロング・コートをたなびかせるセリーンの『マトリックス』風ワイヤー・アクションをはじめ、二丁拳銃アイスＴとのスローモーション銃撃戦とか今風のアクション描写を挟みつつ、悪魔テル・アルはなんとボディ・スナッチャー状態で人間の身体を乗っ取りながら少年へと迫る。なんでも、道具として乗り移られた人間は１日しか命が持たないとのことなので、この時までに4380人が死んでる計算ですね。あんまし効率がよくない気もするけど、深く考えるのはよそう。そして、セリーンの導きで少年を守ることになったクロスだが、宿命を与えられたといいながら人間としてはタフで強いかもしれないけど、超常的な皆無。これで悪魔退治に役に立つのか？と思っていたら、最後はちょっと驚きの活躍を見せる…と言うか、これが宿命だとするとなんかクロス君かわいそうじゃないですか（苦笑）？
　監督のジョン・タールスキーは、アイスＴが隕石激突による人類滅亡を画すカルト教主、マリオがそれを阻止しようとする男を演じた“ブラザー”隕石映画『アステロイド２』を撮った人。今作の麻薬犯罪者役でのアイスＴは、その縁での友情出演って感じか。あまり出番多くないし。
（殿井君人）