原題:TILL HUMAN VOICES WAKE US

今、奇跡が−−−閉ざされた過去の扉を優しく開く

2001年/オーストラリア・アメリカ/101分/シネマスコープ/ドルビーSRD/ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年04月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年9月14日より日比谷スカラ座2他、全国東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2002/09/14

配給会社名 0025

公開日メモ 「あなたは生まれ変わりを信じますか?」オーストラリアの田舎町、幼い頃、僕は大好きな彼女を失った。目の前で夜の湖底に消えていったあの子。が経ち、大人になった僕は、彼女の記憶を持つ女性に出会う…。神秘的な映像とともに繰り広げられる心に響く、ロマンティックストーリー。

解説


「あなたは生まれ変わりを信じますか?」
オーストラリアの田舎町、幼い頃、僕は大好きな彼女を失った。
目の前で夜の湖底に消えていったあの子。
時が経ち、大人になった僕は、彼女の記憶を持つ女性に出会う…。
神秘的な映像とともに繰り広げられる心に響く、ロマンティックストーリー。

ストーリー




15歳のサム・フランクスは、夏休みを利用して寄宿学校からヴィクトリア州の静かな川辺の町ジェノアへ帰郷し、幼なじみのシルヴィと久々の再会を果たす。幼い頃から兄弟のように一緒に育ってきた二人の間には、お互いこれまでとは違った感情が芽生え始めていた。さりげなく交わす言葉に、笑顔に、胸の高鳴りと、切ない想いが入り混じる。夏の日差しを受けてキラキラと輝く湖の桟橋に腰かけ、たわいのないお喋りをしたり、シルヴィの愛読している詩集を読みながら、そっと相手の表情を見つめる…。「いいものを見せてあげる」シルヴィがサムを案内したのは、彼女が見つけたペットのお墓だった。墓石代わりの石を持ち上げると、埋葬されて間もないの鳥の亡骸が横たえられている。愛するペットヘの想いが秘められたその墓を、シルヴィは「ロマンチック」だと言う。
二人は毎日一緒に過ごした。サムは、脚の不自由なシルヴィを自転車の後ろに乗せ、久しぶりの故郷の町を散策した。「言葉あそび」は、そんな二人のお気に入りの遊びのひとつ。”飛ぶ川綿毛””羽”…”赤””血”静止”水””びん”…互いの胸の内をつづっているかのように連想する言葉を交互につなぐうち、不思議と二人の距離が縮まっていくように感じられるのだった。
 ある月明かりの夜、サムとシルヴィは、ダンスパーティーの会場を抜け出し人気のない町を自転車で駈けぬけた。いつもの湖の桟橋を訪れると、真っ暗な水面に映る月がゆらゆらと揺れている。「月が踊っているわ」シルヴィがそっとささやく。サムは静かに水の中に入り、彼女を誘った。「一緒に踊ろう」不自由な脚のせいで躊躇する彼女だったが、サムに支えられておずおずと水面に身体を浮かせ、ゆっくりと手を伸ばし、サムの胸に抱かれる。ひんやりとした水の感触と、静寂のなかにこだまする水音だけが、二人を包み込み、サムは優しくシルヴィにキスをした。
水面に身体を浮かせて、満点の星空を見上げていると、ふとシルヴィの言葉が途切れた。「シルヴィ?」つないでいたはずの手の感触が消えている。「シルヴィ!」必死で水に潜り、シルヴィを探すサムだったが、冷たい水中に彼女の姿を見つけることはできなかった。町中の人々の懸命の捜索にも関わらず、とうとうシルヴィは発見されなかった。彼女の父親は、娘を失ったことに深いショックを受け、ひとり小船を作り始めた。彼のとって小船作りは、遺体の発見されないシルヴィを旅立たせる為の手段だった。サムは、シルヴィが脚につけていた義装具を彼女に見せられたペットのお墓に埋める。そして彼女との思い出も墓石の下に閉じ込めるのだった。
 20年後。精神分析医となったサムはメルボルン大学で記憶心理学を教えている。彼はシルヴィの事件によって、感情ーー記憶そのもの一を押さえ込み、完全に自己を制御して生きていた。かつて希望に輝いていたその表情は消え去り、いつも暗い影を落とすようになっていた。父親が亡くなり、あの事件以来一度も戻っていない故郷へ戻ることになったサムは、途中の列車の中で、ルビーと名乗る謎めいた女性と出会う。
サムの父の家も、故郷の町も静寂に包まれ、古ぼけてぼんやりとしたムードが漂っていた。サムの胸に苦しい思い出が甦る。ある激しい嵐の夜、サムは増水した川に落ちた女性を助け出した。彼女は、列車の中で出会ったルビーだった。サムは、瀕死の状態だった彼女を自宅に連れかえり看病したが、果たして意識を取り戻した彼女は、記憶を失っていた。(彼女は、川に落ちたのだろうか?それとも、自ら飛び込んだのか?)彼らは、サムがかつてシルヴィとそうしたように、「言葉あそび」をしながらルビーの記憶を取り戻そうとした。二人が交わす言葉は、シルヴィの死に結びつき、シルヴィがかつて「言葉あそび」の時に答えた、”グリーンスリーヴス”という単語に行き当たる。「なぜ…?」。
サムの胸に、シルヴィとの思い出が甦る。まさかとは思いながら、ルビーとシルヴィを重ね合わせずにはいられないサム。と、ルビーは突然、ある詩の一説を暗唱しだす。彼女自身も、なぜそれを覚えているのか分からない。それは、シルヴィが大好きだったT.S.エリオットの詩だったのだ…。
サムはルビーに催眠療法を行った。彼女の口からは、まるでシルヴィが語っているかのような、暗示めいた記憶の断片が飛びだす。「彼が呼んでるわ。消えていく」「愛していたのに…」催眠から覚めたルビーとサムは引き寄せられるように抱き合う。捕らわれていた苦しみから逃れ、癒し合うように・・・。翌朝目覚めると、ルビーの姿はなかった。彼女がつづったスクラブルタイルには、”RubyMe”…ルビー、私一と並んでいたが、サムは、本能的につづりを直した。”Bury Me”…私を葬って…。いったい、ルビーは何者なのか?シルヴィ?それとも…。

スタッフ

監督&脚本:マイケル・ペトローニ
製作:デビッド・レッドマン
プロデューサー:トーマス・オーグスバーガー、マサイアス・エムッケ
撮影監督:ロジャー・ランサー
編集:ビル・マーフィ
プロダクション・デザイナー:ラルフ・モーザー
衣装デザイン:ジャンニ・キャメロン
サウンドデザイン:マイケル・スレイター、スコット・フィンドレイ
録音:ジョン・ウィルキンソン
作曲:デイル・コーネリアス
キャスティング:モーラ・フェイ&アソシエイツ、スチュアート・ファイクニー

キャスト

サム:ガイ・ピアース
ルビー:ヘレナ・ボナム・カーター
少年時代のサム:リンドレイ・ジョイナー
シルヴィ:ブルック・ハーマン
シルヴィの父:フランク・ギャラチャー
シルヴィの母:マーゴット・ナイト
サムの父:ピーター・カーティン
ラス:アンソニー・マーティン

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.humanvoices.com.au/
ご覧になるには Media Player が必要となります