父よ
原題:MON PERE IL MA SAUVE LA VIE
息子を救ったのは、父の静かなる愛だった
2001年/フランス映画/1時間55分/スコープサイズ/DTSステレオ/ 配給:セテラ・インターナショナル
2003年02月28日よりDVD発売開始 2002年6月29日より日比谷シャンテシネにてロードショー!!
公開初日 2002/06/29
公開終了日 2002/08/09
配給会社名 0117
公開日メモ 名匠ジャック・ベッケル監督のメガホンによって映画史上に残る傑作となった。この『父よ』は、『穴』誕生までの、ジョゼ・ジョヴァンニとその父の実話である。
解説
フレンチ・フィルムノワールの草分け的存在であるジョゼ・ジョヴァンニ。『穴』『冒険者たち』の原作・脚本を書き、監督として『暗黒街のふたり』『ル・ジタン』など、フレンチ・フィルムノワールの代表作を残した彼の、13年振りの新作がこの『父よ』である。ジョヴァンニ自身、暗黒街に出入りし、22歳で死刑の判決を受け、11年間の長きにわたって服役していた経験を持つ筋金入りだ。この息子を、陰で血の惨むような思いと苦労をして救け出したのが、賭博師であった彼の父だった。
この実話を、老境に達したジョヴァンニが万感の想いをこめて映画化、父に捧げている。
父を演じるのは、あのジャン・ギャバンの跡目を継ぎ、テレビシリーズでメグレ警視を演じるベテラン、ブリュノ・クレメール。ジョヴァンニの若き日を演じているのは、その端正なルックスで日本でも人気急上昇中、『サルサ!』のヴァンサン・ルクール。その後ジョヴァンニは出所して、自身の体験にもとづく脱獄ドラマ『穴』を執筆、ベストセラーとなり、自ら脚色。名匠ジャック・ベッケル監督のメガホンによって映画史上に残る傑作となった。この『父よ』は、『穴』誕生までの、ジョゼ・ジョヴァンニとその父の実話である。
ストーリー
刑務所の正面に1軒のビストロがある。
ジョーは、この3年間、毎日暗い面持ちで肩を落としてそこに通い続けていた。年上の息子の死後、ジョーに残された唯一の息子となったマニュが死刑を宣告され、拘留されているためだった。ジョーは、そこに集まる出所したばかりの客や刑務所の看守たちから、獄中での息子の生活の様子を聞き出すのだった。
マニュは、死刑を宣告された者の生活がどんなものであるかがわかり始めていた。日中は足伽を付けられ、夜は手錠をかけられる。ジョーはこの様子を看守のひとり、グランヴァルから教えられる。彼は他の看守と違って、ジョーの良き理解者だった。
もうひとり、若い弁護士のエケがマニュの人生において重要な役割を果たす。彼は、この囚人が他の死刑囚とは違うことを見抜き、その文才を見出したのだ。長年賭博で生計をたててきたジョーが息子のためにできることといえば、賭博で金を稼ぎ、大統領からの特赦を得るのに必要な情報を収集することくらいだけであった。しかし、マニュは父を軽蔑していた。賭博が原因で、大きなホテルを手放したのも父、ジョーの責任だったからだ。面会室のなか、彼らは黙ったままである。昔からジョーは、息子に対する愛情をうまく表現することができずにいた。妻のリリーはそんな彼を非難する。それでもジョーは、賭博に出かけるよりほかなかった。ある晩、彼は賭博で大損した後、ひとりの娼婦に出会い、彼女に一悩みを打ち明ける。息子の死刑執行の通知を待つ恐怖を。そして、息子が銃
を持った男たちに担架で運ばれてきた恐ろしい夜の記憶を。ジョーは息子の訴訟のために闘い続ける。息子の罪を許してくれる被害者の承諾を得ようと奔走し、雨の夜、彼はずぶ濡れになるのも厭わず待ち続ける。ついにこの努力のお陰で、マニュは死刑を免れ、大統領の特赦を受けた。その後数年間、彼が刑務所から刑務所へ移送される度に、その町でジョーは賭博をしていた。あいかわらず、父と息子の面会は、会話のないぎこちないものだった。
そして11年後、マニュはとうとう自由の身になった。しかし、ジョーは刑務所に迎えに行かずに、家で待っていた。互いに彼らは、心のなかにこの再会のための言葉を用意して。
映画館の前にはジャック・ベッケル監督の『穴』のポスターが飾られている。映画の初日、原作と脚本を書いたマニュがサインをしている。彼はいまや成功し、ファンに囲まれている。この日、ジョーはやって来ていたが、人混みのなかで、息子に近づこうとはしなかった。彼に気づいた元看守のグランヴァルが、輪のなかに入るように勧めるが、ジョーはそれを断って、「これでいいんだ」と眩きながら通りへと出てい
く。マニュは父が来ていたことを聞いて追いかけるが、去った後だった……。
今や老境に達したマニュ、ジョゼ・ジョヴァンニは、この父と子の物語を映画にしたがった。決して自分の心を見せなかった、いまは亡き父にも見てもらえるように。
スタッフ
製作:アラン・サルド
監督・原作・脚色:ジョゼ・ジョバンニ
共同脚色:ベルトラン・タベルニエ
撮影:アラン・ショカール
編集:クロディーヌ・メルラン
美術:ロラン・ドヴィル
音楽:シュルジェンティ
キャスト
父ジョー:ブリュノ・クレメール
息子マニュ:ヴァンサン・ルクール
看守:リュフュス
母エミリー:ミシェル・ゴデ
弁護士:ニコラ・アブラハム
ドリーヌ:マリア・ピタレジ
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