原題:Spy Sorge

「梟の城」から2年——篠田正浩監督最新作

2003年/日本・ドイツ/ 配給:東宝

2003年9月8日より10月3日まで自由が丘武蔵野館にてモーニングショー公開 2003年11月21日よりDVD発売開始 2003年11月14日よりビデオレンタル開始 2003年6月14日より全国東宝系にてロードショー公開

公開初日 2003/06/14

配給会社名 0001

解説


篠田正浩最後のプロジェクト遂に始動!
映画監督篠田正浩が、l0数年もの間温めてきた積年の企画”スパイ・ゾルゲ”がいよいよ始動する。昭和8年(1933年)9月に来日してから昭和16年(1941年)の太平洋戦争開戦前夜まで、日本政府の最高機密報を盗み出し、モスクワに送りつづけたロシア人スパイ”リヒャルト・ゾルゲ”。日本の特高
警察に逮捕された時、「もはや日本に盗む機密は何もない」と自ら豪語する程の優れた情報収集能力。誰をも惹きつけるハンサムにして強烈な個性とその人間的魅力。スパイであると同時に透徹した目を持つジャーナリストにして文化人類学者。そして、プ
レイボーイ…。この両世界大戦間の激動の時代を駆け抜け、その諜報活動によって世界の歴史をも動かした一人の<怪物>に惚れ込んだ、篠田正浩がその監督生命をかけて「スパイ・ゾルゲ」を21世紀のスクリーンに登場させる。中国く上海>・ソ連<モスクワ>そして日本<東京>、20世紀最大の国際スパイ“ゾルゲ”の活躍を圧倒的なスケールで描き出す、エンターテインメント超大作が誕生する。
 この映画で描かれる、1930年代激動する世界情勢の中で、数々の決断を追られた昭和日本の姿は《紛れもない事実》である。そして、登場人物達の「そのとき」の心理的葛藤と行動、そして重大な決断は歴史上の真実であり、それは平成日本へとつながる道となった。観客はこの映画で描かれる、ゾルゲの行動、尾崎の決断、日本を動かした政界上層部の思考、そしてルーズベルトとスターリンの判断を、今日迷走を続ける日本人の姿と重ね合わせるだろう。
そして「人間としての生き方」「人生選択の判断」のヒントを導き出すかもしれない。そして遂には「日本人とは何か」を再発見することになるかもしれない。映画「スパイ・ゾルゲ」が描き出す昭和と、そこに生きた人々の姿が、平成日本を生きる観客の知的好奇心を刺激する。
 昭和8年、日本の対ソ戦略を探るために一人の男がソ連から日本に送り込まれた。彼の名は、リヒャルト・ゾルゲ(イアン・グレン)。国際共産世界の実現を夢見て、ソ連コミンテルンに所属するスパイ。ゾルゲは、ドイツの新聞”フランクフルター・ツァイトゥンク”の記者として、また優秀なナチス党員とし
て、日本のドイツ大使館に潜入する。そして、日本の機密情報をドイツ大使館経由で手に入れる。(事実、モスクワに送った機密情報の実に60パーセントは、ドイツ大使館から得たものであった。)
しかし、ドイツ大使館経由の情報に限界を感じたゾルゲは、後に”ゾルゲ諜報団”と呼ばれる一大スパイ組織を結成する。その中にゾルゲと直接口をきく事が出来る主要メンバーが4人いた。ゾルゲが上海で中国情勢をスパイしていた時からの知り合いで、
大阪朝日新聞社勤務の尾崎秀実(本木雅弘)、沖縄出身の画家・宮城与徳(永澤俊矢)、無線の天才マックス・クラウゼン(ウォルフギャング・セッシュマイヤー)、そしてフランス共産党員で写真記者ブランコ・ド・ヴェケリッチ(アーミン・マレヴスキー)。国際共産主義がもたらす<労働者の楽園=理想世界実現>を夢見て、ゾルゲと、この尾崎をはじめとした4人が中心となり、「二・二六事件」「ノモンハン事件」「独ソ開戦」日本のあらゆる最高機密情報を手に入れ、モスクワへ無線で報告する。そして影でスパイ達の心を支える、ゾルゲの愛人三宅華一(葉月里緒菜)、ヴェケリッチの妻・淑子(小雪)。ジャーナリスト、アグネス・スメドレー(ミア・ユー)。5人のスパイとそのスパイを愛した女たちは、任務遂行、理想実現の為に、激動の20世紀を舞台に、スリリングでセンチメンタルなドラマを縦横無尽に繰り広げていく。
最後は、時代という大きな力に飲み込まれる事も知らずに…。
 昭和8年にスターリンの指令を受け、日本の対ソ戦略を探るため送りこまれたゾルゲ。彼は、スパイであると同時に熱心なジャーナリストであった。日本の近代史はもちろん、古事記や源氏物語に至るまで実に、lOOO冊にも及ぶ関係書物を読みあさり、日本を深く理解し、そしてその魅力にはまった男。当時、自由な言論の封殺下にあり日本のジャーナリズムが正当に機能しない中、ゾルゲは愛国心も利害関係もない、まったくニュートラルな状態で、昭和を見つめた唯一のジャーナリストであった。彼の目に映った、二・二六事件、ノモンハン事件、御前会議での仏印進駐決定…、それら事実は、その客観的な分析によって数々のレポートとなり、モスクワに発信されていった。そのレポートにこそ、日本人の誰もが見出だせなかった真の昭和日本の姿があった。一人のスパイ”ゾルゲ”の目を通して、映画のもう一人の主役ともいえる”昭和”という時代がスクリーンに鮮烈に描き出されていく。
 二・二六事件、御前会議、ドイツ大使館、オートバイで駆け抜けた銀座、機密情報を交換したドイツクラブ、そして愛する女、華子と過ごした大切な場所…《ゾルゲが見た東京、ゾルゲが生活した東京》今回、早稲田大学国際情報通信センターおよびNTT
の全面協力を得て、最先端のデジタル合成技術を駆使した「昭和の東京」が作り出される。(本編において使用するCGカットは800カットにも及ぶ)中高年層からすれば懐かしく、若年層から見ればどこよりも新鮮に写る1930年代の東京の街並が最新のCG技術によって、21世紀のスクリーンに再現される。そして衣装は、森英恵が当時をイメージしてデザインをする。ゾルゲが、尾崎が、華予が、そして、街行くモダンガール・モダンボーイが、森英恵の衣装をまとい、本当に酒落ていた時代の銀座の街を行き交う…。

ストーリー

スタッフ

製作・脚本・監督:篠田正浩
エグゼクティブ・スーパーバイザー:原正人
プロデューサー:鯉渕優、マンフレッド・ドルニオク
製作:ドルニオク・プロダクション
撮影:鈴木達夫
美術:及川一
音楽:池辺晋一郎
衣裳デザイン:森英恵
録音:瀬川徹夫

キャスト

リヒャルト・ゾルゲ:イアン・グレン
尾崎秀実:本木雅弘
吉河光貞:椎名桔平
特高Y:上川隆也
宮城与徳:永澤俊矢
三宅華子:葉月里緒菜
山崎淑子:小雪
尾崎英子:夏川結衣
近衛夫人:岩下志麻

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