私が女になった日
原題:The Day I Became a Woman
200O年東京フィルメックス映画祭出品作品 2000年ヴェネチア映画祭 最優秀新人監督作品賞、イタリア批評家協会賞、ユネスコ映画・テレビ評議会賞 2000年トロント映画祭最優秀新人監督作品賞 2000年シカゴ映画祭最優秀新人監督作品賞 2000年プサン映画祭最優秀アジア映画賞 2000年ナント映画祭審査員特別賞 2000年テッサロニキ映画祭最優秀監督賞
2001年3月8日フランス初公開
2000年/イラン/35mm/カラー/78分 配給:ギャガコミニュケーションズ アジア・オセアニア映画グループ
2006年06月23日よりDVDリリース 2004年02月06日よりDVDリリース 2004年02月06日よりビデオリリース 2002年2月2日よりシアター・イメージフォーラムにて公開
公開初日 2002/02/02
配給会社名 0025
公開日メモ 『ブラックボード』のモフセン・マフマルバフ監督が脚本を担当し、妻のマルジエ・メシキニ初監督作品
解説
コバルトブルーが美しいペルシャ湾に浮かぶイランのキシュ島。
イスラム社会で逞しく生きる女性たちの自立への願いと、それに反する厳しい現実を鮮烈に捉えた衝撃的な映画が生まれました。
少女、女、老女。世代の違う女性たちが、三つのオムニバス・ストーリーを通して、それぞれが幸せへの航海に漕ぎだしていく。
圧倒的に男性上位社会のイランに暮らす女性たちの自立した想いは、果てしなく広がる大自然を舞台に、ゆっくりとした時を刻みながら、旅立っていきます。
ストーリー
Havva(Eve)
第一話ハッワ(イヴ)
今日はハッワの9歳の誕生日。
イランでは、女の子は9歳になると、大人の女性として扱われるようになります。
まず、チャドルと呼ばれる大きなスカーフを頭からまとって、髪を隠さなければなりません。
そして、なんといっても悲しいのが、今まで兄弟のように一緒に遊んでいた男の子たちと、気軽に遊べなくなってしまうことです。
ハッワの生まれた正午まであと1時間。
それまで男の友だちハッサンと遊びたいと、ハッワはお祖母さんとお母さんにお願いします。
最初は反対していたお祖母さんも、とうとう最後には許してくれます。
お祖母さんが教えてくれた日時計。
砂の上に立てた棒の陰がなくなったら正午です。
ハッワはたびたび日時計で時間を確認しながら、ハッサンと残り少ない時間を過ごします。
そして、正午。
お母さんが心配して迎えに来てくれました。
さあ、これからハッワも大人の女性の仲間入りです。
Ahoo(deer)
第二話アフー(鹿)
たくさんの女性たちが、チャドルをまとったまま、もの凄いスピードを出しながら自転車を漕いでいます。
この日キシュ島では、女性たちによる自転車レースが行われていました。
参加者のひとりであるアフーは、離婚を望んでいました。
彼女の後を追いかけて、馬に乗った男たちが次々と現れます。
「女が自転車なんてやめなさい」
「それは悪魔の乗り物だ」
「離婚はアッラーの意思に背く」
夫、離婚調停人、親兄弟といった様々な立場の男たちが、アフーに自転車に乗るのをやめて家へ帰るように説得します。
そんな男たちを振りきるようにして、アフーの自転車はどんどんスピードを上げていきます。
コバルトブルーに輝くキシュ島の海をバックに、またたく間にライバルたちを追い抜いていきます。
道端で座り込んで休んでいる女性たち。
自転車を引きずりながら歩いている女性たち。
それでもアフーは休まずに走り続けます。
しかし、そんな彼女が目にしたものは……。
先回りして待ち伏せしている男たちの姿でした。
ついに男たちはアフーを捕らえます。
Houra(nymph)
第三話フーラ(妖精)
飛行機から降り立ったひとりの老女、フーラ。
彼女は、ポーターの少年たちを従えて、バザーへとお買い物に行きます。
フーラの指にたくさん結ばれたりボン。
それには彼女が欲しいものの名前が記されていました。
大きな冷蔵庫、あたたかなベッド、優雅なティーポット、そして純白のウェディングドレス……。
どれも長い間フーラが憧れていた品々。
それらはまるで花嫁の嫁入り道具みたいでした。
実は、彼女はあるところがら相続したお金で、かつて一度も実現することのなかった夢を叶えていったのでした。
フーラは次々とお買い物をしていきますが、ひとつだけ思い出せないものがありました。
海辺で買ったものをすべて広げて思い出そうとしてみましたが、年老いた彼女には難しいようでした。
しかし、フーラは少年たちと一緒にいるうちに、昔結婚したかった男性のことを思い出しました。
「もしあの人と一緒になっていたら……今ごろ可愛い子供がいたかもしれない」
彼女は少年たちに自分の息子にならないかと切り出しますが、本当の両親がいるからとあっさり断られてしまいました。
やがてフーラは、購入したもののすべてを大きないかだに乗せて、どこまでも続く大海原へと旅立っていきます。
スタッフ
監督:マルズィエ・メシュキニ
脚本:モフセン・マフマルバフ
撮影:モハマンド・アフマディ(第一話)
エブラヒム・ガフォーリ(第二話・第三話)
録音:アッバス・ラストガルプール(第一話)
ベフルーズ・シャハマト(第二話・第三話)
美術:アクバル・メシュキニ(第..1話・第三話)
編集:メイサム・マフマルバフ(第一話)
シャフルザド・プーヤ(第二話・第三話)
音楽:モハマンド・レザ・ダルヴィシ
音響:ベフルーズ・シャハマト
スチール:ハナ・マフマルバフ(第一話)
メイサム・マフマルバフ(第二話・第三話)
制作:モハマンド・アフマデイ(第一話)
ルーホッラ・バラダリ(第二話・第三話)
制作秘書:ハナ・マフマルバフ(第二話・第三話)
製作:マフマルバフ・フイルム・ハウス
キャスト
《第一話ハッワ(イヴ)》
ハッワ:ファテメ・チェラグ・アザル
ハッサン:ハッサン・ナベハン
母親:シヤフルバヌー・スイスイザデ
祖母:アメネ・パサンド
《第二話アフー(鹿)》
アフー:シャブナム・トルーイ
夫:スィルス・カフーリネジャド
オスマン:マフラム・ゼイノルザデ
競輪の競争相手:ヌーリエ・マヒギリヤン
《第三話フーラ(妖精)》
フーラ:アズィゼ・セッディギ
少年:パドル・イルーニネジャド
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