原題:THE LAST SNOW

過ぎ去った青春(とき)と現在(いま) その接点が描き出す、こころの痛み。 永遠なる青春映画の巨匠が贈る、 あらゆる世代の心の弦を響かせる物語。

2002年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm

2002年/日本/カラー/111分 配給:大映

2003年08月22日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年08月22日よりDVDリリース 2002年11月23日より日比谷シャンテシネ他ほか全国ロードショー公開 2002年9月28日よりスバル座他ほか全国ロードショー公開 2002年4月27日より大分県先行ロードショー公開 2002年4月大分臼杵市にて先行公開

大分先行上映報告記者会見レポート::http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=154

公開初日 2002/09/28

配給会社名 0058

解説


■永遠なる青春映画の巨匠・大林宣彦監督。その最高傑作、誕生。
『時をかける少女』ほかの傑作群で、人の輝く瞬間を見事なまでに映像化し続ける映画監督・大林宣彦。その作品は、誰もが一つや二つは思い当たる、ほのかな甘味と棘のように刺さる痛みを込めて、青春期の微妙な心の動きを瑞々しく描き出している。自身の古里・広島県尾道市を舞台とした『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』。また、『廃市』『青春デンデケデケデケ』など、大林宣彦監督作品には、感受性にあふれた「代表作」と呼ぶべき作品は多い。その数々の名作と並んでなお、最高傑作と呼ぶべき作品が誕生しようとしている。それが新作『なごり雪』である。
人生に行き詰まった男が、古里に戻り、自らの青春と向き合うことで、静かに再生してゆく過程を、美しく、切なく、丁寧に描き出してゆく。
2002年春、日本の映画史に新たな傑作青春映画の名が刻み込まれる。

■70年代を代表するフォークソング「なごり雪」がイメージモチーフ
タイトルのとおり、この作品は70年代に一世を風靡したフォークソングの名曲「なごり雪」がイメージモチーフとなっている。
南こうせつをリーダーに、「神田川」「22才の別れ」など数々の名曲を生んだフォークバンド「かぐや姫」。「なごり雪」は、そのメンバーの一人、伊勢正三さんが詞と曲を作り、1974年発売のアルバム「三階建ての詩」に収録され、大きな反曇を呼んだ。その後「なごり雪」は、女性フォークシンガー「イルカ」に提供され、大ヒット。多くの人がこの曲を耳にすることとなった。以来、心に残る名曲のひとつとして、今も多くの人に愛され続けている。

■静謐で幽玄な佇まい。舞台は、大分県臼杵市
物語の舞台は、大分県臼杵(うすき)市。
大林監督は、2000年4月大分県大町町で開催の全国植樹祭の総合プロデューサーとしてその準備にあたっていた際、臼杵市を訪れた。古く、静かで、美しい町並み。時間がゆっくりと流れ、人の心も穏やかで、たおやかな人の暮らしの気配に充ちている町。その町のありように、大林監督は感動した。また、隣町の津久見市は、「なごり雪」を作った音楽家、伊勢正三さんの古里であった。臼杵の町と、名曲「なごり雪」が、大林監督を揺り動かし、創作意欲をかき立て、それが映画『なごり雪』に結実したのである。

■ヴェテラン・三浦友和と新星・須藤温子、宝生舞が奏でるアンサンブル
この物語に実力派キャストが集結した。自らの過去と向かい合う主人公・梶村祐作は三浦友和。三浦は『マヌケ先生』で、大林監督自身をモデルにした馬場鞠男役を託された俳慶である。ヒロイン雪子に、全日本国民的美少女コンテストグランプリに輝く須藤温子。祐作を魅了する女子大生に、『あした』でも大林監督作品に出演経験のある宝生舞。祐作と親友水田の青年時代を演じるのは、伸長著しい若手実力派・細山田隆人と反田孝幸。親友・水田の現在の姿は、ベンガルが実在感たっぷりに演じる。

大林宣彦監督
1938年1月9日広島県尾道市生まれ。
幼少の頃から映写機やフイルムに親しみ、6歳にして早くも個人映画を制作。16歳で8mmカメラを入手し、数多くの個人映画を制作、発表。作品は高い評価を得る。
1964年頃から草創期のテレビコマーシャル界に関わり、1970年代には千本あまりのCMを制作。第一人者の名声を得る。
『HOUSE/ハウス』(77)で、映画界に進出。
『転校生』(82)を古里・尾道で製作。『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)と続く《尾道三部作》で多くのファンを魅了した。
『異人たちとの夏』(88)毎日映画コンクール監督賞『北京的西瓜』(89)山路ふみ子映画賞『青春デンデケデケデケ』(92)日本映画批評家賞、芸術選奨賞文部大臣賞『SADA』(98)ベルリン映画祭国際批評家連盟賞など、数多くの受賞歴がある。

ストーリー

 一人ぽっちで自殺願望と戯れながら、五十歳を迎えようとしている男、梶村祐作を、二十八年ぶりに古里へと呼び寄せるかつての友、水田健一郎、この物語はそこから始まる。
「妻が、……雪子が死にかけている。……祐作、帰って来てくれないか、臼杵に」。
 妻?……雪子。……雪などめったに降らない温暖な町に住みながら、雪が降ると奇蹟が起きる、……そう信じて、その名前の通り雪を愛し待ち焦がれ続けた美しい少女。
 臼杵。……九重連山に抱かれ、豊後水道に面した、温暖で風光明媚な古い城下町。祐作はそこで少年時代を過ごし、水田や雪子と出会い、そして別れた。
 二十八年ぶりに古里に戻った祐作が見たものは、全身に包帯を巻かれ、やがて訪れる死を静かに待つ、かつての親友の妻、雪子の姿だった。祐作の脳裏に雪子を見た最後の日が蘇る。雪子の手から剃刀を奪おうとする水田、手首を血に染めて「違う!」、と叫んだ雪子。あの夜少女に何があったのか。逃れようの無い重い現実を前に、蘇る青春の追憶。いつも自分を恋していた雪子。その気持ちを知りながら深く傷つけた自分。いつも雪子を恋していた水田。そしてまた東京の大学へ向う自分をホームで見送り、春にはきっと帰って来て、とせがんだ雪子。約束を守れなかった自分。雪子は俺が守ると言った水田の姿。自分達はこの二十八年間、何を得て、何を失ったのか。「なごり雪」の切なくも美しい旋律に乗って、日本の古里の中、物語はやがてクライマックスへと向う。

スタッフ

企画:臼杵市(大分県)
   TOSエンタープライズ(大分県大分市)
   ピー・エス・シー
企画製作:ピー・エス・シー
     TOSエンタープライズ
プロデューサー:大林恭子、山崎輝道
伊勢正三 詞・曲〈なごり雪〉より
監督:大林宣彦
脚本:南柱根、大林宣彦
《なごり冒》唄・ギター演奏:伊勢正三
映画音楽:学草太郎、山下康介(編曲・指揮)
撮影:加藤雄大
美術:竹内公一
照明:西表灯光
録音:内田誠
編集:大林宣彦
助監督:南柱根
制作担当:若山直樹
スクリプター:呉美保
ヘアー・メイク:岡野千江子
衣装:千代田圭介
装飾:河合良昭
スチール:谷口和生
特機:中川貞利
ポジ編集:内田純子
ネガ編集:幸地甫之

キャスト

梶村祐作(現在):三浦友和
園田雪子:須藤温子(新人)

梶村祐作(青年期):細山田隆人
水田健一郎(青年期):反田孝幸

水田夏帆:長澤まさみ
杉田良一:田中幸太郎
新谷由梨絵:斉藤梨沙
槙 弘美:日高真弓
     小形雄二
梶村道子:左時枝
水田の母:津島恵子

水田健一郎(現在):ベンガル

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