原題:Sleepless NOHOSONNO

2001年1月5日イタリア初公開

2001年/イタリア映画/カラー/ドルビーSR/ヴィスタ/117min/英語版 配給:日本コロムビア

2002年12月21日よりDVD発売開始 2002年3月30日より新宿武蔵野館3(シネマ・カリテ)にてレイトショー公開 2005年03月23日よりDVDリリース

(C)Medusa FiIm S.p.A-2000

公開初日 2002/03/30

配給会社名 0176

解説


北イタリアの都市トリノで、無惨な連続殺人事件が起こる。町に住んでいた小人が容疑者として浮上、しかし彼の変死によって事件の幕は降りたかに見えた。あれから17年、突如再開された、当時と同じ手口での連続殺人に再びトリノの町は騒然となる。単なる模倣犯なのか、それとも17年前の事件には別の犯人が存在していのか?当時から事件を追っていたモレッティ警部と、17年前に母親を連続殺人犯に惨殺された青年ジャコモ。2人は忌まわしい過去に今こそ決別を告げるべく、事件の後を追う。しかしそこには思いもよらぬ衝撃の真実が隠されていた…。
1969年『歓びの毒牙』で鮮烈に監督デビューを飾った、ホラーの帝王ダリオ・アルジェントがこの最新作で目指したのは、なんと『サスペリアPART2』など初期傑作でみせた完璧なるスリラーへの回帰。ヒッチコック的な、淡々とした“真に迫る”完壁さを兼ね備えたスタイリッシュさと、言わばゴダール的な映像イメージを繰り出し、今回も観客の期待を全く裏切ることのない仕上がりである。それに加え、動物をモチーフにした謎、ゴブリンによる壮麗な音楽、一人称カメラなど、映画のどこをとってもアルジェントでしかありえない暗号が満ち満ちており、アルジェント・ファンなら誰もが捻らずにはいられないであろう。しかもこの新作では、70年代初期作品である『私は目撃者』、『四匹の蝿』、そして『サスペリアPART2』の舞台となったイタリア・トリノが再び惨劇のステージとして選ばれているという念の入れようである。そもそもアルジェントの作品は、観客の全く予測不可能な視点から起こる事件、そしてもはや芸術的としか言いようのない、狂気と鮮血の映像が特徴的で、公開するたぴに多くの観客を虜にしており、今やアルジェト・ファンによる作品への愛情は、熱狂的な崇拝ともなっている。
ただ、今回の新作がこれまでの作品と大きく変わる点は、鮮血のイメージを抑えつつ、あえて登場人物たちの感情や精神的心情の変化をクローズ・アップしたサイコ・スリラーに仕上がっている点であり、アルジェントの長期活動停止期における映画に対する心情の変化が窺われる。
今回の新作に関してもうひとつ忘れてならないのは、アルジェント・ムービーには欠かせない音楽を長年務めてきたプログレッシヴ・ロックバンド、ゴブリンとのコンビ復活であろう。アルジェント独特の雰囲気を醸し出している映像と、かってゴールデン・コンビと言われていたゴブリンの音楽が見事に復活し、アルジェントの映像マジックが観るもの全てを引き込んでしまう。『サスペリア』『サスペリアPART2』や『シャドー』など数々のアルジェント・ムービーで常に音楽を手掛けてきたゴブリンは長らく解散状態にあったが、本作『スリーブレス』のために、もう一度黄金期のメンバーを復活させて音楽を担当している。
そして、本作で引用されている子守唄「The Animal Farm Rhyme」はアルジェントの娘アーシア・アルジェントによって書かれたものである。長年アルジェント作品の製作を担当する弟のクラウディオが今回も参加しているなど、最愛の家族の協力によって見事に復活したアルジェントの新作は、その年齢を感じさせない実にパワフルな仕上がりになっている。2002年には、アーシア・アルジェントが、亡くなった姉に捧げるために手掛けた初監督作『スカーレット・ディーバ』も日本公開が予定されており、アルジェント旋風が再び日本を震憾させるのではないだろうか。

ストーリー



1983年。イタリア・トリノのとあるアパートで、若い母親が、喉奥に金属の縦笛を突き刺され無残に殺害された。頻発する女性ばかりを狙った残虐的連続殺人に、今まで平穏だったトリノの町は衝撃に震える。現場に駆けつけたモレッテ.イ警部(マックス・フォン・シドー)は惨劇の一部始終を目撃していた幼い少年ジャコモを見つけるとこう告げた。「君の母親を殺した犯人は、僕の生涯をかけても捜し出すよ。」その後、容疑者と思われる小人の作家が変死体となって発見され、犯人の死亡という結末でこの事件は終わりを告げようとしていた。
それから月日は流れ17年後。とある家に男性客と居た若い売春婦は、その男の変質的な要求や雰囲気に恐怖を覚え、男が寝ている間に家を抜け出す。そのとき間違って紛れ込んだ男のファイルを持ったまま夜行列車に逃げこんだ彼女はそのファイルの中に17年前の事件を示唆する写真や新聞の切抜きを発見する。携帯で友人の娼婦に助けを求めたものの、駅に友人が駆けつけたころには既に車内で無惨にも何者かに殺されていた。さらにその友人の娼婦も自分の車に戻ったところを襲われ血の海に沈んだ。現場に駆けつけた捜査官たちは、列車内で殺されていた女性が『“小人殺人事件”の真犯人を見つけた』と車掌に言い残していたことから、17年前に起こった連続殺人事件との共通点を見出すべく、当時の事件を担当していたモレッティ元警部に当時の事件を聞きに会いに行くが、モレッティはすでに現役を引退しており、事件の詳細は既に暗い記憶の迷路の奥に追いやられていた。
そんな中、クラブの女性ダンサーが何者かに殺されるという事件が起こった。殺害状況からあの小人殺人事件との共通点が浮かび上がってくる。現場には、動物をかたどった紙片が残されており、何故か被害者である女性の爪から先が切り落とされていた。過去の亡霊に突き動かされた如く、モレッティは捜査官たちに混じり、事件の現場に立ち会っていた。何かが記憶の中から甦りそうな感覚にいても立ってもいられず、モレッティは自ら警察に向かい、当時の記録を拾い始める。
同じ頃、青年に成長したジャコモ(ステファノ・ディオニジ)は付き纏って離れない母親殺害の情景を忘れようと、トリノを出て、ローマで普通の生活を送っていた。ある日地元の旧友であるロレンツォ(ロベルト・ジベッティ)から再び始まった殺人事件のことを知らされたジャコモは、この事件の真相を自らの手で暴き出す以外に、自分のトラウマを癒す道はないと悟り、地元トリノに戻る。連続殺人事件と自分の母親殺しとの接点を探るべく、トリノの警察に向かったジャコモはそこでモレッティに再会する。彼らは警察とは無関係に、協力して事件を追うこととなった。2人はまず、当時容疑者として上がっていた小人の廃屋を訪れ、事件への手掛かりを捜し始めた。
小人の屋敷に星を踏み入れた2人が遭遇したものは、当時から町に住む怪しい男と、書棚に乱雑に置かれた童謡の本だった。男が口ずさむその童謡の奇妙で残酷な歌詞に2人は何か引っかかるものを感じたものの、当時の記憶となかなか結びつかず、事件解決への突破口をつかめずにいた。その間にも謎の法則にのっとった殺人事件が警察の捜査を嘲笑うかの如く続いていた。しかしやがてモレッティは17年前の事件と今回の事件との、ある決定的な相違点を見出す。そしてそれはまさに意外なる真相を示唆するものであった。が、その時既にモレッティ自身に危機が迫り来ていた…。

スタッフ

監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
製作:ダリオ・アルジェント、クラウディオ・アルジェント
撮影:ロニー・テイラー
音楽:ゴブリン

キャスト

モレッテイ捜査官:マックス・フォン・シドー
ヅャコモ:ステファノ・デイオニジ
グロリア:キアラ・カセッリ
ロレンゾ:ロベルト・ジベッテイ
ローラ:ロッセーラ・フォーク

LINK

□IMDb
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http://www.nonhosonno.it/
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