「ナビィの恋」の中江裕司監督が贈るハートフル沖縄映画

東京国際映画祭2002コンペティション部門出品作品 審査員特別賞受賞::http://www.tiff-jp.net/ 2003年ベルリン国際映画祭正式出品

2002年/日本/35mm/カラー/ヴィスタ/DTS/92分 イエス・ビジョンズ、バンダイビジュアル、讀賣テレビ、オフィス・シロウズ、読売テレビエンタープライズ 配給:シネカノン

2004年01月23日よりDVDリリース 2004年01月23日よりビデオリリース 2003年6月14日よりシネマライズほか全国ロードショー公開 2002年10月28日シネ・フロント、10月31日オーチャードホールにて上映

(C)2002 「ホテル・ハイビスカス」パートナーズ

公開初日 2003/06/14

配給会社名 0034

解説


沖縄にある、小さなちいさな「ホテル・ハイビスカス」。

見る人全てを魅了した『ナビィの恋』の中江裕司監督、4年ぶりの待望の新作がふたたび沖縄を舞台に完成した。主人公は、前作のおばぁナビィから一転、小学3年生の美恵子。お転婆、といってすませるにはあまりにも破天荒で天真爛漫、生きるエネルギーがいっぱいに溢れ、ウチナーグチ(沖縄言葉)で表現すればなんとも「ウーマクー」な少女なのだ。美恵子役には「世界中で美恵子が一番好き!」という蔵下穂波が沖縄の小学生3100人の中からオーディションで選ばれ、青空に向かって真直ぐに笑うハイビスカスの花のような、強烈なヒロインを体現してくれた。

子供の頃には誰でも見ることができたはずの、不思議に満ちた「外」の世界。至るところに神が宿り、キジムナーの生息するその世界と対侍する美恵子の元気いっぱいの生命力、躍動感に満ちた奔放さは、彼女を温かく時には厳しく見守る両親、兄弟、おばあの3世代と、そしてなによりも沖縄の風土そのものが持つおおらかさと神秘性に守られ、育まれた賜物。気がつけば真っ青な空、こぼれるような陽射し、心地よい風、真っ赤なハイビスカス、どこまでも広がる海原や森の緑のなかで、美恵子のエネルギーをもらいながら心が潤いを取り戻し、やがて元気いっぱいになっていくのを感じることができるだろう。

「ホテル・ハイビスカス」を営む、とっても“インタァナソナル”な美恵子の家族をはじめとして、今作も絶妙なキャスティングが仕掛けられている。くわえタバコのファンキーなおばあには『ナビィの恋』、そしてNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」ですっかり“沖縄のおばあ”として全国的な人気となった平良とみ。美人で働きものの母ちゃんに、やはり「ちゅらさん」でもおなじみのベテラン余貴美子。三線(さんしん)とビリヤードが得意な父ちゃんには沖縄民謡界を代表する照屋政雄。そして美恵子が森で出会う不思議な老人キジムナータンメーを演じるのは、『ナビィの恋』につづいて出演となった沖縄民謡の神髄を今に伝える巨人・登川誠仁。さらにCM出演でブレイクした和田聡宏に加えて前作から友情出演の西田尚美、村上淳らが中江監督のもとに駆けつけている。

キャストとともに風景を彩るのは、ふたたび琉球サウンド。三線の音色の心地よさに心をなごませる一方で、なんともいえず懐かしくなる、「クラリネットをこわしちゃった」や「ABCの歌」も聞こえてくる。ところが歌詞はなんだか違う…?
それは見ての聞いてのお楽しみだ。

ストーリー

そこにはいつも太陽があり、風が吹き、花があり、笑いがあり、
そして歌がある。だから、ホテル・ハイビスカス!

ホテル・ハイビスカスでは一泊四千円のところ、今なら沖縄料理付きで三千円。でもお客さんが泊まれる部屋はひとつしかない。ホテルを営んでいるのは腕白でお転婆、なんとも型破りな小学校3年生の少女・美恵子をはじめ、バーで働きながら一家を支えている美人の母ちゃん、三線(さんしん)とビリヤードが得意な父ちゃん、黒人とのハーフのケンジにいにい、白人とのハーフのサチコねえねえ、そしてくわえタバコのおばあ、とっても“インタァナソナル”、な顔ぶれだ美恵子は今日も忙しい。同じクラスの親友ガッパイとミンタマーを引き連れて、森の精霊キジムナーを探すのだ。そんな学校の帰り道、美恵子らは行き倒れの青年を発見し、ホテルに運んでやることにした青年の名は能登島。彼もその日をきっかけにホテル・ハイビスカスの泊まり客として、美恵子ら家族の一員となった。

フェンス

美恵子、ガッパイ、ミンタマーの3人はガジュマルの木に宿る精霊、キジムナーを探しに出発する。フェンスの穴から米軍基地の中に潜入した3人は、そこで「まやー食いおばあ」と出会う。まやー食いおばあは、死んだネコの皮を剥いで食べるんだと解説するミンタマー。好奇心から後をついて行った3人、実は心やさしいおばあの家で唄を聞かせてもらったり、お菓子をもらってひとときを過ごす。帰り道、米軍の兵士に見つかってしまう美恵子たち。兵士のひとり、ジョージのことをキジムナーが変身した姿ではないかと疑う美恵子。ところが彼は、ちょうど軍の任務で来日していたケンジにいにいの父ちゃんだった。母ちゃんや美恵子たちはジョージに会いに基地のゲートを訪ねるが、ブロボクサーを目指して練習に打ち込むケンジは約束した時間に会いにこようとしない。みんなが諦めかけたその時、トレーニングのケンジが走ってくるが、ケンジはゲートを通り越し、立ち止まりもせずにそのまま走りつづげていってしまう。だがその一瞬だけ、ジョージとケンジの二人は基地のフェンス越しに並んで走ることができたのだった。

太陽(ていーだ)母ちゃん

ホテル・ハイビスカスでは31周年と3ヵ月と3日目の創立記念日ということで、大抽選会が催される。父ちゃんには泡盛1年分、おばあにはお線香1年分と、みんなに素敵なプレゼント。美恵子が当てたのは、全自動洗濯機。洗濯機は壊れたばかりだったからちょうどよいタイミング、そして母ちゃんには、なんとアメリカペア旅行のチケットが当たる!実はこの会はアメリカにいるサチコのパパに会いに行こうとした母ちゃんの、美恵子をなだめるための作戦だったのだ。美恵子はお盆までには帰るからという母ちゃんの約束で、二人を渋々見送ることにした、やがて美恵子にとっては今まで経験したこともなかった、母ちゃんとサチコねえねえのいない夏休みが始まるのだった。

美恵子の大冒険

美恵子は母ちゃんに代わって洗濯したり、朝ごはんを手伝ったり。ある日アメリカから、美恵子がひとりで起きられるためのでっかい目覚まし時計と母ちゃんからの手紙が届く.ところがそんな時に限って、父ちゃんは具志堅さんのパイン畑の収穫の手伝いに出かけ、おばあは近所まで山羊といっしょに出かけ、ケンジにいにいはトレーニングに出かけ、みんな留守なのだ。美恵子はその手紙を急いで父ちゃんのもとに届けようと、ランドセルを背負ってひとりバスに乗り込んだ。パイン畑がある宮城に着き、地元の子供たちと缶蹴り遊びをしていたらいつの間にか日は暮れてきた。父ちゃんのところに急ごうと薄暗くなった道をひとり歩いていると、突然ひとりの老人が現れる。そのおじいはキジムナー夕ンメーと呼ばれていて、キジムナーのことをよく知っているというガジュマルの木の上で一晩を過ごし、おじいと声をあわせて歌う美恵子。やがて、不思議な光が美恵子のまわりにやってきた…。
翌朝、おじいに書いてもらった地図を頼りにパイン畑に着いた美恵子だが、一足違いで父ちゃんは仕事を終えて帰ってしまっていた。がっかりしながらも、父ちゃんがひとりでこなしたパインの収穫を誇らしげに見ながら、美恵子も家に帰るのだった。

お盆どうーい

お盆がやってきた。母ちゃんとサチコはまだ帰ってこない。美恵子はそのことをからかったクラスメートに思わず石をぶつけてしまう。おかげで父ちゃんからは大目玉。思わず家を飛び出してあてもなくさまよううち、とっぷりと日は暮れていった。夜になり、誰もいない公園で美恵子は自分にそっくりな多恵子という名の少女と出会う。だが心配した父ちゃんがやってきた時には、もう多恵子の姿はなかった。父ちゃんは美恵子をおぶって帰るが、家に着いても美恵子は眠ったように動かない。途中で、美恵子の「マブイ(魂)」が落ちてしまったのだ。父ちゃんは慌てて道を引き返し、おばあと能登島は必死で家にマブイを迎えようとする。美恵子は、ふたたび多恵子に出会い、バンシルー(果物)をもらう。やがて美恵子のマブイが戻ってきた。そして美恵子を救ってくれた多恵子は、幼い頃死んでしまった父ちゃんの妹だったことがわかる。
やがて、母ちゃんたちが帰国する日がやってきた。大きな垂れ幕を作って迎える美恵子みんなで手を振る。「おかえリンゴー!」変わらない笑顔で、母ちゃんたちが戻ってきた!

スタッフ

監督:中江裕司
企画:佐々木史朗
製作:竹中功 川越和実 高原健二 吉川和志
プロデューサー:佐藤美由紀 久保田傑 新井真理子
共同プロデューサー:吉田晴彦 河野聡 藤門浩之
アソシエイト・プロデューサー:弘中謙
原作:仲宗根みいこ『ホテル・ハイビスカス』
脚本:中江素子 中江裕司
撮影監督:高間賢治(J.S.C)
照明:上保正道
録音:白取貢
美術:金田克美
編集:宮島竜治
スクリプター:松橋章子
衣裳:宮本茉莉
ヘアメイク:大野悦香
助監督:武正晴
監督補:具志堅剛
制作担当:森井輝
音楽担当:磯田健一郎
エンディングテーマ『白雲節』登川誠仁
特別協力:沖縄県名護市・(財)名護市観光協会・名護市商工会

キャスト

蔵下穂波
余貴美子
平良とみ
照屋雅雄
ネスミス
亀島奈津樹
和田聡宏
登川誠仁

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す