原題:K-PAX

K−パックスからやってきたという謎の男、彼には人の心を癒す不思議な魅力があった・・・

2001年10月26日全米初公開

2001年/ドイツ・アメリカ/カラー/120分/Dolby Digital 配給:日本ヘラルド映画

2002年10月17日よりDVD発売&レンタル開始 2002年10月17日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年4月13日より日劇プラザほか東宝洋画系にて公開

公開初日 2002/04/13

配給会社名 0058

公開日メモ K-PAX という惑星から来たという宇宙人が人々の心を癒していくヒューマンドラマ。

解説


初夏のニューヨーク。グランド・セントラル駅が不思議な光に包まれた日、雑踏のなかに黒いサングラスをかけた男が現れた。自分を、地球から1000光年離れたKーパックス星人だと主張する彼は、病院の精神科へ送られ、そこでひとりの医者と運命の出会いを果たす。妄想とは思えない的確さで宇宙の謎を語る男と、そんな彼の真実を見極めようとする医者。ふたりの間にはいつしか医者と患者の立場を超えた絆が芽生えていくのだが……。
「アメリカン・ビューティー」「ユージュアル・サスペクツ」で2度のアカデミー賞に輝いたケビン・スペイシーと、「ザ・コンテンダー」をはじめとする4作品でアカデミー賞候補にあがったジェフ・フリッジス。アメリカ映画を代表する名優ふたりが、熱のこもった共演を見せる感動のヒューマン・ドラマが誕生した。アメリカで発売前から話題を呼んだジーン・ブルーワーのベストセラーを「鳩の翼」のイアン・ソフトリー監督が映画化した『光の旅人』。自称・異星人というユ=一クなキャラクターが主人公を務めるこの作品は、意外性に満ちたストーリー展開のなかに人と人との絆のテーマを優しく語りあげ、昨年10月、最も「救い」を求めていたアメリカでNo.1大ヒットを記録した。
 スリの疑いをかけられて捕まったグランド・セントラル駅で、自分は異星人だと名乗り、精神病院へ送られたプロート。だが、穏やかな物腰でアインシュタインをも打ち負かす光旅行の概念を語る彼の言葉には、妄想の枠を遥かに超えた説得力があった。それを素直に信じる患者仲間たち。プロートに心を開いた彼らは、いつの間にか自分で自分を癒すカに開眼。そして、診療にあたるパウエル医師もまた、プロートとの出会いから、疎遠になっている息子との関係を見つめなおすきっかけを与えられる。超然とした雰囲気を漂わせながら、周囲に不思議な影響を与えて行くプロート。果たして彼は本当に異星人なのか?
この最大の謎であるエンディングを迎えた時、ふと“やさしい気持ち”になっていることに気付く。こんな不思議なことも、もしかしたら現実におきることなのかもしれない…、幸せの”青い鳥”を見つけられるかもしれない…と想像させてしまう映画だからこそ、心を癒す現代の寓話として語りつがれていくのである。その感動をいっそう確かなものにしているのが、プロートに扮したケビン・スペイシーの名演だ。人間より遥かに進化したK一バックス星人を自称するプロート。知的で分析的なキャラクターは、デッドパン(無表情)な個性を持つスペイシーの十八番だ。さらに映画の後半では、より複雑に変化するキャラクターを圧倒的なパワーで演じきり、見る者に深い感銘を与える。対するパウエル役、ジェフ・ブリッジスの温かみのある演技も魅力の一つだ。プロートの正体をめぐる疑念や、彼との会話に触発されて生じる心の葛藤をきめ細かく表現し、映画に寄せる観客の共感を大きくリードしていく。このふたりを取り巻く共演陣にも充実の顔ぶれが揃った。パウエルの妻レイチェルには、「ディープ・インパクト」のメアリー・マコーマック。同僚の医師クラウディアには、「パッションフィッシュ」のアルフレ・ウッダード。また、プロートの患者仲間として「クロウー飛翔伝説一」のテヴィッド・パトリック・ケリー、「SLAM」のソウル・ウイリアムズ、「バカー・ヴァンスの伝説」のピーター・ジェレティ、「テッドマン・ウォーキング」のセリア・ウェストンらが出演し、素晴らしいアンサンブルを見せてくれる。監督は、デビュー作の「バック・ビート」で一躍脚光を浴び、オスカー4部門の候補にあかった「鳩の翼」で評価を高めたイアン・ソフトリー。今回の演出に関して、「娯楽性と不思議な雰囲気のある作品にしたがったが、それでいて現実感があり、真実味のある映画を目指した」と語る彼は、役者たちの演技を最大限に活かす抑制のきいた語り口で、そのウィジョンを見事に達成している。脚本は、「マイ・フレンド・メモリー」でも脚色に巧みな腕を発揮したチャールズ・リーヴィット。撮影監督は「グラティエーター」でオスカー候補にあがったジョン・マシソン。プロダクション・デサインは、「最後の誘惑」を代表作に持つほか、「サイバーネット」と「鳩の翼」でソフトリー監督と組んでいるジョン・ベアード。編集は、「羊たちの沈黙」「レッズ」でオスカー候補になったクレイグ・マッケイ。衣裳テザインは「Xーメン」のルイーズ・ミンゲンバック。心にしみる音楽は、「チャーリース・エンジェル」「クルーエル・インテンションス」のエドワード・シャーマーか担当。また、エンディング・テーマ『SafeandSound』を歌うシェリル・クロウの音楽も作品により一層の深みを加えている。

ストーリー


マーク・パウエル(ジェフ・ブリッジス)はマンハッタン医学協会の精神科部長を務める精神科医。日々の診療で多忙を極める彼のもとにある日、ベルビュー病院からひとりの患者が転送されてくる。彼プロート(ケビン・スペイシー)は、グランド・セントラル駅でスリの疑いをかけられ、警察に収容された身元不明の中年男性。だが本人は、自分の身元をはっきりと主張していた。彼は、自分が地球から1000光年離れたKーパックスという惑星から、光エネルギーに乗ってやって来た異星人であると言うのだ。妄想におかされているにしては、あまりにも理路整然と宇宙や光旅行の概念について説明するプロート。彼に興味を覚えたパウエルは、天文学者の義弟スティーヴ(ブライアン・ハウイ)に質問表を作ってもらい、Kーバックスが架空の惑星であることをプロートに納得させようと試みる。しかし、驚いたことにKーバックスに相当する星は実在していた。しかも、その惑星の存在は、まだ学会にも発表されていない新発見であるという。さっそくプロートを連れて天文学研究所を訪れたパウエルは、学者たちを前にしたプロートがスラスラと惑星の軌道を解説するのを見て驚きを隠せなかった。もしかしたら、プロートは本当に異星人なのかもしれない。パウエルの胸には医者らしからぬ疑念が芽生え始める。
 一方、プロートの患者仲間たちは彼が異星人であることを疑いのない事実として受け入れていた。実際、プロートには、人々の心を開かせる不思議なカがあったそれまで一歩も病室を出たことのなかったミセス・アーチャー(セリア・ウェストン)は、プロートと会話したことをきっかけに談話室へ顔を出すようになり、病気恐怖症のアーニー(ソール・ウイリアムズ)も、プロートに導かれて庭に出られるようになった。そして「3つの任務を完了す
れば病気が治る」というプロートの言葉を信じたハウイー(デヴィッド・パトリック・ケリー)は、青い鳥を探す最初の任務を果たすため、強迫観念症という自身の障害も忘れて窓の外の観察を始める。そんな患者たちの変化を案じたパウエルは、プロートに「悪影響を与えるな」と忠告するが、逆に「生物には自分で自分を癒すカがある」と反論されてしまう。プロートが「7月27日にKーバックスへ戻る」と言い出したのは、そんな日のことだった。診療時の記録ではプロートが地球へやって来たのも5年前の7月27日。まさにその日にプロートにとって何かトラウマになる事件か起こったに違いない。そう直感したパウエルは、自宅で催す独立記念日のパーティーにプロートを招き、自分の家族と対面させようと
思い立つ。というのも「K一バックス星人は結婚をせず、家族も持たない」というプロートの言葉に、ひっかかるものを感じていたからだ。パーティー当日。到着するなり犬と会話できる才能を見せたプロートは、たちまち子供たちの人気者になった。成り行きを心配していたパウエルの妻レイチェル(メアリー・マコーマック)も、プロートの落ち着いた物腰に不思議な安らぎを覚え、パウエルと前妻の息子の仲がうまくいってないことを打ち明ける。事件が起こったのは、それから間もなくのことだった。パウエルの娘のブランコを押していたプロートが、スプリンクラーの水をパウエルの娘に浴びさせまいとして、突然暴れ出したのだ。この事態を深刻に受け止めた医師のクラウティア(アルフレ・ウッダード)はプロートに危険人物のレッテルを張ろうとするが、パウエルは強行に反対。パウエルは催眠術を使って、トラウ
マの原因を究明しようと試みる。そして浮かび上がってきたのはパウエルの予想を遥かに超えた出来事だった……。

スタッフ

監督:イアン・ソフトリー
脚本:チャールズ・リーヴィッド
製作:ローレンス・ゴードン、ロイド・レヴィン、ロバート・F・コールズベリー
原作:ジーン・ブルーワー
撮影:ジョン・マシソン
プロダクション・デザイン:ジョン・ベア—ド
編集:クレイグ・マッケイ
音楽:エドワード・シャーマー
衣裳デザイン:ルィーズ・ミンゲンバッグ

キャスト

プロート:ケビン・スペイシー
パウエル博士:ジェフ・ブリッジス
レイチェル・パウエル:メアリー・マコーマック
クラウディア・ヴィラー:アルフレ・ウッダード
ハウイー:デヴィッド・パトリック・ケリー
アーニー:ソール・ウィリアムズ
サル:ピーター・ジェレティ
ミセス・アーチャー:セリア・ウエストン

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す