原題:Following

「メメント」のクリストファー・ノーラン監督デビュー作

1998年ロッテルダム映画祭タイガー・アワード受賞 1999年ニューポート映画祭監督賞受賞

1999年4月4日全米初公開

1998年/イギリス/モノクロ/SRD/70分(69分48秒)/35mm/1:1.66 配給:アミューズ・ピクチャーズ

2002年05月24日よりDVD発売&レンタル開始 2002年05月24日よりビデオ発売&レンタル開始 2001年12月8日より渋谷シネ・アミューズにてレイトショー公開

公開初日 2001/12/08

配給会社名 0008

公開日メモ 「メメント」のクリストファー・ノーラン監督デビュー作

解説


《いくつもの層からなる予測を超えるどんでん返し。緻密な計算で練られた脚本は、デヴュー作にしてすでにモダン・クラシックな香り。完成度の高さに衝撃を受けるクリストファー・ノーラン渾身の初監督作品》
作家志望のビルは、創作のヒントを得るために、通りすがりの人々の跡をつける行為を繰り返していた。ある日ビルが跡をつけていた若者コッブが彼の行動に気づき、面と向かって話しかけてくる。だがビルと同様、コッブもある背徳行為に取りつかれていた。他人の私生活を覗き見てスリルを得るために、留守宅への侵入を繰り返していたのだ。家宅侵入のコツを教わり、創造意欲を刺激されたビルは、コッブの自信に満ちた行動に感化されてゆく。そしてコッブと共に侵入したアパートで見た写真の女に與味を抱き、彼女の跡をつけはじめる・・・・・・。
過去から未来へ(フラッシュフォーワード)、そして未来から過去へ(フラッシュバック)、時間軸が交錯する独創的なスタイルを用いた『フォロウィング』は、主人公ビルが見えない力に翻弄されていく様に、観る者をも同時に翻弄していく。まさに観客の知識と読解力が試される映画である。全米中がアッと驚いた『メメント』のクリストファー・ノーランによるデビュー長編は、斬新な手法と、オリジナリティ溢れる作風に満ちており、インディーズ映画における類稀なる新しい才能の誕生を証明する1本である。

《限りなくゼロに近い低予算から生まれた傑作ノワール》
『フォロウィング』は、日本公開を迎えたばかりの超話題作『メメント』のクリストファー・ノーラン監督の、記念すべき長編第1作である。平日は企業向け広報ビデオ制作会社の正社員として働き、土曜日に限って本作の制作を続けて約1年。監督・脚本・制作・撮影・編集の1人5役という離れ業に挑んだノーラン揮身のデビュー作は、ロッテルダム映画祭のタイガーアワード、ニューポート映画祭の監督賞などを受賞。無名のキャストを起用した限りなくゼロに近い低予算作品ながらも傑作ノワールとして注目を浴び、母国イギリスや北米など、世界各国で”劇場公開されている。

《全米が熱狂した『メメント』の原点》
『メメント』はラストシーンから始まり、事件の核心に向けて時制が巻き戻されていく斬新なスタイルで全米中をアッと驚かさせたが、『フォロウィング』にはさらに複雑なスタイルが用いられている。主人公ビルの回想形式で始まる本作において、時制は未来から過去へ、過去から未来へと交錯し、過去の幾つもの出来事の順序がバラバラに構築されている。私たちは映画を観ている瞬間から、それぞれのシーンをパズルのように組み合わせ、時間の流れを発見しなければならない。観る者の記憶力と集中力、そして緊張感が試されるこの映画は、まさに、その革新的な演出手腕が世界中で高く評価された『メメント』の原点だといえよう。

《毎週、土曜日、20週以上にわたる撮影》
本作の制作当時、監督を含むスタッフとキャストは皆定職を持つ社会人だったため、撮影は20数週間に渡る土曜日に限って行われた。監督が大学時代に制作した短編”Larceny”と”Doodlebug”に出演したジェレミー・セオボルドが主人公ビルを、彼の推薦により、ミステリアスな若者コッブにはアレックス・ハウが、ブロンドの女にはルーシー・ラッセルがキャスティングされた。3人とも長編映画初体験の新人ながらも、「限られた時間で完壁な演技を披露できる、舞台経験を持つ投者が不可欠」との監督の条件を満たした逸材である。
ノーランに加えて制作に携わったのは、ビル役のジェレミー・セオボルドと、イギリスの独立系映画制作会社、ワーキング・タイトル・フィルムス勤務のエマ・トーマス。『メメント』でもコンビを組んだデイヴィッド・ジュルヤンが、音楽とサウンドを担当している。また、イギリスを代表する映画制作会社、ワーキング・タイトル・フィルムズのティム・ビーウァン&エリック・フェルナーが、協力者としてクレジットに名を連ねている。

《ハリウッドのリーディング・ディレクターとなったノーラン》
『フォロウィング』で得た評価を足がかりにアメリカで制作された長編第2作『メメント』は、その大胆で複雑な構成が話題を集めて口コミで評価が高まり、リピーターが続出。スクリーン数11館・興行成績26位で始まった全米リリースが、上映10週目にして531館に拡大・8位に上昇という異例の快挙を成し遂げた。メジャー進出を果たした最新作『インソムニア』には、名優アル・パチーノとヒラリー・スワンク(『ボーイズ・ドント・クライ』)が主演。ノーランの才能に惚れ込んだスティーブン・ソダーバーグ(『トラフィック』で本年度アカデミー賞監督賞受賞)が制作を担当している。

ストーリー

《ロンドン。作家志望のビルはこれまで自分の身に起こった出来事を警察に語り始める》
ピルは見知らぬ人々の跡をつける行為にとりつかれていた。創作のヒントを得るために、ビルは今日もある若者の跡をつける。ところが、その男はビルに気づいて彼を導き、面と向かって彼を問いただす。ビルが行為を釈明すると、人当たりの良い若者はコッブと名乗り、自分もまた見知らぬ人間の行動に興味を持っていると説明する。だが、コッブのやり方はビルのそれとは異なっていた。コッブは他人の留守宅に押し入っては居住者の生活を想像し、その秘密を暴くことにスリルを見出していたのだ。コッブは早速ビルを連れてある家に入り込み、ビルに家宅侵入のコツを伝授する。創造意欲を刺激されたビルは、コッブの自信に満ちた行動に感化されてゆく。

数日後、とあるクラブに入ったビルは、ブロンドの女に声をかける。女はビルに、クラブのマネージャーが彼女の元恋人で、今でも彼女に近づこうとする男に嫉妬心を剥き出しにするのだと注意を促しつつ、最近自宅のアパートが泥棒に入られたと漏らす。実はその犯人こそビルとコッブであり、ビルはそこで見つけた写真の女の跡をつけて、このクラブに足を踏み入れたのだった。その後ビルは彼女のアパートを訪ね、2人は肉体関係を持つ。

女が今でもクラブのマネージャーと会っていると知り、ビルは彼女を咎める。女はビルに、マネージャーが彼女の写真をエサに交際を強要しているのだと説き、クラブのある金庫にある写真と金を盗んで欲しいと頼む。女から金庫のナンバーを聞き出し、ビルはクラブに侵入。しかし、金を奪っているまさにその時、ハンマーを持った男に襲われてしまう。揉み合った末にビルはハンマーを奪い、男を殴ってその場を後にする。

ビルはコッブと落ち合い、これまでの経緯とブロンドの女について告白する。するとコッブはビルに暴力で応酬してきた。訳の分からぬまま女の元へと向かったビルは、彼女から衝撃的な言葉を聞く。彼女をゆするための写真は存在せず、ビルはクラブで殴り殺される運命にあったのだと。コッブこそが女の現在の恋人であり、2人はコッブが犯した老婆殺害の濡れ衣をビルに着せようとしていたのだ。ビルは老婆殺しについて身の潔白を証明するために、意を決して警察に赴くが・・・・・・。

スタッフ

監督:クリストファー・ノーラン
制作:クリストファー・ノーラン、ジェレミー・セオボルド、エマ・トーマス
制作総指揮:ピーター・ブロデリック
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影監督:クリストファー・ノーラン
編集:ガレス・ヒール、クリストファー・ノーラン
アート・ディレクター:トリスタン・マーティン
音楽:デイヴィッド・ジュルヤン
特殊メイクアップ:ミランダ・ガニング
サウンド:イヴァン・コーネル、デイヴィッド・ロイド、デイヴィッド・ジュルヤン、ジェームズ・ウィーラー
喧嘩の振付:ダレン・オルマンディ
制作会社:ア・シンコピー・フィルム・プロダクション、ネクスト・ウェイブ・フィムス

キャスト

ビル:ジェレミー・セオボルド
コッブ:アレックス・ハウ
ブロンドの女:ルーシー・ラッセル
警察官:ジョン・ノーラン
禿げの男:ディック・ブラッドセル
家主:ギリアム・エルカディ
ウェイトレス:ジェニファー・エンジェル
バーマン:ニコラス・カルロッティ
会計士:ダレン・オルマンディ

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