満たされていると思っていた平穏な日々に、 嵐のように襲い掛かる官能の世界。 未知の快楽は、未知のサスペンスを呼ぶ。

2002年1月18日全米初公開

2001年/アメリカ/ビスタサイズ/101分/字幕翻訳:古田由紀子/ 配給:アミューズ・ピクチャーズ

2002年08月23日よりDVD発売&レンタル開始 2002年08月23日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年2月23日より日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にて公開 2002年3月2日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開

ビデオ時に変わった場合の題名 Killing Me Softly

公開初日 2002/02/23

配給会社名 0008

公開日メモ 人の心の奥底に眠っている別の世界への願望。激しく心をときめかす世界は、どこかにきっとあるはず・・・。 出勤途中、アリスは体を貫くような男の視線の魔術に絡めとられ、衝撃の出会いを体験した。日常から非日常への扉を開けたアリスを待ち受けていたのは、めくるめく快楽と愛だった。しかし、男に溺れれば溺れるほど彼への謎は深まり、死の影がアリスに迫ってくるのだった。

解説



人の心の奥底に眠っている、別の世界への願望。今のような生活ではない、激しく心をときめかす世界はきっとあるはず・・・。出逢いは突然やってきた。出勤途中のいつもと変わらない交差点。立ち止まった男の視線が、アリスの体を貫いた。現実から遥か彼方に飛翔するようなときめきと高揚感。アリスはその時、日常から非日常の異次元とでもいうべき世界の扉を開けたのだ。アダムという男とのめくるめく快楽、そして愛。しかし彼に溺れれば溺れるほど彼への謎は深まり、死の影が付きまとい始めるのだった。

アリスの視点で語られるこの物語は、数々のセックスシーンと彼女の心の揺れを体感させながら、見るものを幻惑させていく。引き締まったジョセフ・ファインズの肉体と登山家という設定が、女をさらに激しく征服していこうとする欲望とないまぜとなり、妖しげな愛の行方の危うさを感じさせつつ、後半のサスペンスを際立たせていく。陳凱歌監督の映像も随所に青、緑、赤と原色を配置するなど、凝った演出をしている。劇中のセックス描写は『ナイン・ハーフ』『ラ・マン/愛人』『ダメージ』などの過去のセックス・モード映画にない、大胆さと激しさに満ちている。

『さらば、わが愛/覇王別姫』の陳凱歌監督が初の英語作品に挑んだハリウッド進出作!
過激なボンデージ・テイストを織り込んだ原作をアーティスティックに仕上げたのは、『さらば、わが愛/覇王別姫』でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した国際的なA級監督で、中国映画界の至宝・陳凱歌監督だ。欧米での監督作を探していた陳凱歌監督が本作の脚本を気に入り、英語作品の第1回作品として選んだ。ハリウッドのスタッフ・キャストと組んだ初のハリウッド進出作である。多彩な人間模様を華麗な映像で語る名手・陳凱歌監督は、ここでは好奇心旺盛なアリスの心理をなぞりながら、アダムの謎めいた心の陰影をあぶりだす。

結婚後、アダムへ殺人の疑惑を募らせていくアリスがアダムの素性を探っていく過程は、イングリッド・バーグマン主演の『ガス燈』やヒッチコックの『断崖』を思わす夫疑惑モードのサスペンス演出。この映画では陳凱歌監督が中国映画では検閲の問題があり撮れなかったエロス表現を試みたところも演出の妙。その表現も変化に富み、様々な場所で、次第にエスカレートしていく激情を巧みに盛り上げ、その行きつく先の危険を暗示している。台所のテーブルの上で、雪降る街角で、暖炉の前で、と様々な場所を使ったセックスの構図は、扇情的な濃厚さを狙わず、1枚1枚を印画紙に定着させたようなアート感覚で切り取られている。なかでも新婚初夜の山小屋でアダムが長いリボンを使いながら、アリスを究極の性の世界に誘うエロス表現は、陳凱歌監督ならではのスタイリッシュな映像美で魅せる、愛と死の予感を秘めた耽美なセックス描写だ。

2002年注目の女優=ヘザー・グラハムとジョセフ・ファインズが共演!
ヒロインのアリスを演じるのは、清純なルックスのヘザー・グラハム。『ブギーナイツ』のローラーガール役でのヌード演技で注目され、『オースティン・パワーズ:デラックス』でセクシー女優としてブレイク、次代のセックス・シンボルと目されている注目女優だ。劇中、アダムとの関係によって花開いていく過程を皮のスカートから、チャイナ服、ブルーのドレスへと装いを変えながら、官能を匂い立たせていく変身ぶりも魅力的だ。

寡黙でミステリアスなアダムを演じるのは『恋におちたシェイクスピア』『エリザベス』で注目された英国の演技派男優ジョセフ・ファインズ。ヒロインを一瞬にして射抜くような熱い視線と、登山家という設定で逞しく鍛え上げられた肉体が彼の存在感を際だたせる。また、姉役には『トゥルーマン・ショー』のナターシャ・マケルホーン、刑事役に『ことの終わり』のイアン・ハートらの英国の演技派俳優も共演。

原作とは結末が違う映画化版!
原作はジョーン・フレンチとニッキ・ゲラードというジャーナリストの夫婦がニッキ・フレンチというペンネームで書いた英国のベストセラー小説『優しく殺して』(角川書店刊)。映画化に際し原作を大幅に脚色した。原作では、ヒロインのアリスは英国女性の設定だが、映画版ではロンドンに来たアメリカ女性に変えた。登場人物もアダムの姉のキャラを加えるなど大幅に入れ変えて、映画版では原作とは違うひねりの効いた犯人像が登場し、意外な結末が用意されているのがミソ。全体に原作以上に、アリスとアダムの男女の出会いと別れがロマンティックに演出されている。

ストーリー



アリス(へザー・グラハム)は、ロンドンに住み始めて18ヶ月のアメリカ人。ウェブサイト開発を担当するキャリアウーマンである。彼女はエンジニアの恋人ジェイクと平穏な生活を送っていた。だが、ある朝アリスは出勤途中の交差点でミステリアスな男と出逢う。男の強い視線の魔術に吸い込まれたアリスはオフィスを出て、先程男が消えた本屋を覗き、彼と再会する。男はタクシーを停めて開いたドアの横に立ち、アリスを見つめた。それは彼女の人生を変えてしまう入り口となった。

ノース・ロンドンの男の家で、これまで経験したことの無い激しい愛の営みに溺れるアリス。1度限りにしなければいけないと思った危うい出逢い。しかし、翌日男が登山中に遭遇した事故で多くの人々を救助した有名な登山家のアダム・タリス(ジョセフ・ファインズ)である事を知ることによって、逆により一層彼への想いを募らせてしまう結果となった。激しい想いと狂おしい欲情を胸に、再びアダムの家に訪れたアリスは、愛を交し合った後、登山の滑落事故で、当時恋人であったフランソワーズを救えなかった事をずっと後悔しているとアダムに告白される。それはアリスの心を掴み、彼女はアダムへの揺ぎ無い愛を感じる。これ以上偽りと裏切りの生活を過ごす事は出来ないと感じたアリスは、ジェイクに別れ話を切り出し、鞄ひとつでアダムの家へと向かった。しかしそこにいたのは、アダムではなく、アダムの姉のデボラ(ナターシャ・マケルホーン)であった。アダムの家は別にあるという。アリスは彼の本当の家に駆けつける。そして二人の最高に幸せな愛の日々は始まった。

二人はアダムのお気に入りの、山間にある教会で電撃的に結婚式を挙げ、近くの山小屋で初夜を迎える。二人の愛の行為は、激しさを増し、次第に死の危険をはらみ始める。〜リボンで首を絞められる新たな官能の世界〜そして、アリスは高揚する愛欲に身を委ねながらも、実はアダムの過去について殆ど何も知らない事を実感するのだった。そんな折、妻となったアリスの元へ無言電話やアダムとの関係を警告する無記名の手紙が舞い込む。愛すれば愛するほど、アダムの隠された過去を知りたくなるアリス。調べてゆくうちにアダムの過去に纏わる信じたくないような出来事が次々と明るみになりはじめる…レイプ事件に失踪事件。その時アリスは彼女自身既に逃れられない状況に巻き込まれていたことに気付く。アリスは疑念による不安を感じ、愛は恐怖に変わってゆく。一体何が真実なのか?彼への不信は妄想に終わるのか?徐々に迫る身の危険を感じながら、物語は意外な結末を迎えてゆく…。

スタッフ

監督:陳 凱歌/チェン・カイコー
製作総指揮:アイヴァン・ライトマン
製作総指揮:ダニエル・ゴールドバーグ
製作:リンダ・マイルズ、ジョーメジャック、マイケル・チニック
原作:ニッキ・フレンチ
脚本:カラ・リンドストロム
共同脚色:カラ・リンドストロム
撮影:マイケル・コールターB.S.C.
編集:ジョン・グレゴリーA.C.E.
音楽:パトリック・ドイル
衣装:フィービー・ヂ・ゲイ
プロダクション・デザイン:ジェマ・ジャクソン

キャスト

アリス・ロウドン:ヘザー・グラハム
アダム・クリス:ジョセフ・ファインズ
デボラ・タリス:ナターシャ・マケルフォーン
クラウス:ウルリッチ・トムセン
ダニエル:イアン・ハート
ジェイク:ジェイソン・ヒューズ

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