原題:THE HOLE

大切なものは中においてきた。 若葉の緑かおる春、イギリスノパブリック・スクールから、 4人の生徒が忽然と姿を消した。

2001年4月20日イギリス初公開

2001年/イギリス/カラー/102min/ドルビーデジタル/シネマスコープ(1:2.35) 字幕翻訳:松浦美奈/原作『穴』:アーティストハウス刊 後援:ブリティッシュ・カウンシル 提供:ポニーキャニオン、コムストック/配給:コムストック

2002年12月18日よりDVD発売開始 2002年5月18より恵比寿ガーデンシネマにて公開

(C)PATHE FUND LIMITED2001

公開初日 2002/05/18

配給会社名 0028

公開日メモ イギリスの読書界に衝撃を与えたガイ・バート原作「アフター・ザ・ホール」が映画化!新世代のフラッ シュバック・スリラー。

解説



若葉の緑かおる春、イギリスの名門パブリック・スクールから、4人の生徒が忽然と姿を消した。18日後、失踪者の中から薄汚れ、憔悴しきった少女リズがたった一人で戻ってくる。彼女に、そして3人のクラスメイトの身に、いったい何が起こったのか?
やがてリズが、「事件」の核心について回想を始める。初めはちょっとした思いつきから生まれた、無邪気な冒険だった。リズたち4人は地理の研究旅行をさぼって週末を楽しく過ごそうと、第二次世界大戦の防壕=「穴」に入ったのだ。リズにとっては、ハンサムな片思いの相手、マイクと親しくなるチャンス。素敵なパーティーになるはずだった。ところが、迎えにくるはずだったマーティンが来なかったことから、パーティー会場の「穴」は地獄へと豹変する……。
ニック・ハム監督の『穴』は、歪んだティーンエイジャーの「心の闇」が招いた悪夢の顛末を描く、いままでにないミッシング・ムービーだ。
事件の真相をたどるうち、観客はいつしか、少女の心のインサイドヘと入り込んでいることに気づくだろう。次第に明かされる、「穴」での出来事。しかし、物語は見たとおりのものではない。多面性を持った少女と同様に、映画自体も多面性を持っているのだ。そこに渦巻いているのは恐るべきティーンエイジャーの恋、欲望、嫉妬、自尊心……。誰が犯人なのか、「穴」で実際は何が起こったのかわからないまま、スリリングに展開する物語。そしてその先には、さらにショッキングな結末が待ち受けている!
このまったく新しいミッシング・ムービーは本国イギリスで公開されるや、たちまちセンセーションを巻き起こした。過去にこのジャンルでヒットした映画それぞれと共通する魅力を持ちながら、そのどれにもなかった独創性が、若者たちを引きつけたのだ。たとえば、『プレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)のようにミステリアスな導入と展開。『スクリーム』(96)の持つ学園スリラーの雰囲気と、震れ動く青春の色。『シャロウ・グレイブ』(94)のような人間の欲望に鋭く切り込んだ心理描写。そして、極限にまで追いつめられた若者たちのドラマとしては、『バトルロワイヤル』(OO)を思い出す人もいるだろう。しかし、『穴』がそのどれとも違うのは、緊張感あふれるサスペンスと繊密な心理描写の結合であり、背筋が凍るような恐怖の根元なのだ。また、イギリス独自のエリート養成機関、全寮制パブリック・スクールの真実に踏み込んだ点でも、興味深いものになっている。
もう一つ言えるのは、この作品の成功がソーラ・パーチなくしてはあり得なかったということ。子役からキャリアを翼ね、『アメリカン・ビューティー』(99)ではティーンエイジャーの複雑な内面を見事に体現。ティーンの名女優としての地位を築いた。また、カルトコミックの映画化『ゴーストワールド』(01)でも微妙なニュアンスを完璧に演じ、絶賛されたことは記憶に新しい。そんな彼女にとって、この映画で演じたりズは「いままでで一番やりがいがあり、楽しかった」役なのだ。イギリス人で、名門校に通う裕福な家庭の子女。しかも不安定な心理状態で、画面に現れるどの顔が本当の姿なのかわからない。まさにこの映画の鍵を握る存在で、難役中の難役だ。パーチは毎日のように監督と意見をぶつけ合い、「映画の作り手の一人」としての実感を得たという。
原作は、出版当時オックスフォード大学在学中だったガイ・バートによるデビュー小説。4つの文体を使い分けて極限状嚴に置かれたパブリック・スクールの生徒たちを活写し、衝撃のラストヘと導く手腕は数々の賞に輝き、特に若い読者を熱狂させた。これに目をつけたのが、ハム監督だ。長編デビュー作となったロマンティック・コメディ『マーサ・ミーッ・ボーイズ』(98)でも、3つの視点を使い分けた巧みな語り口が評判になったハムのこと。この小説の怜悧さに引かれたのもうなずける。映画版では小説の構成を大胆にアレンジ、映像としての新たな文法を打ぢ出している。
パーチを支えるフレッシュな新星たちも、この映画の魅力だ。リズが思いを寄せる学園のプリンスで、アメリカ人ロックスターの息子マイクには、『ジャンヌ・ダルク』(99)のデズモンド・ハリントン。その親友ジェフは、俳優ジェームズ・フォックスの息子で王立演劇アカデミー(RADA)在学中のローレンス・フォックス。マーティンは『恋におちたシュイクスピア』(98)の劇中劇で女装のジュリエットを演じたダニエル・ブロックルバンク。フランキーには『スター・ウォーズ エビソード1』(99)に出演したキーラ・ナイトレイがあたっている。また、犯罪精神科医フィリッパ役で『シンドラーのリスト』(93)のエンベス・ダビッツが脇を固める。
サウンドトラツクは、ダーレン・アロノフスキー監督の『π』(97)や『レクイエム・フォー・ドリーム』(OO)、ゲーム『バイオハザード』の作曲もつとめるなど注目のクリント・マンセルによるオリジナル。若さあふれるロックからミステリアスなスコアまでバラエティに富んだ曲で、映画により一層の幅を与えている。

ストーリー



若葉の緑かおる春、イギリスの名門パブリック・スクールから、4人の生徒が忽然と姿を消した。そして18日後、失路者の中から薄汚れ、憔悴しきった少女リズがたった一人で戻ってくる。彼女に、そして3人のクラスメイトの身に、いったい何が起こったのか?

まるでボロ雑巾のように汚れ、疲れ果て、樵埣しきった少女が、よろよろと歩いている。打ちのめされた少女は、歩くのがやっとという状態だ。やがて彼女はひとけのないパブリック・スクールにたどり着く。そして受話器を取ってダイヤルすると、悲鳴を上げて意識を失った。

少女の名はリズ(ソーラ・バーチ)。イギリスでも指折りの名門パブリック・スクール、プレイボーン学園の生徒だ。実は彼女を含む4人の生徒が、18日前から行方不明になっていたのだ。警察とマスコミは騒然とする。少女に、そして3人のクラスメイトにいったい何が起こったのか?犯罪精神科の女医フィリッパ(エンベス・ダビッツ)は、この疑問を解くため、リズを精神的ダメージから救うためにカウンセリングを始める。リズはフィリッパのビデオカメラに向かい、悪夢の顛末を語り始めた……。

スタッフ

キャスティング(UK):ケイト・ローズ・ジェイムズC.D.G.
キャスティング(US):ビリー・ホプキンス、スザンヌ・スミス、ケリー・バーデン
メイクアップ:サラ・モンザーニ
衣装:ヴェリティ・ホークス
音楽:クリント・マンセル
ミュージック・スーパーバイザー:リズ・ギャラッチャー
編集:ニヴェン・ハーウィー
美術:イブ・スチュアート
撮影:デニス・クロサンB.S.C.
ライン・プロデューサー:ビル・シェパード
共同プロデューサー:スザンヌ・ウォレン
エグゼクティヴ・プロデューサー:フランソワ・イヴェルネル&アンドレア・コールダーウッド
原作『穴』:ガイ・バート
脚本:ベン・コート&キャロライン・イップ
製作:リサ・プライヤー、ジェレミー・ボルト、ピッパ・クロス
監督:ニッタ・ハム

パテ・ピクチャーズプレゼンツ
イン・アソシエーション・ウィズ、ザ・フィルム・カウンシル
アンドル・スタジオ・カナル・プラス、ア カウボーイ・フィルムズ
グラナダ・フィルム・プロダクション、イン・アソシエイション・ウィズ、インパクト・ピクチャーズ

キャスト

リズ:ソーラ・パーチ
マイク:デズモンド・ハリントン
マーティン:ダニエル・ブロックルバンク
ジェフ:ローレンス・フォックス
フランキー:キーラ・ナイトレイ
フィリッパ:エンベス・ダビッツ

LINK

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□IMDb
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http://www.theholethemovie.com/
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