風のように。星のように。この国の時間は、静かに流れる。

第26回モントリオール世界映画祭正式出品作品

2002年/日本・イラン初合作映画/ドルビー・ステレオ/カラー/106分 配給:日活

2003年05月21日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年05月21日よりDVD発売開始 2002年10月12日よりシネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー公開

(C)「旅の途中で-FARDA-」製作委員会

公開初日 2002/10/12

配給会社名 0006

公開日メモ 「今」を抱える日本人をドキュメンタリーで定評のある監督、中山節夫が丹念に描きこみます。その一方で、彼が遭遇する「異国=イラン」そのものの描写に関してはイランを知り尽くしたイラン映両の名匠アッバス・キアロスタミ監督が監修し、現実とブレない真のイランの姿を描き出しています。

解説




遠い異国、イラン。そこには忘れていた時間があった。「急ぐのは悪魔の仕業」。イランに伝わる言葉です。風が砂漠に静かな跡を残すように。満天の黒が緩やかに息づいているように。地球そのものが持つ、時間の流れ。本来は人間誰もがもっていたはずの静かなリズム。猛烈な牛産総竃の拡大の経験の中で、多くの日本人が忘れてしまった「時間」がイランには流れていました。民族楽器トタールの調べもまた、幽玄に、静かに、時に強く、自然の風の流れのように心を震わせます。わずか2時間ではありますが、イランの時間の流れを感じてください。映画を見終えたとき、あなたは心地よい時間の中に生きているかもしれません。視点は日本人。舞台は「異国」。リアリティ溢れる「異文化体験」を提供。日本が石油を輸入している量で第3位。ピーク時は在日外国人数でも第7位になるなど(現在は減少)、実は日本と深い関係のイランですが、多くの日本人からは想像も及ばない遠い国です。そんなイランに、たった一人で行くことになったら?日本人にとっての異国を、日本人の視点で描きます。
「今」を抱える日本人をドキュメンタリーで定評のある監督、中山節夫が丹念に描きこみます。その一方で、彼が遭遇する「異国=イラン」そのものの描写に関してはイランを知り尽くしたイラン映両の名匠アッバス・キアロスタミ監督が監修し、現実とブレない真のイランの姿を描き出しています。本作は、あなたがたった一人でイランに行くことになったとき遭遇する体験、そのものなのです。日本とイランの初めての合作映画。イランの現在を目の当たりにした日本の企業人が、自分自身を問い直し、本来あるべき自分に気づいていくこの物語を作り上げるには両国の現在の状況を、精敏に見つめる視線が必要でした。そのために現在を見通す、卓抜な視線を持つ両国の映画人が手を組みました。監修には『友だちのうちはどこ』(87)やカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した『桜桃の味』(97)などの作品でイラン映画を一躍広めることになった映画監督アッバス・キアロスタミ。現実ともフィクションともつかない独自の手法が、世界中で評判になりました。監督は数々のドキュメンタリー映画を手がけ、『原野の子ら』(99)ではシカゴ国際児童映画祭最優秀作品賞を受賞した実力派・中山節夫。現在を鋭く描き耕す力を持った二人が日本とイランの間に存在する「時間の流れ方の違い」を確かなタッチで描き、時間と共にある、人々の心の差をも描き出していきます。文化の違いを丹念に描き出す、実力派のスタッフ・キャストが集結。中山節夫監督が心に拙いた、リアルな両国の環境を突き詰めていく中に浮き出してくるドラマを
監督の信頼厚いベテランスタッフが確実に映像化しました。『あつい壁』『セイリング 海にはばたく』なと数々の中山作品に脚本を提供してきたパートナー・横田与志氏が脚本にまとめ上げる一方、同じく『原野の子ら』『あかね色の空を見たよ』などの中山監督作品で丁寧な画面作りをしてきたもう一人のパートナー、古山正氏が撮影を担当。キャストでは現在の日本のサラリーマンの戸惑いそのものを体現する主人公・沖洲貴之に映画、舞台、テレビ、CMにと活躍著しい宍戸開。日本での彼を取り巻く人々に保坂尚輝、忍足亜希子、大杉漣、寺山農、松原智恵子。いずれも短い場面の出演ながら、リアルな存在感で今の日本を浮き立たせています。また、イランで出会う人々の尊敬を集める初老の男にオスマン・ムハマドパラスト。彼は民族楽器トタールの奏者では、イランの第一人者であり、その収入を学校建設のために寄付するなど劇中人物「オスマン」そのもののモデルとなっています。

ストーリー


大手自動車会社から部品メーカーに出向している井沢貴之(宍戸開)は日々仕事に忙殺される毎日を繰り返していた。深刻な不況のなか、井沢がかつてお世話になった町工場の経営者・村田五郎(寺田農)の訃報が届く。告別式に列席した井沢に五郎の娘一浩子(忍足亜希子)は父が残した日記を見せる。そこには強制送還された出稼ぎイラン人メティヘの給与未払いを悔いる村田の無念が綴られていた。井沢はイランに旅立つことを決意する。メティを探し出し未払いの給料を手渡すために。イランに着いた井沢は、空港で日本から帰国したイラン人親子と出会う。警戒する井沢に、暖かく接する親子。彼等を通して今までイメージしていたものとはあまりにも違うイランの人々の現実に触れていく井沢。井沢はメティを探す旅をしながら、今までの自分とは異なる感覚が生まれていることを感じていた

スタッフ

監督:中山節夫
監修:アッバス・キアロスタミ
製作総指揮:中村雅哉
プロデューサー:猿川直人、アリレザ・ショザヌリ
脚本:横田与志
撮影:古山正

キャスト

井沢貴之:宍戸開
オスマン:オスマン・ムハマドパラスト
村田浩子:忍足亜希子
木田史郎:保坂尚輝
村田五郎:寺田農
村田菊枝:松原智恵子
立山功一:大杉漣

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