原題:Harmful Insect

第14回東京国際映画祭ニッポン・シネマ・ナウ正式出品::http://www.tiff-jp.net/ 2001年ベネチア国際映画祭現代映画部門出品 2002年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm

2002年/日本/カラー/92分 配給:日活

2006年11月24日よりDVDリリース 2002年08月02日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年3月16日よりユーロ・スペースにてロードショー公開

公開初日 2002/03/16

配給会社名 0006

公開日メモ 中学一年生の北サチ子は、母親の自殺未遂、小六の時の担任・緒方との恋愛などの体験ゆえか、どこか近寄り難い雰囲気を漂わせる少女だった。自分や母に関する噂話が流れる気詰まりな学校をドロップアウトしたサチ子は、万引き少年タカオと精神薄弱の中年男・キュウゾウに街で出逢い、それまで学校や家庭では得ることが出来なかった心のやすらぎを感じ、子供らしい笑顔を取り戻しはじめる。

解説


“宮崎あおい”が彩 なす心象風景。
誰も頼りにできない、戦場のような家庭や学校。
哀しすぎて泣くことすらできないまま、十三歳の少女は軽やかに疾走する。
成長する過程で誰もが経験する、子供でもなく大人でもない、もどかしくも漠然とした不安感と痛みを、中学一年生のサチ子(宮崎あおい)に突きつけられる残酷な現実を通 じて描き出す。 サチ子自身の混乱を反映させ、クールで無関心を装ったスタイルを貫いた「害虫」は、塩田明彦監督の『月光の囁き』『どこまでもいこう』に続く、圧倒的な演出力を感じさせると同時に、新たな方向性を指し示す反抗的で美しい作品。宮崎あおいの演技が心に強く刻まれる。 2001年ヴェネツィア国際映画祭「現代映画部門」正式出品。
塩田明彦監督の新たな方向性を指し示す、 反抗的で美しい『害虫』
1999年『月光の囁き』『どこまでもいこう』の2作品同時劇場公開で、華々しいデビューを果 たし、国内外で高い評価と多くのファンを獲得することとなった、塩田明彦監督、期待の新作『害虫』。『月光の囁き』は高校生のSM的な純愛を爽やかに、『どこまでもいこう』は小学生の異性へのほのかな恋心を懐かしくも軽快に描いたが、本作『害虫』は、そのちょうど中間にあたる中学生の少女を主人公に据え、大人へと成長してゆく少女の葛藤をクールに表現している。  大人の目から見たステレオタイプな子供ではなく、多面性を持つ一人の人間として子供を描く手腕や、確かな演出力は前作以上に安定感を増し、観る者を圧倒する。  しかし、サチ子という寡黙な少女のキャラクターよろしく、あえてクールで無関心を装ったスタイルを貫いた『害虫』は、サチ子の混乱が作品自体にも繊細に反映され、塩田明彦監督のフィルモグラフィーに、新たな方向性を指し示す、反抗的で美しい作品として刻み込まれることとなるだろう。
ミュージシャン との見事な コラボレート
精神薄弱の路上生活者キュウゾウ、というなんともヘヴィーな役を、ユーモラスに演じたのは、バンド“たま”のランニング姿でお馴染みの石川浩司。独特の演技力で観るものを和ませてくれる。サウンドトラックに参加するのは、塩田明彦監督デビュー作『月光の囁き』に主題歌として「運命の人」を提供した、草野マサムネ(スピッツ)。今回はサチ子の思い出の曲として「帰り道」を作詞作曲している。櫛引彩 香の唄声が、どこかしら懐かしく印象的である。そして、向井秀徳(ナンバーガール)も撮影現場に足を運び、作詞作曲した「I don’t know」を提供。爆裂するギターサウンドにのせ、サチ子の疾走は加速してゆく・・・。
日本映画を支える豪華キャスト
主人公サチ子に『EIREKA(ユリイカ)』(青山真治監督)での好演も記憶に新しい、宮崎あおい。少女らしい佇まいと、はっとさせられるような大人びた表情で、寡黙で心が揺れ動くサチ子の内面 までも見事に表現している。 サチ子が恋心を寄せる相手でもある小学校時代の担任、緒方には田辺誠一(橋口亮輔監督『ハッシュ!』)。殺伐としたサチ子の心を文通 によって支える、重要な役柄で登場し、印象に残る芝居をみせている。サチ子の母親役には、りょう(是枝裕和監督『ディスタンス』)。実年齢をはるかに越える中学生の娘を持ち、不幸な影を引きずる母親、という難しい役柄を堂々と演じている。  街でサチ子と知り合う、万引きで小銭を稼いで生活をする少年タカオには沢木哲(行定勲監督『閉じる日』)。精神薄弱の中年男キュウゾウには、“たま”のパーカッション・ボーカル担当、石川浩司。サチ子のクラスメイト夏子役は『リリィ・シュシュのすべて』(岩井俊二監督)で映画デビューを果 たした、蒼井優。サチ子とは対称的な明るさや優しさを感じさせる瑞々しさが印象的。『どこまでもいこう』で主演を務めたすずき雄作、芳賀優里亜のコンビが再び登場し、成長した姿が見られるのも、塩田ファンには楽しみのひとつだろう。また、天宮良、伊勢谷友介、椎名英姫、頭師佳孝、寺島進、石丸謙二郎、光石研、大森南朋、戸田昌宏、木下ほうかなど、日本映画を支える役者が贅沢に配役されていることも見どころのひとつになっている。

ストーリー



心の視点が定まらない少女の反抗は 軽やかに加速する。
誰も頼りにできない、戦場のような家庭や学校——。
北サチ子(宮崎あおい)は、母親稔子(りょう)の自殺未遂、小学時代の担任、緒方(田辺誠 一)との恋愛などが影響してか、同級生の女の子とは違った雰囲気を持つ中学一年生の少女。
自分に関する噂話が飛び交う、気詰まりな学校をドロップアウトして、街で気ままに毎日を過ごすことにしたサチ子は、万引きで小銭を稼いで生活する少年タカオ(沢木哲)と、精神薄弱の中年男(石川浩司(たま))と知り合う。彼らと小さな悪事を楽しみ、子供らしい笑顔を取り戻す一方で、変わってゆく自分に対する混乱した気持ちを、教師を辞めて遠方の原子力発電所で働く緒方への手紙に書き付けるサチ子。
一方、クラスメイトの夏子(蒼井優)の努力のかいあって か、サチ子は再び登校し始める。合唱コンクール、人気者の男子生徒との恋、そして何より夏子という親友を手に入れて、順調な学生生活を送るようになったサチ子に、残酷な現実が次々と突きつけられていく・・・。
子供らしい悪戯は加速し、自分のことですら信じられなくなったサチ子は、唯一信じられる存在、緒方に会うために走り出す。そして・・・。

スタッフ

監督:塩田明彦
製作:日活株式会社+TBS+ソニーPCL株式会社
製作総指揮:中村雅哉
企画:猿川直人、谷徳彦
プロデューサー:平野隆、平井健一郎、中村聡
ラインプロデューサー:山本章
脚本:清野弥生
音楽:ナンバーガールサウンドトラック盤:キュールレコーズ
劇中歌:「帰り道」作詞・作曲/草野正宗編曲/高野寛
唄/櫛引彩香(シングル盤:東芝EMI)
音楽プロデューサー:北原京子
撮影:喜久村徳章
照明:豊見山明長
美術:磯見俊裕
録音:臼井勝
編集:菅野善雄
助監督:西村和明
製作担当:黛威久
配給:日活株式会社

キャスト

宮崎あおい
田辺誠一
沢木哲
天宮良
石川浩司(たま)
蒼井優
伊勢谷友介
りょう
すずき雄作
米岡ゆり
芳賀優里亜
半田美保子
西満衣
三村恭代
三輪恵未
椎名英姫
頭師佳孝
寺島進
石丸謙二郎
光石研
大森南朋
大沼百合子
戸田昌宏
木下ほうか

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