原題:TOO MUCH FLESH

2000年/フランス/カラー/ヴィスタサイズ/100分/ 配給:日活

2003年06月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年06月25日よりDVD発売開始 2001年12月15日より渋谷シアター・イメージ・フォーラムにて公開

(C)2000 TOLODA BAR-NOTHING TF1 INTERNATIONAL

公開初日 2001/12/15

配給会社名 0006

公開日メモ セックスは魂を解放する!スキャンダラスで挑発的な性の問題作

解説


セックスは魂を解放する!スキャンダラスで挑発的な性の問題作

人は誰でも悩みを抱えて生きている。どんなにささいな悩みでも、それがある限り本当の自由の喜びを知ることはできない。この映画の主人公ライルにとっての悩みはセックスができないことだった。そしてその原因は彼の性器が大きすぎた=[Extra Large Sex]からだった。初体験の時に性器が大きいという中傷を受けて以来、20年もの間、彼は鬱屈した感情をいだきながら生きてきたのだ。
セックスを知らないがために子供のように純粋であり、純粋ゆえに町の人たちとコミュニケーションがとれず孤独な異分子だったライル。ところがこの町にやってきたフランス人女性ジュリエットとのセックスによって、彼の永年のトラウマは一気に開放されてい<。 二つの肉体の出会いは溢れ出す欲望のままに荒々しく燃え上がり、スクリーンにはお互いの体を飽きることなく求めあう二人の濃密な時間が描かれている。しかし、恋愛を超えた関係で結ばれソウルメイトのようになった二人の存在も、町の人たちから見ればタブーでしかない。高まる緊張感の中、やがて衝撃的な事件が巻き起こる……。 舞台となっているのは、自由の国アメリカのネガティブな存在であり、息が結まるように閉鎖的な社会である。人々は宗教的な厳格主義を達て前に欲望を押し隠し、枠組みからはみ出るものを容赦なく排除してい<。この、澱みのような土地の空気に、ライルの秘められた強い生命力が少しずつ浄み出し、ジュリエットという光を見い出したことで一気に噴き出していくのをもう誰も止めることはできないのだ。 自由についての三部作【Freetrilogy】集2弾の登場 映画『SEX:EL』は『ラヴァーズ』で衝撃のデビューを果たしたジャン=マルク・バールの監督二作目である。映画製作への情熱を10年間温め続けた彼は【Freetrilogy】(自由についての三部作)という連作シリーズを企画し、一作目の『ラヴァーズ』では国籍は違っても愛の純粋さは失われないという“性の自由”を描いた。そして今回は性的なトラウマからの解放という“性の自由”をテーマにし、スキャンダラスなまでに過激な作品に仕上げている。 ロケ地として選ばれたのは、ジャン=マルクの父親の生まれ故郷であり、彼自身も少年時代に夏休みを過ごしたというアメリカ中西部イリノイ州ランキンである。撮影には彼の従兄弟や地元の人たちも参加したが、作品のテーマがわかると参加者の多くは消えていき、さらにセットとして使うはずの建物も撤去されてしまったという。 自由を求めることで人は何を失わなければいけないのか——【Freetrilogy】はこの究極の問題をさまざまな形で私たちに突きつけてくる。そしてシリーズ三作目の“Being Light”(日活配給)では“精神の自由”がテーマに描かれていくことになる。 『グラン・ブルー』から14年、伝説のコンビ、 ロザンナ・アークエット&ジャン=マルク・バールがついに復活! 『SEX:EL』は、カルト的人気のある『グラン・ブルー』で共演し伝説のカップルとなったロザンナ・アークエットとジャン=マルク・バールの再共演が話題となっている。 ジャン=マルクは純粋ゆえに苦悩する主人公ライルを自ら演じているが、彼からの出演依頼にすぐさまOKしたのが、ハリウッドメジャーからインディペンデント作品まで幅広く活躍するロザンナ・アークエットだった。彼女は前作『ラヴァ一ズ』を観てとても気に入っていたので、盟友から提案された【Freetrilogy】という冒険的な企画に自ら乗り出すことを決めたという。そして『バルプ・フィクション』『クラッシュ』『バッファロー'66』といった作品で、奔放でエキセントリックな役柄を浪じることが多かった彼女が、今回は過剰なまでにストイックな性格でセックスなき夫婦関係に苦悩する妻エイミー役を演じ、演技派女優としての新しい一面を見せてくれている。 また『ラヴァーズ』で恋するパリジェンヌを演じたエロディ・ブシェーズが、今回はジャン=マルクのセックスパートナーとなるフランス人女性ジュリエットをカ強<演じている。『天使が見た夢』でカンヌ映画祭主演女優賞に輝いた直後、【Freetrilogy】の企画をジャン=マルクから提案されたエロディは、三部作の女神のような存在となり、次回作の“Being Light”にも主演している。 【Freetrilogy】は三作すべて同じメンバーで製作され、6、7人という少人数で撮影されている。ジャン・マルクと共同で監督、脚本、製作を担当したのはパスカル・アルノルド。彼は今回の作品で撮影も担当している。映像はデジタル・ビデオで撮影されたのち、35mmにキネコ起こしされているが、ハンディカメラによる撮影は、人の心づかい、肉体の鼓動をダイナミックかつ細やかにとらえることに成功している。

ストーリー


イリノイ州ランキン。この町では個人の秘密を持つことはできない。生活はすべて筒抜けで、噂はまたたく間に広がってしまうからだ。ほとんどの人が生まれてから一度もこの町を出ることなく人生を終えていく。ライルもまたそんな住民のひとりだった。彼は広大なとうもろこし畑を持つ大地主だったが、住民たちとの間には微妙な隔絶感を感じている。それに5年前に農地を継ぐためだけに契約結婚をしたエイミーとは肉体関係がなかったこともあって、満たされない思いを抱えていたのだった。
ある日、ライルの幼なじみで都会に出ていったヴァーノンが村に帰ってくる。彼は小説家として成功し、フランス人の娘をフィアンセとして連れてきた。ライルは自分が田合町にくすぶったままなので、ヴァーノンとフランス娘のジュリエットのカップルは眩しい存在に思えてしかたない。そして都会の匂いを受け入れることができないライルはよりいっそう頑なになってしまうのだった。
町の酒場では今夜も男たちが騒いでいる。そこヘヴァーノンに連れられてジュリエットがやって<ると、男たちは羨望と好奇のまなざしで彼女を迎え入れた。しかしライルだけは自分の世界に入ったまま、音楽に身を委ねるように激しく踊るのだった。そんな様子を見ていたジュリエットはヴァーノンが帰ってもそのまま残り、戸惑うライルの手を取って一緒に踊ろうとする。 店からの帰り道、ライルにしつこく迫るジュリエット。そしてライルは彼女に誘われるまま、とうもろこし畑で一晩を過ごした。 翌朝、まだ眠っている妻のエイミーをたたき起こし、喜びの報告をするライル。というのも、うまくいかなかった初体験以来、自分にはセックスができないと思っていたのにそれができたからだ。 ライルのトラウマ、それは彼の初体峡の相手がライルの性器のサイズが大きすぎると町中にばらしてしまったことだった。20年の間、ライルは誰ともセックスできないと悩み続けてきた。 ジュリエットのおかげでセックスを知り、自分が不能でないとわかったライルは、エイミーとセックスしょうと試みるが、彼女は泣きながら拒むのだった。思いあまったライルはヴァーノンのもとを訪れ、ジュリエットを連れ出そうとする。驚くヴァーノンだったが、彼は実はゲイでそれを隠すためにジュリエットを連れてきたと告白するのだった。 はじめから仮面の芝居を続けていたジュリエットにとっても、ライルは出会うべくして出会った相手だったのだ。こうしてふたりはライルの父親の住むトレーラーハウスの中で暮らしはじめる。求めても求めても渇れることなくあふれる欲望のままに……。 だがそんな二人を町の人たちがほっておくはずがなかった。買い物に行っても集会所でも度重なる嫌がらせを受け、冷たい視線を浴びることになる。そんな中で、ライルは自分を慕っている青年バートにジュリエットを紹介し、彼の初体験を遂げさせてやるのだった。町で異瑞の三人は、性を通して結ばれ、幸福なひと時を過ごしてい<。 一方、住民たちの険悪な感情は日増しにエスカレートしていくようだった。精神的に疲れ果てたライルとジュリエット。そこへ収穫最の知らせを持ってエイミーが訪れる。彼女はジュリエットに向かって、自分が事故で死んだフィアンセを今でも忘れられずにいるからライルとは永遠に結ばれることはないと告げるのだった。 やがて収獲祭の日がやってきた。年に一度のお祭りに集う住民たちの前に、ライル、ジュリエット、バートが現れ、幸福感に満ちあふれたように踊るのだが、それを見守る人々の表構は次第に険しいものになっていき、やがて……。

スタッフ

監督:ジャン=マルク・バール、パスカル・アルノルド
脚本・台詞:パスカル・アルノルド、ジャン=マルク・バール
撮影:パスカル・アルノルド
録音:パスカル・アルマン
オリジナル音楽:イリナ・デチェルミッチ、ミシュコ・プラヴィ
音楽スーパーヴァイザー:ヴァレリー・アルベール(ヴァージン・サウンド)
衣装:ミミ・レンピカ
美術:フランソワーズ・ラビュ
ミキシング:ティエリー・ドゥロルス
編集:ブリアン・シュミット

キャスト

エイミー:ロザンナ・アークエット
ジュリエット:エロデイ・ブシェーズ
ライル:ジャン=マルク・バール
バート:イアン・ブレナン
ヴァーノン:イアン・ヴォグト
コニー:ステフニ・ワイアー
フランク:リッチ・コメニッチ
保安官ウォリー:ハットン・コブ

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