原題:La Mujer mas fea del Mundo

美人絶滅 美女か野獣か!?“世界で一番醜い女”ローラの使命とは?

2000年プチョン・ファンタスティック国際映画祭グランプリ受賞 2000年 Fantasport Grand Prize of European Fantasy Film in Silver受賞

1999年11月5日公開

1999年/スペイン/カラー/1:1.85/ドルビーデジタル/109min 配給:オンリー・ハーツ

2002年08月22日よりDVD発売開始 2002年08月22日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年6月22日より7月26日まで俳優座シネマにてロードショー公開

(C)AURUM PRODUCCIONES,S.A.1999

公開初日 2002/06/22

公開終了日 2002/07/26

配給会社名 0016

公開日メモ ホラー、SF、純愛、ミステリー、ユーモアと、あらゆるエンターテイメントの要素を織り込んだ本作は2011年マドリッドが舞台。近未来のスペインは俳優のサンティアゴ・セグラ(『どっかれてアンダルシア(仮)』)が統治する第三共和国である

解説




『世界で一番醜い女』はミゲル・バルデム監督の長編デビュー作である。バルデムが初めて手がけた短編映画『La Madre(The Mother)』は1996年、ゴや賞最優秀短編賞を獲得している。スペイン国内では有名な芸術一家に育った彼の父親は、『恐怖の逢びき』(55)で同年のカンヌ国際映画祭批評家連盟賞を受賞した監督のフアン・アントニオ・バルデム。叔母は『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』(95)でゴヤ賞助演女優賞を受賞した名女優ピラル・バルデム、『夜になるまえに』(00)でアカデミー主演男優賞にノミネートされたハビェル・バルデムはいとこにあたる。

ホラー、SF、純愛、ミステリー、ユーモアと、あらゆるエンターテイメントの要素を織り込んだ本作は2011年マドリッドが舞台。近未来のスペインは俳優のサンティアゴ・セグラ(『どっかれてアンダルシア(仮)』)が統治する第三共和国である。「そういう国だったら面白いなと思ってさ。創造のいいところは好きなことをできるってこと。だからサンティアゴのような気の利いた、頭のいい男が国のトップにいるという設定にしたんだ。上に立つ人間は彼みたいな人間じゃないと。今の人じゃなくってさ。」とジョークをとばす。

物語は1982年1月1日、恐ろしく醜い創造物が誕生するところがら始まる。彼女の名前はローラ・オテロ(スペインの伝説の美女と同じ名前)。両親について知るものはいない。彼女はマザー・テレサを崇拝する修道女たちによって育てられたが、その醜い容姿ゆえに惨めな青春時代を送っていた。24歳のとき、ウェルナー博士による革命的な臨床実験を受け、絶世の美女へと変身する。美は彼女の復讐心に火をつけることになり、彼女を不幸にした者たちを大晦日に殺していく。そして事件の捜査を指揮するアリバス刑事と出会う…。

バルデム監督は本作品を「架空の物語」だと明言する。「どんな人間にも当てはまるし、誰にも当てはまらない。この映画にレッテルは貼れないんだ。」また映画にメッセージがあることを否定する。「何かを求めてるわけじゃないんだ、エンタテインメント以外はね。」と強調する。「ローラとアリバスは独立した二人なんだけど、現実に立ち向かう方法が対照的なんだ。ローラは自分が生きなければならない社会が合わないから闘う、かたや彼は退屈な社会の規律に仕方なく従っている。」

“世界で一番醜い女”ローラ・オテロは本作がデューとなるモデルのエリア・ガレラが演じた。1973年3月19日生まれ。3人の兄がいる家庭に育った彼女は男っぽい性格だとか。法律を勉強し、モデルになる前は労働法を専門とする弁護士だった。本作への出演について「一生忘れないわ、特殊メイクに5時間もかかったの。顔の上に奇形を創り出すあの肉体疲労は言葉に言い表せないわ!」

彼女とクレジットをともにしているのはロベルト・アルバレス、エクトル・マルテリオ、ハビビらである。彼らとともに名を連ねるベテラン、ルイス・シヘス(『ミラクル・ペティント』)は特にバルデム監督のお気に入りだ。「もし彼が出演してくれなかったら、この作品は全く違うものになっていたよ。」キャスティングはかなり慎重に行ったという。

本作は1999年11月5日、スペイン全国100館で公開。各国のファンタスティック映画祭での評価も高く、2000年プチョン国際ファンタスティック映画祭ではグランプリを受賞した。

ストーリー




2010年大晦日、第三共和国スペインの首都マドリッドでは、人々が新年を迎える歓喜に満ち溢れていた。独りわびしく新年を迎えようとしていたアリバス刑事は、82歳の老女が惨殺されたと連絡を受け現場に向かう。現場は血の海で、犯人は老女をメッタ刺しにし、切り刻んだようだった。やがてTV局のスクープによって、監視カメラが捕らえた犯人の映像が公開された。そこに映し出された犯人は、尼僧の衣装を身にまとった女性だった。

懸命な捜査の結果、アリバスは学会から追放された整形外科医ウェルナーから一人の女の話を導き出した。その名はローラ・オテロ——彼女を生んだ母親でさえショック死させた“世界で一番醜い女”だという。ほどなくして父親も亡くした彼女は、修道女に育てられた。醜さゆえに周囲からあまりにも酷い扱いを受けてきたローラ。やがてウェルナーから遺伝子操作の臨床実験を受けた彼女は、絶世の美女へと生まれ変わったのだった。

家に戻ったアリバスはローラの資料映像を観ていた。ローラは国内で有数の青年実業家ルイスの恋人として、連日マスコミを賑わせていた。しかしローラの幸せは長くは続かなかった。心変わりしたルイスはミス・スペインのクカと結婚し、その新婚旅行先のモナコで交通事故に遭い死んでしまったのだ。テレビカメラの前でマイクを向けられたローラは、ルイスを奪ったクカヘの憎しみをあらわにした。

数年前から発生していた大晦日の夜の殺人事件を調べるうち、被害者にある共通点が浮かび上がる。全員が元ミス・スペインだったのだ。事件にローラが関与していると確信したアリバスは、ミス・スペイン・コンテストの会場へ向かう。候補者の一人を殺し、バルセロナ代表になりすまして会場に潜り込むローラ。必死でローラを探すアリバス。

ローラの悲しい復讐劇は、果たしてどのように幕を閉じるのか…。

スタッフ

監督:ミゲル・バルデム
脚本:ナッチョ・ファエルナ
プロデューサー:フランシスコ・ラモス
音楽:フアン・バルデム
編集:イヴァン・アレド
特殊効果:レジェス・アバデス
衣裳:パロマ・ロペス
ローラの衣装:アニバル・ラグナ

キャスト

ローラ・オテロ:エリア・ガレラ
アリバス:ロベルト・アルバレス
ドクター・ウェルナー:ヘクター・アルテリオ
ペラジョ:ハビビ
ルイス・カサノヴァ:アルベルト・サンファン
悪徳老人:ルイス・シヘス
共和国大統領:サンティアゴ・セグラ

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