原題:High Crimes

あなたが愛し、誰よりも深く知っていると思っていた人の 過去の全てが嘘だったとしたら、それでも愛せますか?

2002年度作品/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD・DTS 上映時間:1時間55分/日本語字幕:戸田奈津子 配給:20世紀フォックス

2010年06月25日よりDVDリリース 2008年01月18日よりDVDリリース 2003年01月24日よりDVD発売開始 2002年6月15日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー!!

(C)2002 Twentieth Century Fox.

公開初日 2002/06/15

配給会社名 0057

公開日メモ たとえばあなたが、夢に描いた憧れの人生を生きているとしよう。順風満帆のキャリア、美しい家、そして何よりも重要なことに、素晴らしい夫がそばにいてくれる。あなたが愛し、誰よりもよく知っている人物が。

解説


 たとえばあなたが、夢に描いた憧れの人生を生きているとしよう。順風満帆のキャリア、美しい家、そして何よりも重要なことに、素晴らしい夫がそばにいてくれる。あなたが愛し、誰よりもよく知っている人物が。
 でももしも彼について、そして彼と一緒に過ごしてきたこれまでの人生についてあなたが信じていたことが、すべて嘘だったとしたら?この映画の主人公クレア・キューピックの場合、その悪夢のようなシナリオが過酷な現実となってしまったのだ。
 マスコミにも注目される美しく優秀な女性刑事弁護士クレアと、建設会社を経営している夫トムは、カリフォルニアのマリン郡で幸せな生活を送っていた。二人は狂おしいほどに愛し合っており、子供を持ちたいと熱望していた。しかし、たまたま家に強盗が入り、警察沙汰になったせいで彼らの幸せな世界は粉々に砕け散ってしまう。
 強盗事件のあと間もなく、トムは街でFBlに逮捕される。彼の本名はロナルド(ロン)・チャップマン。かつて海兵隊の特殊部隊に所属していた彼は、エル・サルバドルで一般市民を9人殺害し、12年もの間逃亡していたというのだ。強盗事件の際に犯人のものと一緒に採取されたトムの指紋が、軍に残されていたチャップマンのものと一致したという。トムはクレアに身の潔白を訴え、自分は確かにチャップマンだがその虐殺事件については軍の機密保持のために他人の罪を着せられたのだと主張する。クレアは夫を信じ、彼を救うべく元軍隊の弁護士チャーリー・グライムスの助けを借りて軍事法廷に立った。しかし、そこは彼女の知っているルールがまったく適用されない世界だった……。
 愛する夫が隠してきた人生の暗い秘密。それを知った時、クレアは多くのカップルが問われてきた疑問を自らに投げかけねばならなかった。「自分は愛する夫のことを本当によく知っているのだろうか?」
 クレアは自分が彼についてまるで知らなかったという事実を認めざるを得なかった。優しくて紳士的だと思っていた男性は、海兵隊の特殊部隊では”優秀な”兵士だった。そして、軍が告発しているように、彼は無力な市民を冷酷に殺したのだろうか?
 クレアとチャーリーは軍と渡り合いながら、高官によって指揮されたスキャンダラスな隠蔽工作を次第に暴露していく。そして今、クレアは真実を追求するために、自らのキャリアと命までも危険にさらさねばならなくなっていた。
 原作は1989年に出版されたジョゼフ・フィンダーの同名小説”HighCrimes”(新潮文庫『バーニング・ツリー』)。国際政治研究者という著者の経歴を生かしたポリティカルな設定と、法廷ミステリーをうまく融合させたベストセラーである。夫のショッキングな過去、裁判の過程で明らかになっていく戦時下の犯罪と特殊部隊の秘められた任務、そして軍上層部の暗躍。軍事法の特殊な規定の下で、裁判の息詰まる駆け引きがスピーディーに
展開していく。
 ”ブック・オブ・ザ・マンス・クラブが「ミステリー、アクション、繊密な心理描写のコンビネーションは、読者のアドレナリンを噴出させずにはおかない」と評した原作を、よりエキサイティングに映像化したのはカール・フランクリン監督。これまでに「運命の引き金」「青いドレスの女」「母の眠り」などの作品でアメリカ映画界のトップクラスの一人に数えられている才能ある監督は、この映画を単なるスリラーにとどまらず深みのある人間ドラマに仕立て上げた。
 愛する夫の過去を知ってショックを受けながらも、冤罪を晴らすために奔走する弁護士クレアには、「あなたのために」「恋す.る遺伝子」のアシュレー・ジャド。彼女を助ける元軍の弁護士チャーリーには「コレクター」でジャドと組んだモーガン・フリーマンが当たり、再び絶妙なコンビネーションを見せている。また、「シン・レッド・ライン」でブレイクして以来「ペイ・フォワード/可能の王国」「オーロラの彼方へ」と好調の波に乗るジム・カヴィー
ゼルが、慈愛さえ感じさせる深い瞳の奥に謎を秘めて、かつて特殊部隊員だった夫トムを好演している。
 製作スタッフもフランクリン作品の常連組を交えて優秀な顔ぶれがそろった。撮影監督はオランダ時代に「追想のかなた」などで多くの賞を獲得し、ハリウッドに招かれてからは「ボルケーノ」「クルーエル・インテンションズ」などを手がけているテオ・ヴァン・デ・サンデ。プロダクション・デザイナーは「母の眠り」「あなたのために」のポール・ピ一夕ース。衣裳デザインは「青いドレスの女」「ドクター・ドリトル」のシャレン・デイヴィス、編集はカール・フラーンクリン監督の全作品のほか「ゴーストワールド」などを手がけているフランス出身のキャロル・クラヴェッツ=アイカニアン。そして、音楽は「ヒューマンネイチュア」「コラテラル・ダメージ」のグレーム・レヴェルが担当。オープニングとラストに流れる、注目の女性歌手リナがけだるく甘い声で歌う”I’mnot the enemy”も、サスペンスをいっそう盛り上げている。

ストーリー


 マスコミにも注目され華々しく活躍している刑事弁護士クレア(アシュレー・ジャド)と、建設会社を経営している夫トム(ジム・カヴィーゼル)は、カリフォルニアのマリン郡で平和な結婚生活を送っていた。二人は情熱的に愛し合い、子供を作る計画をたて、幸福の絶頂にあった。しかしそんな時、家に泥棒が侵入して警察沙汰になったことから、彼らの世界は思いがけぬ方向へと進んでいく。
 ある日、二人が町で買い物を楽しんでいると、突然FBlの捜査官たちがトムを逮捕する。
トムの本名はロナルド・チャップマン。かつて海兵隊の特殊工作員だった彼は、1988年、エル・サルバドルで一般市民9人を殺害し、12年間も逃亡を続けていたというのだ。強盗事件で犯人のものと一緒に採取されたトムの指紋が、チャップマンのものと一致したのだ。
 サン・ラザロの基地で面会したトムはクレアに身の潔白を訴え、罪を着せられたと主張する。88年、エル・サルバドルのカフェにいたアメリカ人学生3人が、テロリストの爆弾によって殺された。トムの部隊は、マークス大佐の指示でテロ・グループが潜む村ラス・コリナスに派遣された。それは誤報だったが、血に飢えた副官のヘルナンデスが罪もない9人の村人を虐殺。マークス大佐は自分たちの身を守るために、この事件を隠蔽しようとしたそれがトムの語る真相だった。虐殺の犯人にされた彼は、名前をロナルド・チャップマンからトム・キューピックと変え、別人として身を潜めていたのだ。
 クレアは夫の無実を信じ、軍事法廷に立つことを決意した。しかし、そこは通常の法律が通用しない世界だった。しかも、軍が担当弁護人に任命したのは経験不足のエンブリー中尉(アダム・スコット)とあって、クレアは軍事裁判のルールを知りつつ軍と対決してくれる人物の助けが必要なことを悟る。彼女が白羽の矢を立てたのは、かつて女性問題で軍を追われた、弁護士チャーリー・グライムス(モーガン・フリーマン)だった。
 チャーリーはハーレー・ダビッドソンを友に、愛犬を仕事の“パートナー”に、オンボロ事務所で暮らしていた。かつて溺れていた酒を断って462日目。自らゲームの“鬼札”を任ずる無頼派弁護士チャーリーと、たまたま借家を追い出されて転がり込んできたクレアの妹ジャッキー(アマンダ・ビート)も加わって、裁判の準備が始まった。
 当時、事件を目撃した7人の隊員は、C.I.D.(犯罪捜査部)の聴取に対してトムが犯人だと証言した。しかし、そのうちの5人は既に死亡していた。そして、法廷審問官を務めるウォルドロン少佐が司法取引を持ちかけてくる。やはり何か裏があるに違いない。
 数日後、クレアは家に侵入してきたエル・サルバドル人の男に殴られる。彼は家族がトムに殺されたと言う。面会したトムに問いただすと、彼は自分を嘘発見器にかけるように言う。
 しだいにクレアは身の危険を感じ始めていた。何者かに尾行されているような恐怖。そしてある日、スーパーで接触してきた不審な男が、トムが軍で嘘発見器を欺く訓練を受けていたことをクレアに伝える。なぜ、嘘発見器の一件が外部に漏れたのか?クレアからこれを聞いたチャーリーは、軍人の溜まり場になっているクラブへ向かった。そこには裁判関係者たちに混じってエンブリーの姿もあった。そして、チャーリーは兵士たちに取り囲まれてリンチを受ける。やはり、情報をリークしているのはエンブリーなのか?彼と親密な関係になっていたジャッキーでさえ、疑惑の目を向けないわけにはいかなかった。
 軍事法廷にはヘルナンデスが証人として呼ばれ、トムの犯行を生々しく語った。状況はトムにとって厳しいものだった。チャーリーはヘルナンデスの友人を装って、生き残っている隊員の一人アボットを訪ね、彼の告白をテープに録音することに成功する。彼は犯人を目撃していなかったにもかかわらず、C.I.D.の“意向”に沿って偽証していたのだ。
 クレアとチャーリーはこの決定的なテープを持って法廷に臨んだ。しかし、判事はこれを証拠として認めようとはしなかった。さらに、クレアたちの怒りを大きくしたのは彼女の家に仕掛けらていた盗聴器だった。このままではトムを無罪にすることなどできるはずもない。クレアは最後の手段に出た。事件の鍵を握っているのは、今は准将になっているマークスだ。彼女は直接マークス(ブルース・デイヴィソン)に会ってアボットの証言テープを手渡し、TVカメラを集めてトムの無実を訴える。
 そんな時、例のエル・サルバドル人が再びクレアの前に現れ、意外な真実を伝える。カフエで爆弾を投げたのはテロリストを狙ったヘルナンデスで、アメリカ人学生は巻き添えを食ったというのだ。虐殺自体が隠蔽工作だったのか?しだいにスキャンダラスな事件の真相が姿を現し始めていた。
 くもの巣のように張り巡らされた軍の規律や陰謀をかいくぐって、クレアはトムの無実を勝ち取ることができるのか?そして、クレア自身にも命の危険が迫っていた……。

スタッフ

監督:カール・フランクリン
製作:アーノン・ミルチャン、ジャネット・ヤン、ジェシー・B・フランクリン
脚本:ユーリ・ゼルツァー&ケイリー・ビックレー
原作:ジョゼフ・フィンダー新潮文庫刊「バーニング・ツリー」
挿入曲:「アイム・ノット・ジ・エネミー」歌:リナ
製作総指揮:リサ・ヘンソン、ケヴィン・リーディ
撮影監督:テオ・ヴァン・デ・サンデ,ASC
美術:ポール・ピ一夕ース
編集:キャロル・クラヴェッツ=アイカニアン
衣裳デザイン:シャレン・デイヴィス
共同製作:ネオミ・デプレ
音楽:グレーム・レヴェル
キャスティング:マリ・フィン,CSA

キャスト

クレア・キューピック:アシュレー・ジャド
チャーリー・グライムス:モーガン・フリーマン
トム・キューピック:ジム・カヴィーゼル
エンブリー中尉:アダム・スコット
ジャッキー:アマンダ・ピート
マークス准将:ブルース・デイヴィソン
マリンズFBI捜査官:トム・バウアー
ヘルナンデス少佐:フアン・カルロス・ヘルナンデス
ウォルドロン少佐:マイケル・ガストン
ファレル大佐:ジュード・チッコレッラ
エル・サルバドル人の男:エミリオ・リヴェラ
トロイ・アボット:マイケル・シャノン
ローラ:デンドリー・テイラー
グレイシー:ポーラ・ジャイ・パー力一
ラモーナ:ジェシー・B・フランクリン

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