原題:Unfaithful

あなたはどこに行くの・・・ あまりにも行き過ぎてしまった時に

2001年11月21日全米初公開

2001年/アメリカ映画/2時間4分/ビスタサイズ/日本語字幕:戸田奈津子 配給:20世紀フォックス

2010年06月25日よりDVDリリース 2007年11月21日よりDVDリリース 2007年05月25日よりDVDリリース 2004年11月26日よりDVD発売開始 2003年06月19日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年06月19日よりDVD発売開始 2003年1月11日より日比谷映画ほか全国ロードショー公開

公開初日 2003/01/11

配給会社名 0057

解説


もしもあの日に街へ出かけなかったら?もしもあの時タクシーがつかまっていたら?彼女の、そして彼の運命は変わっていたかもしれない。
NYに強風が吹き荒れた日、コニーが街角で出会ったのはフランス人のブック・ディーラー。彼女には自信があった。男の誘惑の視線に負けないくらい、自分は満ち足りた家庭生活を送っている、と。だが、変化に乏しい日々にあって、次第に男の存在はコニーの心の中で大きな居場所を占めていく。彼のアパートをノックするときに味わう痺れるようなスリル。めくるめく情事の余韻。それが愛なのかもわからないまま、肉体を求め合う関係に溺れていくコニー。そんな彼女の行動はやがて夫エドワードの運命をも狂わせていくことになる…。
オスカー候補にあがった「危険な情事」をはじめ、時代と呼応するセクシャルな作品を次々と世に送り出し、世界にセンセーションを巻き起こしてきたエイドリアン・ライン。彼がリチャード・ギアとダイアン・レインを主演に迎えて放った「運命の女」は不倫という古典的な題材をライン流のスタイリッシュな味付けで料理した話題作。
年下男性との情事に溺れていく妻とそんな妻の秘密を知ってしまった夫。ふたりが繰り広げる心の葛藤を鮮やかに描きながら、衝撃的な展開で見る者を圧倒する官能と背徳のドラマだ。
主人公はNYの郊外に住むエドワードとコニーの夫妻。平凡だが幸福な結婚生活を営むふたりは自分たちの平穏な暮らしが、このまま続くものと考えていた。だが、変化は突然にやって来た。街へ買い物に出かけた日、強風にあおられて転んだコニーは魅惑的なフランス人男性のポールに助けられ、彼の誘惑にさらされる。理性と欲望の狭間で揺れ動きながら、ついに一線を越えてしまうコニー。そんな妻の変化に気づいたエドワードがポールのアパートを訪ねたことから、事態は思いがけない方向に展開していく。
罪悪感にさいなまれながらも情事の興奮を求めずにはいられない妻、裏切りに傷つき誘惑と怒りにかられる夫、そして、ふたりの身にふりかかる新たな試練。大胆な性描写と繊細な心理描写を交えて波乱に富んだ展開を見せるドラマは過去のライン作品と同様、刺激的で危険な香りに満ちている。が、この映画の魅力はそれだけではない。衝撃のクライマックスのあとに用意されたラストシーン。そこに浮かび上がるのは「愛の再生」という作品の根底を流れるテーマだ。絶望と背中合わせの状況で蘇るエドワードとコニーの愛の絆。その美しさが胸をしめつけられるような切なさを伴って迫ってくる幕切れは見る者の心を深い感慨で満たしてくれる。
そうした映画の情感を支えているのが、リチャード・ギアとダイアン・レインの円熟の香りを感じさせる芝居だ。「新しいリチャードがほしい」というラインの要求に応え、ごく普通のファミリー・マンの役柄に新境地を開拓したギア。情事にのめりこんでいくコニーを体当たりで熱演するレイン。ささいなきっかけから非日常の世界に入り込んでしまう主人公たちの心情をドラマチックに演じるふたりの演技は全米中の批評家の絶賛の的に。また、コニーの情事の相手となるフランス人ポールには「夜になるまえに」のオリヴィエ・マルティネスが扮し、ジゴロの魅力をスクリーンいっぱいにふりまいている。その他、「インデペンデンス・デイ」のマーガレット・コリン、「いつも一緒にいて欲しい」のチャド・ロウ、「アイス・ストーム」のケイト・ハートンなど、脇役にも達者な顔ぶれが揃っている。スタッフ陣も豪華だ。クロード・シャブロル監督の”La Femme Infilele”(68)にインスパイアされた脚本を執筆したのは「ジュリア」「普通の人々」でオスカーを受賞したアルヴィン・サージェントと「アポロ13」でオスカー候補になったウィリアム・ブロイルズ,Jr。昼下がりの情事の場面をムーディな映像に仕立て上げた撮影監督は「ミシシッピー・バーニング」のオスカー受賞者ピーター・ビジウ。衣裳デザインは、「危険な情事」「ジエイコブズ・ラダー」でエイドリアン・ラインと組んでいるエレン・ミロジニック。プロダクション・デザインは、同じく「ジェイコブズ・ラダー」を手がけたブライアン・モリス。編集は「アラビアのロレンス」でオスカーを受賞したのち、全4作品でオスカーにノミネートされた大ベテランのアン・V・コーツが担当している。

ストーリー


コニーサムナー(ダイアン・レイン)はNYの郊外で暮らす専業主婦。マンハッタンで会社を経営する夫のエドワード(リチャード・ギア)ともうすぐ9歳になる息子のチャーリー(エリック・ペア・サリヴァン)に囲まれた生活は変化に乏しく平凡なものだったが、それが幸せな人生なのだとコニーは確信していた。そんな彼女の日常に劇的な変化が起こったのは息子の誕生Hプレゼントを買いにマンハッタンへ出かけた日のことだった。ソーホーの道端で折からの強風にあおられたコニーは大量の本を抱えた青年と衝突。転倒して膝をすりむいてしまう。おまけにタクシーもつかまらない状況に困り果てたコニーは「うちに来て手当てしたら?」という青年の申し出を素直に受けることにした。ポール・マーテル(オリヴィエ・マルティネス)と名乗る青年はフランス人のブック・ディーラーだった。彼のアパートに案内されたコニーは本で埋め尽くされた部屋の情景に新鮮な驚きを感じる。そんな彼女を甘い誘惑のゲームに誘いこもうとするポール。膝に氷を当ててくれた彼の指先を意識せずにはいられない自分に気づいたコニーはプレゼントされた1冊の本を手にあわててその場を去った。
 その晩、コニーから怪我の事情を聞いたエドワードは「助けてくれた人にワインのお礼でも送ったら?」と、アドバイスする。それは心のどこかでポールとの再会を望んでいたコニーにとって格好の口実になった。自分はいったい何をしょうとしているのか?確信が持てないままマンハッタン行きの電車に乗り込むコニー。再びポールのアパートを訪ねた彼女は首筋に注がれるからみつくような視線に身体が熱くなるのを感じる。これ以上深入りしてはいけない。どうにか自制心を働かせようとするコニーだったが、心の中に芽生えたうずきはいつこうに静まらない。3度目にポールのアパートを訪れた日、ついに彼女は線を越えてしまう。それ以来、口実を作り出してはポールのアパートへ足繁く通うようになるコニー。そんな彼女の変化にエドワードが気づいたのは妻がチャリティの資金を集めに行ったという友人から、コニーにはしばらく会っていないと聞かされたことがきっかけだった。「愛している」という妻の言葉を信じようと思いつつも、次第にふくれあがっていく疑惑と不安。ある朝、彼はコニーとランチの約束をかわそうとするが「エステの予約がある」と言っていそいそと外出の支度をする妻に断られてしまう。出勤後、思い切ってエステに電話をかけたエドワードはコニーが予約を入れていなかった事実を知らされる。彼女は嘘をついている。エドワードの疑惑は確信に変わった。
いっぽうその日、ポールに会いにソーホーへ出かけたコニーは、途中で友人のトレーシー(ケイト・パートン)とサリー(マーガレット・コリン)に出会った。お茶の誘いを断るわけにもいかず、カフエからポールに電話を入れるコニー。まもなく店に現われたポールと彼女は、奥のトイレで激しく愛を交わした。だが、その後、自分の浮気が原因で家庭が崩壊したというトレーシーの告白を聞いたコニーはポールとの関係を清算しようと心に誓う。とはいえ、その決意もポールの熱い手に触れられたとたん、たちまち萎えてしまうのだが…。そしてエドワードもまた、苦悩にさいなまれていた。私生活の不安は仕事にも影響をおよぼし、信頼する部下のビル(チャド・ロウ)がライバル会社の引き抜きにあったことを知った彼は怒りにまかせてビルにクビを口㌫してしまう。その腹いせに、以前ポールとコニーの密会現場を目撃した ことのあるビルは「会社がファミリーだと言うなら自分の家庭はどうなんだ?」とエドワードに捨てゼリフを投げつける。ショックを受けたエドワードは、ついにコニーの素行調査を探偵のウイルソン(ドミニク・チアニーズ)に依頼。すべてが邪推であることを祈りながらシカゴヘの出張に旅立った。しかし、出張から帰ったエドワードを待ち受けていたのは、彼の留守中、まるでティーンエイジャーのようにデートを楽しむコニーとポールを捉えた写真だった。いま初めて知った妻の浮気相手の正体。エドワードの足は無意識のうちに報告書に書かれたポールのアパートへ向っていた。
その少し前、コニーもポールを訪ねていた。どうしてもポールに会いたいという衝動にかられた彼女は、どしゃ降りの雨のなか車でソーホーまでやって来たのだ。が、そんな彼女の目に飛び込んできたのは、見知らぬ女性と肩を組んで歩くポールの姿。嫉妬で我を忘れたコニーはふたりを追って書店に人り、ポールに飛びかかっていく。だが、その怒りをポールは欲望に転じさせる術を心得ていた。別れ話を切り出してから数分もたたないうちに、彼女は再びポールの腕に抱かれていた。エドワードがポールのアパートにやって来たのは、その直後のことだった。ためらいながら部屋のドアをノックしたエドワードが足を踏み入れたのは情事の余韻が冷めやらぬ部屋。エドワード、コニー、ポール。3人の運命を狂わせる事件はその場所で起こったーー。

スタッフ

監督:エイドリアン・ライン
脚本:アルヴィン・サージェント、ウィリアムズ・ブロイルズ.Jr
撮影:ピーター・ビジウ
プロダクション・デザイナー:ブライアン・モリス
編集:アン・V・コーツ
衣裳デザイン:エレン・ミロジニック
音楽:ジャン・A・P・カズマレック

キャスト

エドワード・サムナー:リチャード・ギア
コニー・サムナー:ダイアン・レイン
ポール・マーテル:オリヴィエ・マルティネス
チャーリー・サムナー:エリック・ペア・サリヴァン
ビル・ストーン:チャド・ロウ
フランク・ウィルソン:ドミニク・チアニーズ
トレーシー:ケイト・バートン
サリー:マーガレット・コリン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す