原題:Behind Enemy Lines

突撃の覚悟をしろ

(アメリカ劇場公開2001年8月5日)

2001年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD・DTS/106分/ 日本語字幕:林完治 配給:20世紀フォックス映画

2010年07月23日よりDVDリリース 2010年06月25日よりDVDリリース 2007年11月21日よりDVDリリース 2005年03月16日よりDVDリリース 2004年11月26日よりDVD発売開始 2002年08月23日よりDVD発売&レンタル開始 2002年3月9日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開

(C)2001 TWENTIEH CENTURY FOX

公開初日 2002/03/09

配給会社名 0057

公開日メモ 「エネミー・ライン」は単なるアクションと派手な爆破効果のショー・ケースでは終わらない映画である。スリルとスピードに満ちた新感覚のアクション、20分間に及ぶF/A-18戦闘機VSミサイルの空中シーンを始めとする最新の特殊効果、国際政治状況、そして最も大切な“ハート”を網羅した新しいタイプの戦争映画である。

解説


「エネミー・ライン」は単なるアクションと派手な爆破効果のショー・ケースでは終わらない映画である。スリルとスピードに満ちた新感覚のアクション、20分間に及ぶF/A-18戦闘機VSミサイルの空中シーンを始めとする最新の特殊効果、国際政治状況、そして最も大切な“ハート”を網羅した新しいタイプの戦争映画である。
これまでのどの大ヒット映画にも引けを取らないシーンの連続に、観客は間違いなく驚くだろう。しかし、「エネミー・ライン」は、ただそれだけの作品ではない。現代の複雑な交戦と、それが男女を問わず母国のために戦っている人々にいかなる影響を及ぼしているかが、しっかりと描かれている。
戦争の世紀といわれた20世紀の戦争は、国家と国家の戦いだった。しかし、冷戦が終結し、ソ連が崩壊して以後に顕著になったのは、国家という枠組みをはずれた戦争の新しい姿だった。
2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件を契機としたテロリズム組織との戦いであったり、宗教対立による戦争であったり、また民族紛争であったり、歴史的・文化的な背景による複雑なメカニズムに戦争は組みこまれ、和平への道も解決の糸口の見えない困難で厳しいものへと変わっている。
戦争アクション大作「エネミー・ライン」の舞台となるのは、1990年代に起きた旧ユーゴスラビアの民族紛争が一応解決し、和平が結ばれているごく近い将来のボスニア。海軍大尉クリス・バーネットは、平和を維持するための軍務に意味を見出だせず、レイガート提督とも衝突してしまう。そして、ボスニア上空からの撮影任務の飛行中、突然、ミサイル攻撃をうけて撃ち落とされてしまう。不時着したのは敵地のど真ん中。そこで目撃したのはセルビア人民軍による残虐行為であった。武器なし、味方なし、の極限状態の中、クリスは凶悪な戦争犯罪を白日のもとにさらすため、敵の執拗な追跡をかわしながら、危険な地雷原の強行突破に挑む。立ち止まれば“死”があるのみ。クリスの命と正義を賭けた、たったひとりの戦いが始まる!!!
命をかけて戦争犯罪をあばく若く反逆的なクリス大尉を体当たりで演じるのは、「アルマゲドン」の新鋭オーウェン・ウィルソン。最初は対立しながらも、クリスの命を守るため、平和維持の規約を破らねばならない経験豊かで人情味あふれるレイガート提督を演じるのは、「クリムゾン・タイド」「許されざる者」のアカデミー賞俳優ジーン・ハックマン。無線を通じてクリスとレイガート、男と男の絆を結ぶ熱い物語を盛りたてるのが、「愛と青春の旅だち」のデイビッド・キース、「マスク・オブ・ヅロ」のホアキン・デ・アルメイダ、「私の愛情の対象」のガブリエル・マクト、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のチャールズ・マリク・ホイットフィールド、敵側には「13デイズ」のオレック・クルパ、「15ミニッツ」のウラジミール・マシュコフと男っぽいキャストが並ぶ。
監督は、報道カメラマンとして実際にボスニアの地を踏んだ経験をもち、セガ、アディダスなどを手掛けるCM界の俊英で本作が映画デビューとなるジョン・ムーア。原案ストーリーは「プレデター」のジェームズ&ジョンのトーマス兄弟、脚本は「チャーリーズ・エンジェル」のザック・ペンと「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のデイビッド・べロ一ズが共同執筆。製作は「ドクター・ドリトル」などヒット作を飛ばしつづけるジョン・デイビス。編集は「スター・ウォーズエピソード1/ファントム・メナス」のポール・マーティン・スミス、音楽は「マトリックス」のドン・デイビス。
アドレナリンが逆流する程の疾走感にのせて、ドキュメンタリーの生々しいタッチや最新技術を使ったシャープでスタイリッシュな映像で緩急自在に描く「エネミー・ライン」は、エネルギッシュなアクションとスリルに満ちた男のドラマである。

監督:ジョン・ムーア
現在31歳のムーアは、アイルランドに生まれ、アイルランド共和国軍の隠れ家として長い間知られ、自動車爆弾で親戚が何人か亡くなり、流血の暴動が日常茶飯事の厳しい環境の国境の町ダンダルクで育つ。家は代々労働者階級に属し、父親は大工、母親はコンピュータ製造工場で働いていた.3男1女の次男で、家には車がなかった。(ちなみに、弟のポールはアイルランド軍の狙撃手になり、「エネミー・ライン」で狙撃手役で特別出演している。)11歳のときにTVでイスラム過激派によるエジプトのサダト大統領暗殺の番組を見て、戦場カメラマンになるのを夢み、イギリスTV局の戦争特派員アーノート・バン・リンデンにあこがれる。ダブリンのテクニカル・フィルム・スクールを卒業し、ニュース・カメラマンとして、イスラエル軍の砲火の中、南レバノンの平和維持活動を追いかけたり、ボスニアでの紛争にとりつかれて民族衝突を研究し、その解答を求めて戦争によって引き裂かれた現地を訪れもしている。そして、活況を呈しはじめたアイルランド映画界に移り、ニール・ジョーダン監督の「スターダスト」(90)や「ブッチャー・ボーイ」(98・V)、メル・ギブソン監督・主演の「ブレイブハート」(95)、ジム・シェリダン監督作品など数本の映画のアシスタント・カメラマンをつとめ、アイルランドのバンドのミュージック・ビデオの監督も手がける。
その後、コマーシャル監督となり、最新の特撮技術を加えた革新的な仕事で世界中から称賛され、その中でもアディダスやギネス・ビール、セガのコマーシャルが有名だが、そのセガのコマーシャルが1999年のMTVミュージック・ビデオ・アワードの番組内で流れた際にそれを見て、20世紀フォックスとデイビス・エンターテインメントは、ムーアを「エネミー・ライン」の監督に白羽の矢を立てたのだった。

ストーリー



アラビア海に浮かぶ米海軍の原子力空母USSカール・ヴィンソン。バルカン半島の平和維持が任務だが、偵察飛行ばかりのルーティン・ワークに、クリス・バーネット大尉(オーウェン・ウィルソン)は軍人としての意義を見失い、不満を募らせていた。そして、レスリー・レイガート提督(ジーン・ハックマン)の注意を受けると、「監視ばかりで、これは戦いではない」と不満を爆発させ、海軍をやめると言い出す始末。提督は、クリスが兵士の本当の意味を分かっていないと思っていた。
2週間後に退役するつもりのクリスは、仲間がクリスマスで浮かれている中、相棒のスタックハウス(ガブリエル・マクト)と休日の偵察任務に出る。
F/A-18スーパーホーネットに最新鋭のデジタル・カメラIDMを搭載し、ボスニアを上空から撮影する簡単な任務のはずだった。
しかし、NATOに報告していない部隊を集結させていたセルビア人勢力にとっては、見られてはならないものを撮影されたと気づき、地対空ミサイルで撃墜にかかる。突然のミサイル攻撃にわけも分からず振り切ろうとするクリス。1発日は燃料タンクを落として爆破させるが、2発日のミサイルを避けきれずに機体に命中。緊急脱出装置で難を逃れるが、不時着した場所は半壊した巨大な天使像に近い森の中。敵地のど真ん中で、しかもスタックハウスは脚を怪我し骨折している。とりあえず地形を知ろうとクリスが離れたすきに、スタックハウスは逃げることもできず、セルビア人民軍に捕まってしまう。木の陰から様子を見守るクリス。すると、スタックハウスは捕虜にされるでもなく、その場で撃ち殺されてしまう。それを見たクリスは思わず声をあげ、敵に察知されてしまう。降り注ぐ銃弾の嵐。それをかいくぐってクリスは走る。
なんとか逃げ切ったクリスは、無線でカール・ヴィンソンと連絡を取る。レイガート提督は名前でなくコードネームで連絡を取るよう命じ、救出ポイントを指示する。さっそくヘリで海兵隊に救出任務を与えるが、乗船しているNATO軍のピケット提督(ホアキンゲ・アルメイダ)から待ったがかかる。敵陣へ踏みこむのは協定違反で、かろうじて保たれている和平状態が崩れるかもしれないと懸念をしめされ、レイガートはクリスに“エネミー・ライン”を越えた安全地帯まで逃げるようにポイント変更を伝える。
その位置は連なる山々の彼方、絶望的な距離がある。それでも、クリスには走って逃げつづけるしか、命の助かる道はない。それを追いつめるのは、秘密警察官の指揮する兵士部隊と、動物的勘をもった一匹狼の追跡者(ウラジミール・マシュコフ)。
一方、クリスが陽気でガッツのある男だと無線の交信によって彼を見直したレイガート提督だが、今のところ、偵察衛星からの赤外線探知でクリスの安否を気遣うしか方法がなく、敵に追い付かれたクリスがバタリと倒れて動かなくなった映像を見て、これまでか、とあきらめかける。
そのクリスは、足を踏みはずして泥沼に埋まって気を失っていたのだ。そのおかげで敵に発見されなかったのだが、起き上がったクリスが目にしたのは、泥沼いっぱいに遺棄されたムスリムの死体の山だった。停戦協定は守られてなどいなかったのだ!この極悪な戦争犯罪を知らせるためにも、自分は生きて脱出しなければならない。
そう固く誓って、クリスはまた走り出すのだった……。

スタッフ

監督:ジョン・ムーア
製作:ジョン・デイビス
脚本:デイビッド・べローズ、ザック・ペン
ストーリー:ジェームズ・トーマス&ジョン・トーマス
製作総指揮:ステファニー・オースティン、ウィク・ゴッドフリー
撮影監督:ブレンダン・ガルビン
プロダクション・デザイン:ネイサン・クローリー
編集:ポール・マーチィン・スミスG.B.F.E.
共同製作:アレックス・ブラム
音楽監督:ドン・デイビス
キャスティング:エイド・ベラスコ,CSA、シーラ・トレザイズ
衣裳デザイン:ジョージ・L.リトル

キャスト

バーネット:オーウェン・ウィルソン
レイガート:ジーン・ハックマン
スタックハウス:ガブリエル・マクト
ロツドウェイ:チャールズ・マリク・ホイットフィールド
ピケット:ホアキン・デ・アルメイダ
オマリー:デイビッド・キース
ローカー:オレック・クルパ
追跡者:ウラジミール・マシュコフ
バズダ:マルコ・イゴンダ
ケネディ下士官:エイアル・ポデル
ドネリー提督:ジョフ・ピアソン

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