ニューヨーク最後の日々
原題:People I Know
この街で生きてきて、自分はタフだと思っていた。 彼女に出逢うまでは。
2002年6月9日全米初公開
2002年/アメリカ/1時間40分/ドルビー・デジタル/ビスタ・サイズ 配給:アートポート
2003年11月21日よりDVD発売開始 2003年11月21日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年6月14日より日比谷スカラ座2ほか全国東宝洋画系にてロードショー
公開初日 2003/06/14
配給会社名 0014
解説
ニューヨークで30年以上のキャリアを持つパブリシスト、イーライ(アル・パチーノ)。メディアの仕掛け人として脚光を浴びてきた彼の最後の仕事は、難民救済を呼びかける慈悲パーティを開催すること。虚飾にまみれた人生の中で初めて私利私欲を抜きに手がけるイベントだった。これが終われば引退し、長年付き合っているビクトリア(キム・ベイシンガー)に告白、残りの人生を静かに過ごす。そのために自らの人脈をフルに生かし、パーティを成功させるために雪のマンハッタンを奔走するイーライ。しかし、彼のクライアント、ケアリー(ライアン・オニール)からスキャンダルのもみ消しを依頼されたときから、イーライの運命は少しずつ狂っていく。パーティの成否、降りかかるトラブル、遂げられない想い……。プライドと情熱をかけた、男の長い1日が始まろうとしていた。
ロバート・レッドフォードとアル・パチーノ。過去30年以上に渡り、アメリカ映画界のカリスマとして君臨してきた二人が、初めて手を組んだ都会派のヒューマンドラマの傑作が誕生した! 脚本を読み、実在のパブリシスト数人をモデルにして臨んだアル・パチーノ、繊細ではかない演技が印象的なキム・ベイシンガー。映画スター、政治家、大富豪、活動家、マンハッタンを根城に、虚々実々のパワーゲームを繰り広げるセレブたち。ドラッグパーティに興じ、選挙に絡む野望をめぐらせるニューヨーカーの虚構に満ちた世界の実態を、パブリシストというユニークな立場にある人間の視点からあぶり出すように描いた作品は、<現代版『成功の甘き香り』>とも言うべきバックステージ・ドラマの魅力を放ち、同時に、切なく胸に迫るヒューマンドラマの趣を湛えている。
共演は本作で復活の声が高まるライアン・オニールと「ディープインパクト」のティア・レオーニ。重厚な撮影は「マルホランド・ドライブ」のピーター・デミング。監督はTVシリーズ「Sex and the City」で脚光を浴びているダン・アルグラント。
ストーリー
イーライ・ウーマン(アル・パチーノ)は、大スターのケアリー・ローナー(ライアン・オニール)を顧客に持つパブリシスト。政治家からジャーナリストまで幅広い人脈を持つ彼は、過去30年に渡り、NYを本拠地に第一線で活躍を続けていきた。が、それも最早限界に近づいていた。いまのイーライは、精神的にも肉体的にもボロボロに疲れ果て、引退して故郷で暮らすことを夢見ている。そんな彼が、自分で自分に課した最後の大仕事は、刑務所で強制送還の時を待っているナイジェリア難民の救済イベントを成功させることだった。その大切な日の前夜、イーライのもとにケアリーからSOSの電話がかかってくる。暴行事件を起こして警察に引っ張られた愛人の女優ジリー・ホッパー(ティア・レオーニ)を釈放させてほしいというのだ。ケアリーから奴隷のように使われることに腹立だしさを覚えながらも、イベントへの出席を交換条件にその仕事を引き受けるイーライ。警察署の前で待ち構えていた記者をかわし、ジリーをリムジンに乗せた彼は、ケアリーの自家用機が待機している空港へ彼女を連れて行こうとする。
しかし、ジリーはいう事を聞かず、とあるビルのショールームに車を向けさせた。そこは、移動式の阿片パーティの会場で、ジリーとともに足を踏み入れたイーライは、大富豪のエリオット・シャランスキー(リチャード・シフ)と顔をあわせて驚きにかられる。いっぽう、自分の荷物を取り返す目的でこの場所へやって来たジリーは、パーティの主催者と口論を演じたすえ、イーライともども会場からたたき出されてしまう。二人が次に向かったのはジリーの宿泊するホテルだった。ドラッグに侵されたハイな口調で、悪態をつきながら荷造りするジリー。その姿を横目で見ながら、イーライはいつしか眠りの世界に落ちていった。
翌朝、大あわてでアパートに戻ったイーライは、間近に迫ったイベントに黒人指導者のブラント牧師(ビル・ナン)を担ぎ出そうとハーレムへ出かけていく。首尾良く牧師を口説き落とした彼は、3年前に自殺した弟の妻ビクトリア(キム・ベイシンガー)と昼食をとるために、約束のレストランに向かった。ビクトリアはイーライの初恋の女性で、イーライに心の安らぎを与えてくれる唯一の存在だった。昼食のあと、ビクトリアの宿泊するホテルでお互いの思いを確かめ合うふたり。しかし、今夜のイベントが成功を見るまではという気持ちから、イーライはビクトリアを抱く事ができなかった。
検査を受けるために主治医のサンディ(ロバート・クライン)の診療所を訪れたイーライは、ケアリーの紹介でジリーの診察をしたこともあるサンディから、彼女の死を知らされる。ジリーは昨晩、イーライが眠っているあいだに、別室で殺されたらしい。その後、オフィスに戻ったイーライを、ケアリーが待ち受けていた。上院議員選挙に立候補するという彼は、イーライを解雇して若いパブリシストを雇うと言う。そんなケアリーに、イーライは、「君がジリーと阿片パーティに行かなければ、彼女は生きていたと思うか?」という脅迫めいた言葉を投げつけ、イベントへの出席を強硬にうながす。
いよいよイベントが始まった。会場のパームには、イーライに阿片パーティの弱みを握られたシャランスキーと、自身の活動の宣伝効果を求めるブラント牧師もやって来た。そして、同様の下心を持つケアリーの姿も。彼らの名声のおかげで、イベントは大成功。「人生のなかでひとつでも意義あることをしたい」というイーライの望みはかなえられる。それを遂げる手段の汚さに後ろめたさを感じながらも、イーライの胸は安堵感で満たされていた。ビクトリアと共に会場を後にした彼は、一緒にバージニアで暮らす決意を固めたと語り、彼女を喜ばせる。いま、イーライの前には、穏やかな第二の人生への扉が開かれたかに見えたが……。
スタッフ
監督:ダン・アルグラント
製作:マイケル・ノジック、レスリー・アーダング、カレン・テンコフ
脚本:ジョン・ロビン・ベイツ
撮影:ピーター・デミング,A.S.C.
美術:マイケル・ショウ
音楽:テレンス・ブランチャード
衣装:デヴィッド・ロビンソン
配給:アートポート
キャスト
アル・パチーノ
キム・ベイシンガー
ライアン・オニール
ティア・レオーニ
リチャード・シフ
ビル・ナン
ロバート・クライン
マーク・ウェバー
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