原題:FETISH

誰もこの迷路から逃げ出せない・・・

2001年/日本/カラー/ビスタサイズ/モノラル/100分 配給:アースライズ

2008年09月25日よりDVDリリース 2001年8月25日より新宿ジョイシネマにてレイトショー公開

©2001 OMEGA PICTURES,Inc.

公開初日 2001/08/25

配給会社名 0098

公開日メモ 『不貞の季節』『東京ゴミ女』に続く廣木隆一監督の最新作は、フェチシズム・サスペンス。 同じトラウマを持つ幼なじみ3人が同窓会をきっかけに再開する事により、閉ざされていた過去が不思議な快楽の中で解き明かされていくフェチシズム・サスペンス。

解説



美しき脚と脚のあいだに、迷路はある。
しなやかな流線型を描く女性のおみあし、その例えようのない美しさに魅せられる者は少なくない。やわらかなる肌ざわり、あまやかなる舌ざわり。”フェティッシュ”拝物性愛の対象物として、最も眩惑的なものの一つだ。
そんな美脚フェチ・マニアが雲集する、秘密のクラブ「MAZE」を舞台に、美しくも妖しく、そして切ないサスペンスが迷走する。
十代の彼らには夢があった。いつか、自分たちの遊園地をぶったてようと、いつも三人つるんでいた。あれから17年、久々に同窓会で再会した加藤は刑事に。竹内はネット・ビジネスで大成功を収めていた。が、謎の焼身自殺をとげる。そして、秘かにオーナーをつとめていたクラブ、MAZEを七緒子に残した。七緒子の病気を止めるために——————。
麻薬、売春、殺人ビデオ。悪徳の噂が絶えないMAZEに、警察の内偵が入る。だが、加藤はいつしか七緒子の待つMAZE=迷路へと入り込んでしまった。そんな加藤の背後に、何故か自殺したはずの竹内が。三人の過去に隠されたトラウマとは……。
美脚のあいだの、濡れた迷路の奥には、何がある。

今年、日本映画批評家大賞監督賞を受賞した『東京ゴミ女』や、大杉漣初主演の『不貞の季節』など、近年再び快作を連発しはじめた廣木隆一監督が、ここでも透明感あふれる映像で、エロスに潜む男と女と青春の影をミステリアスに、フェティッシュにフィルムヘと焼きつけた。
そのコジャレた現代風俗描写は、MAZEの場面で遺憾なく発揮される。新たなレディース・ユニットのムーブメントとして、マスコミを賑わせるLUCKY LEGSをフィーチャーし、美脚の魅力をたっぷりと、オシャレに見せつけてくれるのだ。
ストッキングの、網タイツの、生の、脚、脚、脚!それを彩る革のボンテージ、包帯のパンテージ!ハイ・ヒールが、ピン・ヒールが、身体に痛い、心に痛い!その官能的なフォルムは、脚フェチならずとも、広く美を追求する女性の共感をも呼ぶことだろう。

出演は、これが初の主演となる『天国から来た男たち』の迫英雄。持ち前の妥協のない精神力で、刑事加藤役に挑んだ。加藤に好意を抱く、MAZEの歌手・じゅんに『ひまわり』のひふみかおり。自らのアルバム「shadow play」に収録された「sweet days」「風」の二曲披露にも、うっとり。聴き逃せない。加藤の幼なじみ竹内には、ドーヴィル・アジア映画祭で受賞した『ほとけ』(監督辻仁成)の公開も控える大浦龍宇一。同じく幼なじみの七緒子には、『M/OTHER』で高崎映画祭主演女優賞を受賞の渡辺真起子。ボンテージに身をつつみ、タナトスヘと至る美脚のSMハイ・ヒール・プレイは本作のハイライト。必見の美しさである。また、警視庁のエリート・伏木として、廣木監督作品「800 TWO LAPRUNNERS』の主演で新人賞に輝いた野村祐人が、狂言廻し的な役どころで作品全体をしめている。さらには、旭化成のCM”ラップ・アンド・ジップ”などの個性派・戸田昌宏
がMAZEの支配人を、あるいは近年、特異な演説パフォーマンスで若い世代に人気を呼ぶ特殊派・鳥肌実がMAZEのアブない客を怪演するのも話題だろう。
脚本は『東京ゴミ女』『歯科医』で注目の若手・及川章太郎が、撮影は『MONDAY』『天使に見捨てられた夜』の佐藤和人が担当。また、MAZEに飾られている美脚フイギアを、ハリウッドで活躍するスクリーミング・マッド・ジョージが手掛けている。そして、Missile Girl Scootの曲がラストを飾った。
美脚と美脚のあいだが、いま、あなたにむかってひらかれる。しかし誰もこの迷路から逃げ出せない…。

ストーリー



加藤、七緒子、竹内の物語は、ネット上のかたすみで、いまなお語りつがれている————

下っ端刑事の加藤(迫英雄)を、10年ぶりに幼なじみの竹内(大浦龍宇一)が訪ねて来た。いまや竹内は、年商何十億というネット・ビジネスの成功者である。二人は同窓会へと向う。場所は、彼ら共通の幼な友達・七緒子(渡辺真起子)が経営する小ジャレたバー。しかし、酔った竹内は妙に荒れているのだった。
“辞めろよ警察なんか。辞めて昔みたいに俺とツルんでくれないか”。竹内は加藤に「MAZE」と書かれた会員カードを渡した。そして、数日後に焼身自殺する。”竹内君は、あなたに助けて欲しかったのよ”。七緒子は加藤を抱きしめた————。
加藤は、以前、覚醒剤で補導した少女・じゅん(ひふみかおり)の面倒をみていた。加藤に好意を持つじゅんは、中華料理屋でバイトしながら、クラブ・シンガーのオーディションを受けていたが、「MAZE」というクラブに採用された。フロアにじゅんの美しい歌声がヴァイブレートする。そこは、脚フェチ・マニアの為の秘密クラブ————。

加藤の前に、本庁のエリート・伏木(野村祐人)が現われる。政界から裏社会まで巻き込み、悪質なのし上がり方をした竹内を追っていたと言う。その矢先の自殺。そして行きあたった「MAZE」。”あそこって妖しい噂が多いんですよ。麻薬、売春……殺人ビデオ”——渡された一本のビデオ。ふるいつきたくなるような美脚をボンテージに包んだ女のピンヒールが、拘束された男の肌を裂く。美脚のシルエットは、七緒子————!?

きらびやかな毒針を持つ美脚の女たちがさんざめく「MAZE」に、加藤はいた。じゅんの歌に乗って、ダンサーたちの美脚が男たちを迷路(メイズ)に誘い込む。”これが竹内君の遺産よ。ここだけが自由になれる場所だった”。加藤の後ろに、七緒子がいた。”夢の遊園地を実現させたってわけだ”。加藤の言葉に、七緒子の表情が曇る————。

七緒子が自殺未遂した。”もう、ずっと治ってたはずなのに、また昔のクセが出ちゃった・・・・・・”。”困るんだよ、俺だけ置いていかれたら。……また、ツルませてくれないか、お前らと”。加藤はつぶやいた瞬間、背後に人の気配を感じ、意識を失った。そこには、死んだはずの竹内が—————。

————それは17年前、十代の三人は抜差しならぬ性の迷路に突き落とされて————。

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー:横濱豊行
プロデューサー:三宅澄二、松島富士雄、石井誠一郎
スーパーバイザー:藤原靖弘
監督:廣木隆一
脚本:及川章太郎
音楽:遠藤浩二
撮影:佐藤和人
照明:吉角荘介
録音:深田晃
美術:池田大威
編集:菊地純一
助監督:宮城仙雅
フイギア・アーティスト:スクリーミング・マッド・ジョージ
コミックキャラクター:八神ひろき/講談社
挿入歌:hifumi kaori「sweet days」/(P)2000ユニバーサルミュージック株式会社 ユニバーサル
Missile Girl Scoot「FIESTA!」/(P)2000東芝EMI株式会社
製作:オメガ・ピクチヤーズ
企画協力:オメガA.T.ミュージック
制作協力:エクセレントフイルム

キャスト

加藤:迫英雄
じゅん:ひふみかおり
七緒子:渡辺真起子
竹内:大浦龍宇一

"MAZE"の女達:LUCKY LEGS
小西:鳥肌実
伏木:野村祐人

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.omega.co.jp
ご覧になるには Media Player が必要となります