原題:UTUTU

魂を凍らせるサイコ・ホラー誕生 美女たちに翻弄され、男の人生は狂い始める… リアルな恐怖が迫る、大人のためのサイコ・ホラー

2001年/日本/100分/ビスタサイズ/カラー/モノラル 配給:日活/宣伝:スキップ(鈴木・岩塚)

2002年11月08日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年11月08日よりDVDレンタル開始 2002年6月1日よりシネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー公開

(C) 2002「うつつ」製作委員会  日活/ケイエスエス/ソニーPCL/テレビマンユニオン

公開初日 2002/06/01

配給会社名 0006

公開日メモ 平凡な男が美女たちに翻弄され、恐怖の地獄に身を投じてしまう、悪夢のサイコ・ホラー。

解説



 ある雨の夜、家路を急ぐ男の前に現れた赤い傘の女。和服姿も美しいその女は、さりげなく男に傘を差しかける。男は同じマンションの住人だと思いこみ、同行するが、女は意外な言葉を口にした。「私の夫とあなたの奥さんは不倫をしている。私たちも…同じことをして、復讐してやりませんか?」—それは、これから始まる恐ろしいドラマのプロローグにすぎなかった…。
 これは、あるひとりの平凡な男が美しくも妖しい女たちに人生を翻弄され、気がついたときには後戻りのできない闇の地獄に身を投じてしまうという、悪夢のサイコ・ホラーである。疑心暗鬼に陥った主人公の行動が予測不可能な展開をよび、ラスト1分まで結末が全くわからない。そこには、疑いきることも、かと言って信じきることもできない、不確かな時代に生きる現代人の不安が象徴されている。最近のホラー映画といえば、『リング』などオカルト的テーマと身の毛もよだつ映像で観客にショックを与える作品が若者たちの間で話題を集めてきた。しかし、この作品はそれらとは全く一線を画している。ここに出てくるのは、一見、我々が住む世界となんら変わらない普通の日常生活だ。どこにでもある、見なれた家の部屋や家具、佇まい—。余りにも身近なだけに、それがいつの間にかいつもと違う世界にすり替わっていく恐怖は、呪いや血みどろホラーの現実離れした怖さよりもずっとリアリティにあふれ、まさに大人のためのホラーと言えるものだ。観るものの心理の奥底をじわじわ侵食しながら、観終わった後は、一番親しい人でさえ疑惑に満ちた他人に見えてくるという恐怖におののくことになるだろう。この映画のラストは、そのまま、あなたの日常に繋がっているのだ—。
 
実力派No.1佐藤浩市と
ゴージャスな女優たちが競演!
 
 大人のためのホラー映画にふさわしく、本作では、アダルトな魅力が際立つ実力俳優たちがゴージャスに競演している。 女たちに翻弄されるサラリーマンを演じているのは、日韓合作の最新作『KT』にも主演するなど、その強烈な個性と演技力で、実力No.1を誇る佐藤浩市。妻以外の女にのめり込み、地獄に陥っていくさまは、男なら誰でも身につまされる筈だ。 男の運命を狂わせる魔性の女を怪演するのは、本格ホラーに初主演の宮沢りえ。今年公開の香港映画『華の愛—遊園驚夢—』でモスクワ映画祭最優秀女優賞に輝くなど、女優として大成長している彼女が、今までの可憐な魅力とは一変、鳥肌の立つような無気味な空気をスクリーンに発散する。男の妻を演じるのは、映画『天国から来た男たち』やTV、CMなど幅広く活躍する大塚寧々。宮沢りえとは好対照の都会的で飄々とした個性の中に、恐怖の素顔を垣間見せるあたりが怖い。また、保険セールスレディに扮するのは、今村昌平監督作『赤い橋の下のぬるい水』の小島聖。さらにもう1人の美女に、『千年の恋 ひかる源氏物語』で光源氏を熱演し、さらに現在NHKの大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」に出演中の天海祐希が華を添えている他、青山真治監督作品には欠かせない若手有望株の斉藤陽一郎、邦画界きっての個性派俳優・の演技にも注目が集まる。
 
直木賞作家・連城三紀彦の原作を映画化、
超一流スタッフが集結!
 
 原作は、連城三紀彦の短編小説「夜の右側」(集英社文庫「美女」収録)。恋とミステリーを情感豊かに謳い上げる彼の作品は、直木賞に輝いた「恋文」を始め、多くのファンに読まれているが、この原作も、謎と官能をたたえた展開で読者を魅了する。その彼のテイストはそのままに、さらにひと捻りある結末を用意し、原作を読んだ者をも驚かす内容にまとめあげたのが、脚本・監督の当摩寿史だ。92年に『C〈コンビニエンス〉・ジャック』で映画監督デビューを果たし、その後主にTVのサスペンスものを多く手掛けてきた彼は、火曜サスペンス劇場「月のかたち」(大竹しのぶ主演)で、ギャラクシー賞奨励賞や民間放送連盟賞優秀賞などを受賞。その手腕は広く認められている。映画監督2作目に当たる本作では、随所に騙しのテクニックを配し、普通のようでいて普通ではない世界をシャープな映像で表現。まさに、これまでにない悪夢のサイコ・ホラーを誕生させた。なお、音楽を担当したのは、昨年11月に1stアルバム「ハイカラガール」をリリースして注目されているユニット“capsule”の中田ヤスタカ。観客の不安感や焦燥感を駆り立てるユニークなサウンドは、いつまでも耳に残って離れない。

ストーリー



愛する人が、いちばん怖い—。

 池島隆一(佐藤浩市)は、40才の中間管理職。専業主婦の妻・公美子(大塚寧々)とは恋愛結婚をして7年。子供はいないが、郊外の洒落たマンションで暮らしている。毎日毎日、会社と家の往復は刺激がないものの、それを不満にも感じることもなかった。異変は、ある晩突然やってきた。その日、公美子は同窓会旅行で留守にしていた。残業を終え、家の近くの駅に降り立った池島は、雨が降っていることに気づく。そのまま歩き出した彼の前に、赤い傘を差し出す和服の女性がいた。彼は同じマンションの住人なのかと思い、好意に甘えることにした。しかし、マンションに着いても、女は池島の後をついてくる。女はそこで初めて小原幾子(宮沢りえ)と名乗った。公美子の友人? しかし、家に上がってきた彼女は、意外な言葉を口にした。「私の夫の英介(斉藤陽一郎)とあなたの奥さんは不倫をしています」—まさか、あの公美子が…? そんな大胆なことが彼女にできるというのか? が、今2人がいるホテルに電話してみたら、という幾子の言葉には、その事実を信じさせる気迫がみなぎっていた。全く知りもしなかった幾子という女と一室で向き合ううちに、池島にとって、これが現実か悪夢なのかわからなくなっていく。そして気がついたときは、「私たちも同じことを…」と喘ぐような幾子の誘惑に負け、その美しい着物の裾をめくり上げていた—。 翌日、彼は箱根から帰った公美子に浮気の件を問いただすが、彼女は笑って取り合わない。結局、事実は判然としないまま、確実なのは、池島が幾子の肉体に溺れてしまったことだった。
 二度目に会った幾子は、黒いサングラスをかけて派手なスポーツカーを運転していた。その余りの印象の違いに驚く池島だったが、そのメガネの下の目は黒く腫れていた。夫の英介の仕業だという。「殺しかねない剣幕だったわ、あの人—」。そんな彼女が愛おしくて、池島はまた次に会う約束をしてしまう。それ以来、彼は出張と嘘をついては、幾子との逢瀬を楽しんだ。しかし、会うたびに池島は少しづつ変化していく彼女の言葉に翻弄されていく。「私たちがこうしていられるのも、あの人たちのおかげ。まるでおこぼれみたい…くやしい、こっちの方がこそこそしてるみたいで」。弱気になって、死にたいと口にするかと思うと、今度は、「死ねばいいのは…あの人たち…」と、2人への殺意をほのめかす。そして、自分の保険金の受取人を英介から池島に変えたと打ち明ける幾子に誘導されるように、彼もまた、自分の保険金の受取人を幾子に変更してしまう。それを彼は同じマンションに住む保険セールスレディ・長田智美(小島聖)に依頼する。が、実は彼女と公美子は池島の知らないところで、深く繋がっていた…。やがて幾子に言われるままに、ある計画に加担する池島。が、それが意外な方向へ転がり出したとき、ふと、池島の胸に去来するものがあった。もしかして、妻は、不倫などしていないのではないか。すべては、見知らぬ女、幾子の罠だったのではないだろうか—!? さらに、真実が明らかになる前に、彼の前にもう1人の謎の女(天海祐希)が現れる。しかしその先には、池島自身も信じられない悪夢が待っていた—!

スタッフ

製作総指揮:中村 雅哉
製作:猿川 直人、仁平 幸男、鳥山 成寛、重延 浩
プロデューサ:合津 直枝、横手 実
原作:連城 三紀彦 (集英社文庫「美女」より)
音楽:中田 ヤスタカ (capsule)
監督・脚本:当摩 寿史
撮影:佐光 朗
照明:高柳 清一
美術:那須 睦
装飾:河合 良昭
録音:岩倉 雅之
編集:普嶋 信一
助監督:杉山 泰一
製作担当:小川 勝広
音楽プロデューサ:長岡 和弘
製作:日活株式会社、株式会社ケイエスエス
   ソニーPCL株式会社、株式会社テレビマンユニオン
配給:日活

キャスト

池島隆:佐藤浩市
池島公美子:大塚寧々
長田智美:小島聖
小原英介:斉藤陽一郎
内山部長:田山涼成
小宮山:小西真奈美
今泉刑事:中村育二
傘の女:天海祐希(友情出演)

長田勤:大杉漣

小原幾子:宮沢りえ

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