原題:Un sac de billes

1975年/フランス映画/100分/イーストマンカラー パナヴィジョン/1.66ヴィスタ/配給:ザジフィルム

2000年12月22日DVD発売 2000年6月10日より銀座テアトルシネマにてレイトロードショー!! 2000年7月15日から28日までモーニングショー(AM 10:00より上映)追加決定!

公開初日 2000/06/10

配給会社名 0089

解説

『小さな赤いビー玉』は、『ラ・ピラート』『ピストルと少年』『ポネット』などの諸作品で知られるジャック・ドワイヨン監督が1975年に発表した長篇劇映画第2作です。
ドワイヨン監督が32歳のときに撮りあげた『小さな赤いビー玉』は、彼にとっては例外的な製作条件で撮られたがゆえに、常に現代を舞台に若い男女の葛藤を描き続けるドワイヨン映画の秘密を「優しさ」と「厳しさ」の両面において反対側から照らしだすものとなっています。

ストーリー

 1941年の年末近く、ドイツ軍占領下のパリ。
 パリの北、クリニャンクールの町に、ロシア系のユダヤ人ジョッフォー家(両親と4人の息子)は小さな床屋をひらいていた。末っ子ジョゼフの回想の声ではじまる。
 「”ユダヤ人の店”という看板を出さねぱならなくなった時、僕らは不満だった。考えもしなかったことだ。だからドイツ兵が通ると、看板を隠すために立った。ユダヤ人の一斉検挙が始まっていたからだ」。
 1O歳のジョゼフと12歳のモーリスが看板を隠したいたずらによって、ドイツ兵がユダヤ人の床屋に入ってしまう。この事件はたちまち町の噂になった。
 ナチスのユダヤ人迫害は、日を追うごとにはげしくなり、一家はユダヤ人の印である黄色い星を衣服に縫いつけられることになる。兄弟はこの星が原因で、学校でのいじめにあう。そんな放課後、ジョゼフは星がかっこよく思えたイタリア人の友人と、ビー玉のつまった袋を黄色の星と交換する。
 いよいよ身近に危険が迫るのを感じた父親は、息子たちを非占領地帯の南フランスヘ、越境させようとする。
 まず、長男のアンリと次男のアルベールが南フランスのマントンヘと脱出した。今度は、モーリスとジョゼフの番だ。父親はジョゼフに「ユダヤ人か?』と同う「はい」と答えるジョゼフを父はなぐった。決してユダヤ人だと言わないことを子供たちにたたき込んだのだ。そして、行こうとするジョゼフを呼び止め、「兄さんにパンを盗られるなよ」と耳打ちする。
 実際、列車の中では、モーリスがジョゼフにパンを分けるよう口論が始まっている。ダクスの駅に着くと、ドイツ軍将校が身分証の検査を乗客のひとりひとりにおこなっている。2人の兄弟は不安におののく。モーリスは隣に座っていた司祭に助けを求める.司祭は兄弟を「私の連れだ」と言ってくれ、難を逃れる。
 兄弟は占領地帯の境界の町へと、バスでたどり着く。ここで、占領地帯から非占領地帯へと移る一本の道路をドイツ軍歩哨の目を盗んで渡らねばならないのだ。2人は兄たちを助けたペダールにカフェのビリヤード場で会うが、一人5千フランとふっかけられ、2人で6千フランの手もちしかない兄弟は絶望する。だがそこに現われたパン屋の青年が千フランで運んでくれるという。兄弟は大きなパンを運ぶ手押し車に隠れて、深夜境界線を突破する。しかし、モーリスはジョゼフを残して戻っていった。カフェに残されていたユダヤ人を助けるためだ。8人のユダヤ人を助けたモーリスはパン屋の青年と折半した残りの四千フランをもって、不安でおしっこをもらしたジョゼフのもとに戻る。これからの旅費をかせがねぱならなかったのだ。
 兄弟は南仏を目指して、歩く.途中、空腹にたえかね、農家のニワトリを盗んで食べたりもした。駅では、ドイツ兵にとがめられたジョゼフは機転をきかせ、近くにいた大人をパパだといつわり、「僕にキスして」と話しかけ、窮地を逃れた。そして、南仏の海岸にたどり着く。
 マントンの町で理髪店を園乗していた兄たちと再会する。モーリスはパン屋で、ジョゼフは農家で働きはじめる。
 そして、両親も到着する。両親がやってくるのを見たジョゼフは、冷たいレモネードを両親に飲ませるためにつくろうとして、家に鍵をかけるが、逆に怒られてしまう。
 だが、そこへ2人の兄に、ドイツでの強制労働の召喚状が届けられる。一家はマントンを捨て、イタリア占領下のニースヘと逃げる。だが、そこもイタリアの占領時代は終わり、代わってドイツ軍がやって来る。一家は交代で見張りを立て、屋根裏部屋へと隠れる。やがて、絶え切れなくなった父親は、自分のヘッドで寝たいと言い張る。緊張の極限にきているのだ。
 モーリスとジョゼフは、青年労役隊にもぐり込む。しかし、ドイツ兵に捕まり、ドイツ軍本部となっているホテルヘ連れていかれ、ユダヤ人かと尋問される。兄弟はアルジェの出身だと言いつのるが、医師に「割礼」の検査を受け、抑留され、きつい労役の日々を耐える。モーリスはドイツ兵に、24時間以内に洗礼証明書を取ってくるように言われる。ジョゼフは人質だ。ジョゼフは逆さ吊りの拷問まで受ける。モーリスは戻ってくる。親切な司祭が迎えにきてくれると。そして、2人は釈放される。
 だが、今度は父親が逮捕されたと知らされる。モーリスとジョゼフは北の山岳地帯の町へ逃げる。モーリスはカフェで働き、ジョゼフは本屋のマンスリエ家の住み込みで働き、自転車で新聞配達をする。
 本屋の娘フランソワーズは、ジョゼフと同じ齢で、ロマンチックな小説を書いている。フランソワーズに本の続きを書くように言われたジョゼフは、有名小説を丸写しする。
 ジョゼフはフランソワーズと初めてのキスを体験する。
 戦局がドイツの不利の方へと展開している。対独協力者であるマンスリエは、フランソワーズを疎開させる。ジョゼフはフランソワーズと別れのキスをかわす。
 ついにパリが解放され、レジスタンス派が勝利をおさめる。マンスリエは捕えられた。
 モーリスとジョゼフは車でパリヘと向かった。
 そして、自宅である床屋の前で、4人の兄弟は記念写真を撮ろうとしていた.しかし、そこには父親の姿はない。

スタッフ

監督:ジャック・ドワイヨン
原作:ジョゼフ・ジョッフォ
脚本・脚色・台詞:ジャック・ドワイヨン、ドニ・フェラリス
音楽:フィリップ・サルド
撮影:イヴ・ラファイユ
カメラ:ジェラール・ド・バティスタ
録音:ミシェル・フォール
美術:クリスチャン・ラマルク
衣装:ミシェル・シュミナル
編集:ノエル・ポワソン
製作担当:ジェローム・カナパ
製作総指揮:ピエール・グルンシュタイン

キャスト

ジョゼフ:リシャール・コンスタンティーニ
モリース:ポール=エリック・ジェルマン
父:ジョゼフ・ゴルタンペール
母:レーヌ・パルテーヴ
アンリ:ユペール・ドラグ
アルペール:ジル・ロラン
マンスリエ:ミシェル・ロパン
フランソワーズ:ドミニク・デュクロス

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