原題:juvenile

少年は、その夏未来を見た 21世紀にむけた壮大な映像ファンタジーが登場する

2000年/日本映画/カラー/ビスタビジョン/6巻2867m/1時間45分/ドルビー・デジタル 配給:東宝

2000年7月5日(土)全国東宝系ロードショー。

(c)2000 Juvenile Project

公開初日 2000/07/05

配給会社名 0001

解説

2000年夏、新世紀にむけた全く新しい映像ファンタジーが登場する。『シュブナイル』である。“シュブナイル”とは“少年期の”といった意味を持つ英単語だが、この作品には“少年の頃の夢を忘れない”というメッセージが込められている。

ある田舎町の夏の日。少年たちは1体のロボットと遭遇した。名前はテトラ。高度な知能を持つテトラは、未来からメッセージを持ってやってきたのか?自称天才物理学者・神崎(香取慎吾)を巻き込んだ、ひと夏の冒険が始まった。神崎と少年たちは、持ちうる限りの知識とありったけの勇気で、地球に迫る危機に立ち向かうことになる……。

この作品は、ひとつのジャンルに収まらない、さまざまな要素で構成されている。サイエンス・フィクションてあり、ひと夏のアドベンチャーてあり、少年の頃のノスタルジックなメモワールであり、友情と初恋の物語でもあり、壮大なファンタジーといえる。タイトルに込められた作り手たちの想いが、この斬新な試みをスケールの大きな作品に仕上げた。

監督・脚本・VFXは35歳の新鋭・山崎貴。この企画は、VFX(ビジュアル・エフェクツ)クリエイターである山崎監督のオリジナル企画だが、その情熱と才能をあますところなくつぎ込み、300カットに及ぶCG合成と、ノスタルジックな美しい映像を見事に融和させ、今までになかった全く新しいファンタジー大作を誕生させた。

欧米に比べ、日本人はロボットに親近感を持っているといわれている。その最大の原因は手塚治虫の「鉄腕アトム」によるという説もある。昨年から玩具犬“AIBO(アイボ)”が話題を呼び、初めて家庭に入った本格的ロボットと話題を集めている。この作品に登場する“TETRA(テトラ)”は2020年の科学技術によリ生み出された設定だが、コミュニケーション型、ロボットと人間との交流は、フィクションという枠を超えて、現実の未来への示唆に富むものかも知れない。

劇中には各社とのタイアップにより、さまざまなプロダクション・プレイスメント(劇中での商品使用)が実現し、現代の少年たちの生活をリアルに描写することに寄与している。プレイステーション2(PS2)が登場するが、そのコントローラーで直立型ロボット・ガンゲリオンを操縦する。現代のテレビゲーム全盛時代に生きる少年たちにとってこの映画は、憧れの疑似体験となるだろう。

スタッフには、映画、CMを問わず選ばれた実力派が結集した。撮影の柴崎幸三(「学校の怪談」シリーズ、「愛を乞うひと」で日本アカデミー賞最優秀撮影賞受賞)を中心にしたスタッフが山崎監督を支え、最高のクオリティを生み出した。VFXは山崎監督が、自らも所属する白組の精鋭のスタッフと共に半年以上の期間をかけて取り組んだ。日本映画従来の、“着ぐるみ+ミニチュア”とは一線を画した、ハイクオリティかつオリジナリティあふれる出色の出来映えといえる。

主題歌、挿入歌は山下達郎。この物語にインスパイアされ、オリジナル楽曲を作曲した。「Juvenileのテーマ」は新曲だが、山下が日本の劇映画に書き下ろし曲を提供するのは初めてのこと。挿入歌「アトムの子」は、山崎監督のイメージに最も合うため、編集のために仮に使用していたものだが、山下が使用を快諾した。

主演の香取慎吾は、この企画の持つテーマに賛同、自ら主演に名乗りをあげた。テレビ、映画と活躍の幅を広げる彼が、あたたかさに軽妙さを加えた演技で、少年の心をあわせ持つ自称天才物理学者・神崎を演じた。神崎の良き理解者・範子を演じるのは酒井美紀、VFXにより変身するなど、透明感のある演技で定評のある彼女の、新しい一面を披露した。少年たちのマドンナ的存在・ミサキを鈴木杏が演じた。「ヒマラヤ杉に降る雪」のヒロインの少女時代を演じるなど、最近めざましい活躍の彼女の魅力をあますところなく発揮している。

3人の少年たちも個性的なキャスティングになっている。ユースケを遠藤雄弥、ヒデタカを清水京太郎、トシヤをYUKIが三者三様の個性豊かに、最近の子供たちの姿をリアルに、瑞々しく演じた。物語の重要部分である2020年のユースケは吉岡秀隆が演じた。安定感のある優しさあふれる演技で、作品に一層の厚みが加わった。同じく2020年のミサキを緒川たまきが演じ、彩りを加えている。

山崎監督が「ジュブナイル」の企画に着手したのは98年のこと。この企画を実現させたのが、TV・CMの企画・制作会社であり、「Love Letter」(95年)「7月7日、晴れ」(96年)「踊る大捜査線 THE MOVIE」(98年)の制作プロダクションとして知られるR0BOT。従来の日本映画とは作風の違う、新しい感賞の作品に仕上げた。 ハリウッドでは、「マトリックス」「ブレアウィッチ・プロジェクト」「シックス・センス」など、20代〜30代の若手監督のオリジナル企画をメジャーがバックアップするケースが増えているが、この作品では、日本映画界を支えてきた経験豊かな各社の共同プロジェクトとなった。フジテレビジョン(「踊る大捜査線THE MOVIE」「梟の城」)、小学館(「ドラえもん」「ポケットモンスター」)、メディア・ファクトリー(「ポケットモンスター」などで近年映像メディアに積極的に参入)、IMAGlCA、三井物産、ジェイアール東目本企画、白組、ROBOTという、合計8社である。ビジネスとしての可能性は勿論だが、「ジュブナイル」という作品に込められたメッセージに各社が賛同したといえる

ストーリー

2000年夏のある日、ユースケ、トシヤ、ヒデタカは林間学校に来ていた。その夜、バンガローの窓の外に強烈な光が走り、何かが空から落下したらしい。3人は慌てて外へ出た。やはり驚いて外に出できたミサキ(鈴木杏)も加わり、落下物に近づいてみると……そこには1体のロボットがあった。「テトラ、ユースケニ、アッタ」と言葉を発するロボット。

こうして4人とテトラの交流が始まった。4人はユースケの部屋の押し入れにテトラを飼い始めた。高度な知能を有しているテトラは、ユースケたちの集める金属片で、体を改造していった。

そのころ地球上空10万キロメートルの高度に巨大宇宙船団が停泊していた。また太平洋沖200海里には、一辺が6キロある巨大な三角錐が出現する異常事態が発生していた。そしてユースケたちが住むちっぽけな田舎町にも、着実に異星人の侵略が始まっていた……東京から夏休みに遊びに来ていた、ミサキの従姉・範子(酒井美紀)があぜ道をジョギングする姿を見て、その姿と全く同じ容姿に変身する異星人。範子になりすました偽節子は町に出ると、電気店の前のテレビから、地球の情報を収集するのだった。

体を完成させたテトラは、インターネットに接続して自分の知識を増やしたいと言い出す。しかし4人を含め友達もパソコンは持っていないので、近所では変人として有名な神崎(香取慎吾)の営む神崎ラジオ商会に忍び込み、そのパソコンに接続する。そこへ戻って来たのが、神崎。しかし4人を怒るところか、自分の研究を語り始めた。神崎は数多くの特許を持ち、ゲームの開発などもしている、案は天才物理学者なのである。その研究とは……タイムマシンだった。

タイムマシンは現在開発途中、実験の初期段階だ。出来ることといえば、神崎の部屋から紙切れなどを、町はずれの山の中へ瞬間移動すること。ミサキが部屋で描いたピカチュウの絵を試しに転送してみると、確かに紙切れは山の中へ移動していた。しかしその場所は、ユースケたちがテトラを発見した場所でもあった。すると、テトラは違う時代、つまり未来からやってさたのだろうか?

ある夜、テトラはプレステ2を使って、見たこともない戦闘型ロボットの映像を画面に映し出す。ユースケが“ガンゲリオン”と名付けたそのロボットは、かつて味わったことのないリアルな戦闘を体験させてくれた。

翌朝、ユースケが目覚めると、テトラは行方不明になっていた。4人集まり、テトラを探そうと神崎のところへ行くが、出てきた神崎は、何だか様子が違う。異星人が化けた偽神崎だった。テトラの秘密を聞き出そうと、ユースケたちに迫る偽神崎……このピンチはミサキの機転で救われた。タイムマシンの研究材料である液体窒素を降りかけて、偽神崎を凍らせたのだった。

偽神崎から取り上げた小さな三角錐が、太平洋上の巨大な三角錐と同じであることに気付く一同。異星人は惑星改造のために、地球上の水を持ち去ろうとしているのでは? するとテトラは、未来から地球の危機を救うために送られてきたのか? 事態の解決には行方不明になったテトラを探すことが急務だ。ユースケたちの必死の捜索が始まった。

夜、ユースケたちが神崎の部屋に戻ると、ふたりの神崎が酒に酔って盛り上がっている。酒に酔わせて偽神崎から聞き出した情報によると、異星人はボイド人といい。ボイド人は海水を持ち帰るために地球にやってきたという。その目的に支障をきたす、その時代にふさわしくないほど進んだ文明(オーバーテクノロジー)を破壊するのだという。神崎に目を付けたのはテトラを奪うことだった。偽範子に変身したボイド人は頬から触手を伸ばすと、神崎を一撃のもとに気絶させ、更にはミサキをからめ取ってしまう。「この子はテトラと交換だ。返して欲しければテトラを連れて来い。9時まで時間をやろう」夜空に飛び出して行く偽範子……時間はあと10分しかなかった。

パニック状態に陥るユースケたち。その時部屋の電話が鳴る。受話器からはテトラの声。「テトラ、ジュンビデキタ」———窓の外に轟音が響き、強烈なサーチライトが室内を照らす……そこには実物大のガンゲリオンがいた。ユースケはこれに乗ってミサキを救い出す決意をする……

2020年。31歳になったユースケとミサキがいる。その時初めて、あの夏の冒険の意味を、彼らは本当に知るのだった……

スタッフ

監督・脚本・VFX・コンセプチュアルデザイン:山崎貴
企画:河村雄太郎、久保雅一、香山哲、高野力、高橋修、吉田紀之
エグゼクティブプロデューサー:阿部秀司、島村達雄
プロデューサー:波止康雄、沢辺伸政、樫野孝人、安藤親広
Co.プロデューサー:堀部徹
音楽:清水靖晃
撮影:柴崎幸三
照明:上田なりゆき
美術:上條安里
ポストプロダクションスーパーバイザー:百瀬慶一
録音:宮内一男
編集:北澤良雄
スクリプター:石山久美子
助監督:佐野智樹
制作担当:竹内勝一
キャスティングディレクター:原田泉
ラインプロデューサー:山際新平
ビジュアルエフェクツプロダクション:白組
制作プロダクション:ROBOT
製作:「シュブナイル・プロジェクト」
   フジテレビジョン、メディアファクトリー、
   小学館、lMAGlCA、三井物産、
   ジェイアール東日本企画、
   白組、ROBOT

キャスト

神崎宗一郎:香取慎吾
木下典子:酒井美紀
木下岬:鈴木杏
坂本祐介:遠藤雄弥
大野秀隆:清水京太郎
松岡俊也:YUK1
置き場の管理人:桜金造
祐介の父:高橋克実
祐介の母:麻木久仁子
駄菓子屋のおばさん:角替和枝
三沢:松尾貴史
テトラ(声)・女性研究員:林原めぐみ(友情出演)
ボイド人(声)・リファレンス:武野功雄
大野秀隆:川平慈英
松岡俊也:高杉亘
木下岬:緒川たまき
坂本祐介:吉岡秀隆

主題歌:「Juvenileのテーマ〜瞳の中のRainbow〜」
作詞/作曲/編曲/歌 山下達郎
(ワーナーミュージック・ジャパン)
「アトムの子」
作詞/作曲/編曲/歌 山下達郎
(ワーナーミュージック・ジャパン)

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