原題:IL MARE

2001年福岡アジア映画祭出品

2000年9月9日韓国初公開

2000年/韓国/カラー/1時間37分/ビスタサイズ/SR-D/日本版字幕:根本理恵 配給:松竹

2007年11月28日よりDVDリリース 2006年09月28日よりDVDリリース 2005年04月28日よりDVDリリース 2002年1月21日DVD発売&レンタル開始 2002年1月21日ビデオ発売&レンタル開始 2001年9月8日より渋谷シネパレスにてロードショー公開

(C)松竹

公開初日 2001/09/08

配給会社名 0003

公開日メモ この家から街に引っ越すヒロインが、新たに引っ越してくる人にしたためた手紙を、その郵便受けに入れるところから始まる。しかしそれは、不思議なことに、時間をさかのぼり、2年前に、その海辺の家に最初に住んでいた青年のもとへと届いてしまう——。この奇妙な現象を最初は信じない彼らだったが、幾度か手紙を交わすうちに、時を超えて語り合っていることを納得する。やがて、誰にも話せない心の傷を打ち明け合うことで、互いの優しさに触れ、次第に惹かれあっていく。そして、彼らは2000年3月に済州島で逢う約束をするが。

解説


柔らかな陽ざしを受けて、きらめく海、その海に抱かれるようにして海辺に建つ家、家の傍らにひっそりと停む、クラシカルな郵便受け——。物語は、この家から街に引っ越すヒロインが、新たに引っ越してくる人にしたためた手紙を、その郵便受けに入れるところから始まる。しかしそれは、不思議なことに、時間をさかのぼり、2年前に、その海辺の家に最初に住んでいた青年のもとへと届いてしまう——。この奇妙な現象を最初は信じない彼らだったが、幾度か手紙を交わすうちに、時を超えて語り合っていることを納得する。やがて、誰にも話せない心の傷を打ち明け合うことで、互いの優しさに触れ、次第に惹かれあっていく。そして、彼らは2000年3月に済州島で逢う約束をするが。
2年の時を経て、過去と現在に生きる2人が、ほんとうに出会う時は来るのだろうか…?

たった1度のピュアな恋を描いて、大ヒットを記録した伝説的ラブストーリー「八月のクリスマス」を放った韓国から、またも新たな神話となる、ニュー・ラブストーリーが生まれた。韓国では、この映画を見ると恋人たちが結ばれるという”幸運のデート・ムービー”として大評判となり、爆発的ヒットとなった作品が、この『イルマーレ』だ。タイトルの”イルマーレ”とは海辺に建つ家の名称だが、もともとイタリア語で”海”のこと。その名の通り、海辺のシーンで始まり、海辺のシーンで幕を閉じる本作は、時間を超えて育まれる男女の切ない恋を、瑞々しく透明感あふれる繊細な映像と美しい音楽と共に、心優しいまなざしで描ききっている。
特に、細部にまで描写がゆきとどいた映像の数々は、あたかも絵画か写真集を見るように美しい。イルミネーションで輝くイルマーレのクリスマス・ツリー、ワインとパスタのディナー、時を超えて彼から彼女にプレゼントされるミレニアム・ワイン、2人から共に愛される犬のコーラ、コーラがペンキでつけた足跡、さらに、白い砂浜が続く済州島の美しい海と空のブルー等々——。パステル・トーンの柔らかな色調が映画のストーリーと相俟って、この上なく繊細で、ロマンティックなムードを醸し出す。そして、それにも増して印象鮮やかなのが、各場面に宝石のように散りばめられた愛の名台詞の数々だ。それは、2人が交わす手紙の文章として、深く、静かに、見るものの心を柔らかく包み込む。
“愛を失った人は、何も失わない人よりも美しい”、”愛する形は違っても、愛はひとつ”など、ひとつひとつ書き留めたくなる、それらの含蓄のある言葉には、人を愛するためのヒントがいっぱい隠されている。そして、こうした手紙の交換によって、惹かれあっていく恋人たちのゆったりとした時間の流れもまた、インターネットのEメールが主流となり、生活がアップ・テンポ化している現在のわれわれが見失いがちな人間的優しさや心のゆとりにあふれており、新鮮な感動をもたらす。

主演の建築家ソンヒョンを演じるのは、韓国でハン・ソッキュに迫る人気を誇る若手俳優イ・ジョンジェ。ラブストーリーからアクションまで幅広くこなせる個性と演技力を高く評価される彼が、本作ではロマンティックで清々しい魅力を発揮。この秋、日本でも公開される『純愛譜』にも主演するなど、今後の活躍が大いに期待される。ヒロイン、ウンジュを演じるのは、雑誌とCMモデルからTV女優となり、映画はこれが2作目となるチョン・ジヒョン。これまでの作品で見せてきたセクシーなイメージとはガラリと雰囲気を変え、ナチュラルな美しさをそのまま生かした本作での大人のヒロインぶりは好感をもって迎えられた。監督は、韓国映画界きってのビジュアリストとの評価が高い、俊才イ・ヒョンスン。これが3作目の監督作だが、韓国映画界の実力派パク・チョルス監督やパク・クァンス監督の下で修業を積み、92年、『君の中のブルー』で監督デビュー。突出し映像センスを高く評価されてきた。そして、ヒョンスンの特徴ともいえるフォトジェニックなカメラワークに、今回、大きく貢献したのが、『ディナーの後に』『ユリョン』『純愛譜』などの撮影を手掛けてきたホン・ギョンピョ。さらに、感動を盛り上げるのが、繊細なピアノのメロディが耳に快いアコースティックなサウンド。音楽は、ヒョンスン監督と常にコンビを組んでいるシンガーソング・ライター、キム・ヒョンチョルが当たり、主題歌”Must Say Good-bye”も彼が歌っている。

みるものを不思議な時間の旅へと誘いながら、瑞々しい感性で綴られる美しい愛の物語。誰もが心酔わされ、快い癒しの気分に浸れるこの作品は、きっとあなたの”生涯忘れられないラブ・ストーリーの1本”となるに違いない。

ストーリー



「楽しいクリスマスと新年を——私はあなたの前の住人です。実はお願いがあります。大事な連絡が来るはずです。私への手紙は新しい住所に送ってください。お願いします。
   イルマーレでの幸運を祈って キム・ウンジュ
                   1999年12月21日」

1997年、海辺の一軒家に引っ越してきた青年ソンヒョン(イ・ジョンジェ)は、その美しい家に”イルマーレ(海)”と名前をつける。夜になって彼は郵便受けに見知らぬ女性ウンジュ(チョン・ジヒョン)からの手紙が入っているのを発見する。それは、新たな住人へのメッセージであったが、その日付けが1999年12月21日となっていることに、彼は奇妙な違和感を感じた。ソンヒョンは最初は、いたずらの手紙ではないかと思ったが、自分がつけたばかりの家の名前”イルマーレ”を彼女が知っていたことは、大きな驚きだった。

「大事な連絡があるそうですが、この家の最初の住人は僕です。だから、何かの間違いでしょう。
                                       97年12月28日ハン・ソンヒョン
                              追伸:”イルマーレ”という名前、なぜ知ってるの?」
「私の手紙がなぜあなたに届いたのかしら?いたずらなら、私に手紙を書かないでください。お願いします。                                    99年12月28日キム・ウンジュ
                               追伸:まさか本当に97年の手紙じゃないわよね?」

やがて年が開け、「98年1月9日に大雪が降る」と彼女が書いてきた通りのことが本当に起こり、現在の彼女が飼っている犬のコーラが98年の彼の前に現れ、2年の時を隔てて共に同じ犬を可愛がるようになるなど、さまざまな出来事が積み重なり、2人は本当に時を隔てて手紙を交わしあっていることを理解するようになる。こうして、2人の文通が始まった。2人は互いの境遇を少しづつ打ち明けあう。声優の仕事につくウンジュは、恋人に捨てられ、その傷からまだ立ち直っていなかった。またソンヒョンは幼い頃に高名な建築家の父から捨てられたという記憶を持つ青年だったが、しかし彼もまた父と同じく建築家への道を歩んでいた。

「つらいのは、愛が終わらずにずっと続いていること、失恋した後も                 ウンジュ」「誰かを愛して、その愛を失った人は、何も失わない人より美しい                 ソンヒョン」

ウンジュの心の傷は、ソンヒョンの優しい言葉で次第に癒されていった。ある日、ウンジュは、98年に、先輩から贈られたカセットレコーダーを駅に置き忘れてしまったことをソンヒョンに打ち明ける。彼は、彼女が書いてきた日時に駅に行き、そこで彼を知らない98年のウンジュと初めて出会う。そして彼女がホームに忘れたレコーダーを郵便受けに入れ、2000年の彼女のもとに送るのだった。そのレコーダーには、ソンヒョンからウンジュに当てた声のメッセージも収録されていた。今度は、ウンジュがソンヒョンの頼みを受けて、彼の父ハン・ソクチンに関する最新資料を探しに行く。しかし、彼女がみつけたのは、98年に死んだソクチンの遺作集だった。それをソンヒョンに送ろうとした矢先、ウンジュは交通事故に遭ってしまう。2人の連絡が途絶えたその間に、98年、ソンヒョンの父は息をひきとった。やがて退院したウンジュが送ってきた遺作集を見て、ソンヒョンは自分へ父の深い愛情と、この<イルマーレ>こそ、父が息子である自分への愛を込めて設計した家だった、と初めて知るのだった。

「寂しそうに見えたイルマーレが暖かく感じられたのは、愛が込められていたからなのね。形は違っても、愛はひとつだと思う                                            ウンジュ」
「今日、駅できみを見たよ。白いニットと白いマフラー。そして長い髪が素敵だった      ソンヒョン」

二人の文通は、前にも増して頻繁になった。互いの時間の過ごし方を教えあい、その通りのことをそれぞれに実行してみた。ウンジュは失恋で落ち込んでいるソンヒョンに、遊園地での気晴らしを教え、ソンヒョンはウンジュに素敵な郊外の散歩道を教える。彼が歩くようにウンジュも同じ道を歩いていくと、その先にあるカフェには、ソンヒョンが2000年のウンジュに当てたミレニアム・ワインと手紙があった。それはソンヒョンからウンジュヘの心づくしのプレゼントだった。ふたりはひとりで行動していても、そこに互いの存在を感じて、不思議な幸福感に包まれた。と同時に、現実の場面ではひとりぼちであることを実感させられるのだった。ソンヒョンは、駅で何度もウンジュを見るものの、それは98年のウンジュ。彼のことを知らないのが、ソンヒョンには寂しくて堪らない。同じ時間の中で会って語りあいたい…、ふたりの想いは切ないまでに募っていった。

「ウンジュさんに会いたい                                         ソンヒョン」
「私に会ってくれるなら、済州島まで来てくれる?サンゴ礁の砂浜、そこに住むのが夢なの。私たちが会うのは2000年3月11日午後3時——。忘れないでね。私は1週間待てばいいけど、あなたには2年と1週間も先のことだから…                                            ウンジュ」
 
こうして、運命の出逢いを約束したふたり。2年の時を経て、過去と現在に生きる彼らが、本当に出会う時は来るのだろうか…

スタッフ

監督:イ・ヒョンスン
製作:チャ・スンジェ
脚本:ヨ・ジナ
音楽:キム・ヒョンチョル
編集:イ・ウンス
撮影:ホン・ギョンポ
美術:キム・ギチョル
製作:サイダス、ウノ・フィルム

キャスト

ソンヒョン:イ・ジョンジェ
ウンジュ:チョン・ジヒョン

LINK

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