原題:THE GUILTY

殺意が引き寄せる戦慄の絆—— エリート弁護士が仕掛ける危険な情事(レイプ)の後始末

200年6月1日ハンガリー初公開

1999年/アメリカ/カラー/ドルビーSR/110分 提供:キングレコード、マイピック 配給:マイピック

2002年1月1日DVD発売/2002年1月1日ビデオ発売&レンタル開始 2001年7月28日よりシブヤ・シネマ・ソサエティにてレイトロードショー公開

ビデオ時に変わった場合の題名 脅迫者/バッド・スパイラル

サブ題名 運命の罠

公開初日 2001/07/28

配給会社名 0127

公開日メモ 本作品は『インデペンデンス・デイ』などに出演し、ハリウッドの実力派俳優として名を馳せているビル・プルマン主演作で、全米公開当時、インディペンデント映画の中でもストーリー性の高い高級感溢れる上質サスペンス映画として話題になった作品である。

解説


《全ては、人間の欲望と運命のいたずらから始まった!》
地位、名声、円満な家庭、全てを手に入れた敏腕弁護士クレインは、社会的地位を利用して、自らの欲と欺瞞を抑えられずに行なってしまった過去の罪を封印しようとする。しかし、彼の周りを取り囲む人たちもまた、自らの欲に苛まれ、様々なかたちで周りの人々を欺こうと試みる。こうして絡み合った人間同士の欲望が、あるひとつの事件を次第に肥大させ、ついにはとんでもない結末がクレインを襲う。

本作品は『インデペンデンス・デイ』などに出演し、ハリウッドの実力派俳優として名を馳せているビル・プルマン主演作で、全米公開当時、インディペンデント映画の中でもストーリー性の高い高級感溢れる上質サスペンス映画として話題になった作品である。
主人公である弁護士クレインが、自らのスキャンダルを怖れ、ある完全犯罪を企てようとしたが、その殺し屋として依頼した相手が実は自分の息子だったという、何とも皮肉な運命のいたずらを、見事なまでにテンポ良く表現し、最後には観る者全てをうならせてしまう結末で、メッセージ性の強い作品に仕上げている。
また、ここ近年稀にみる大人のサスペンス映画として、物語の進行とともに自分たちでパズルを組み立てていくような構成になっており、予想外の結末に驚愕し、作品の余韻を十分味わえる作品として、楽しめる秀作である。

本作品は、カナダ・バンクーバーで撮影された。脚本を手掛けたウィリアム・デイビスは、以前から親交のあったプロデューサーのトーマス・ヘドマンに今回の映画化の依頼をし、二人でアンソニー・ウォラーに監督を頼んだ。デイビスは、ロスの有名なスタジオで脚本家として働いていたが、以前からインディペンデント映画の製作に興味があり、この脚本の立体的なストーリー展開がインディペンデント映画としては最高のアピール点になると信じていた。ウォラーも、今までにいくつかの監督作品をオファーされては断ってきていたが、本作品に関しては初めから興味を惹きつけられていた。

アンソニー・ウォラーはイギリス映画界の新鋭映像クリエーターとして早くから注目されていたが、彼の長篇デビュー作である『ミュート・ウィットネス』では、世界的に彼の映画監督としての才能が認められた。今回の『パッド・スパイラル〜運命の罠〜』は『ミュート・ウィットネス』同様、サスペンス映画ということで、ストーリー構成のしっかりした見応えのある作品を手掛けようと、脚本を吟味して本作を選んだ。

この作品を監督するにあたってウォラーが一番気を使った点は、登場人物たちの客観的な描写である。「観客が巧妙なパズルを組み立てていけるように、客観的な人物描写は一番重要だ。」と語るウォラーは現場でも、出演者たちの魅力と彼らが演じる役の特徴が上手く調和されれば、と終始気を配っていた。こういった気遣いからか、今回ウォラーや俳優たちの間に強い信頼関係が築かれ、終始スムーズに撮影が行なわれていた。ウォラーはビル・プルマンに対してこう述べている。「どの俳優よりビルと一緒に仕事が出来て嬉しい。彼はホントに紳士的で、彼の登場はストーリーに高級感を与えてくれる。撮影現場では、彼の優しくてオープンな性格がみんなの信頼を得ていた。」今回、親子役で共演したビル・プルマンとデヴォン・サワは以前『キャスパー』で共演したことがあり、2人にとっては不思議な再会となった。撮影前に「また共演できて嬉しいよ。」とサワに言われたプルマンは、初めて彼が『キャスパー』のあの子役の少年だと気付き、彼のあまりの成長に驚いたらしい。「『キャスパー』の撮影中、共演者のクリスティーナ・リッチがデヴォンに興味があったようで、僕らが気を利かせて2人をダンスに誘ったりして、その頃の彼のかわいい様子を思い出したよ。」ちなみにサワが『キャスパー』での共演の話をプルマンにした時、ちょうどサワが車の中で息子であると告白するシーンを撮る時で、「なんだか変な気分だったよ。」とプルマンは語っている。

本作品では、ビル・プルマンやデヴォン・サワの他、『ウェディング・シンガー』や『200本のたばこ』に出演し、今アメリカ・ショウビズ界で引っ張りだこの若手女優アンジェラ・フェザーストーンや、ヴァル・キルマーの元妻で、作品中プルマン扮するクレインの妻を演じているジョアンヌ・ウォーリーらが作品に華を添えている。

撮影現場に関しては、カナダのバンクーバーをロケ地にした事が作品の魅力を一層引き立たせた。製作のヘドマンはこう語る。「バンクーバーは映画やテレビの撮影によく使われているので、とても仕事がスムーズにいったし、雨の良く降る気候は、作品の雰囲気を上手く醸し出してくれた。後半に出て来るシーンは、バンクーバーの北にある古びた造船所を借りて撮影、危険で薄気味悪い雰囲気を映画に映し出すことが出来た。」

『パッド・スパイラル〜運命の罠〜』の撮影中、クリントン大統領とモニカ・ルインスキーのスキャンダルが発覚し、当時、世界中の話題をさらっていた。似たような状況を表現している『パッド・スパイラル〜運命の罠〜』はまさに時事的なサスペンス映画として、ウォラーはこう述べている。「公衆の面前で権力の濫用を隠すことは、もとの悪事をさらけ出す最悪の結果になる。この作品はまさにその構造を表現している。」

ストーリー


野心家の大物弁護士クレイン(ビル・プルマン)は勝ち目のない裁判で手腕を発揮し、見事勝訴、その夜同僚と祝杯を揚げていた。酒に酔った彼は、帰りに新米の秘書ソフィー(ガブリエル・アンウォー)を誘い、酒の勢いで彼女と関係を結ぼうとする。ソフィーはクレインを必死に拒もうとするが、クレインにレイプされてしまう。次の日、罪を感じたクレインは、ソフィーに謝ろうとするが、ソフィーはルームメートのターニャ(アンジェラ・フェザーストーン)の忠告もあって、彼を脅迫することを決意した。しかし、連邦判事に昇格したクレインは自らのスキャンダル発覚を恐れ、ソフィーを突然解雇、事件を封印しようとする。

その頃、窃盗の罪で刑務所を出所した青年、ネイサン(デヴォン・サワ)は新たな人生を始めるために、パスポートを申請しようとしたが、そこで自分には本当の父親がいることを知る。父親を捜すために町に出たネイサンは、父親が働く法律事務所から出たところで偶然ターニャの車にぶつかり、彼女の部屋に居候することとなった。ネイサンは父親であるクレインの後をつけ、再会のチャンスを窺っていたが、駐車場でチンピラに絡まれているクレインを見たネイサンは、間一髪でクレインを助け出す。

クレインは、その青年、ネイサンが自分の息子だとは知らずに、ある闇取引き—ソフィーを消すこと—を依頼した。ネイサンは父親との再会に失望のあまり、その女性がターニャのルームメートで、自分が恋心を持つソフィーとは知らず、受け取った大金と彼女の写真を見ずに捨ててしまった。しかし、大金を必要としていたネイサンの悪友が、ネイサンの代わりにソフィーを殺そうと、彼女に襲いかかる。ネイサンは、自分の父親にレイプされ悪友から殺されようとしているソフィーを助けようと、彼女のアパートに向かったが間に合わず、逆に近所の目撃者証言から犯人にされてしまう。

事件は大きくなり、ある工作を考えたクレインは、ネイサンの身柄を警察に引き渡し、ネイサンの判決を司法に委ねる段取りをした。ネイサンが無実であるように全ての証拠を隠滅したクレインは、自分の社会的立場を逆手にとってネイサンを無実にし、事件を終結させたかに見えた。

しかし、事件はまだ終っていなかった!妻の不倫を知ったクレインは、妻との別居を決意、彼女に家を出るように忠告した。これで全て解決したかのように見えたが、クレインの人生に予想もしない結末が待っていた…。

スタッフ

監督:アンソニー・ウォラー
脚本:ウィリアム・デイビス
製作総指揮:ジュリア・パロウ/ウィリアム・デイビス/アンソニー・ウォラー
製作:リサ・リチャードソン/トーマス・ヘドマン
編集:アリソン・グレイス
撮影:タビアス・シュライザー
音楽:デビー・ワイズマン
原作:"The Guilty"byサイモン・バーク

キャスト

カラム・クレイン:ビル・プルマン
ソフィー・レノン:ガブリエル・アンウォー
ネイサン・コリガン:デヴォン・サワ
ターニャ:アンジェラ・フェザーストーン
ナタリー:ジョアンヌ・ウォーリー

LINK

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http://www.jment.com/jmguilty.htm
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