原題:One Fine Spring Day

第14回東京国際映画祭コンペティション部門出品 最優秀芸術貢献賞::http://www.tiff-jp.net/ 2002年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm 2001年釜山映画評論家協会賞最優秀作品賞/監督賞(ホ・ジノ)/主演女優賞(イ・ヨンエ) 2001年釜山国際映画祭国際映画評論家協会(FIPRESCI)賞 2001年韓国映画評論家協会最優秀作品賞/撮影賞(キム・ヒョング) 2001年韓国青龍賞最優秀作品賞 2002年ロッテルダム国際映画祭コンペ部門正式出品

2001年/日本・韓国・香港/113分/1:1.85アメリカンビスタ/SR−D 日本語字幕:根本理恵 配給:松竹

2007年11月28日よりDVDリリース 2004年11月25日よりDVD発売開始 2002年11月22日よりDVDレンタル開始 2002年6月22日よりBunkamuraル・シネマにてロードショー

(C)サイダス 松竹 アプローズピクチャーズ

公開初日 2002/06/22

配給会社名 0003

公開日メモ 韓国での大ヒットにつづいて日本、香港でも賞賛の嵐で迎えられた『八月のクリスマス』から3年。次回作を早<見たいと期待する周囲からのプレッシャーに焦ることな<、マイペースでじっくりと構想を練りつづけたホ・ジノ監督がついに完成させたのが、本作『春の日は過ぎゆく』

解説


四季のうつろいと風の音で織り上げる、愛の喜びと悲しみ

監督デビュー作『八月のクリスマス』(98年)で、死を目前に控えた青年と無邪気な女の子との淡い恋を描いたホ・ジノ監督。伝えたいことをすべて胸にしまったまま静かに姿を消す青年と、突然、彼からの消息が途絶えた悲しみに耐え、やがて立ち直っていく女性の姿は、それまでの韓国映画の多くに見受けられた“熱さ”から遠くへだたっていた。青年の写真館を訪れるさまざまな人たちや家族との日常を淡々と描き、青年の深い悲しみをけっして声高には表さない。その小津安二郎作品にも通じる抑制された感情表出は、新鮮な驚きと感動を与えてくれた。この傑作をきっかけに韓国映画の魅力にはまっていった人も多い。
韓国での大ヒットにつづいて日本、香港でも賞賛の嵐で迎えられた『八月のクリスマス』から3年。次回作を早<見たいと期待する周囲からのプレッシャーに焦ることな<、マイペースでじっくりと構想を練りつづけたホ・ジノ監督がついに完成させたのが、本作『春の日は過ぎゆく』だ。韓国のサイダス、日本の松竹、香港のアプローズピクチャーズと、韓国映画史上初めて、韓国、日本、香港の共同投資によって作られた記念碑的作品でもある。 出会って間もなく恋に落ちた青年サンウと年上の女性ウンス。「会いたい。一緒にいたい」と言いあう恋愛初期の至福の日々も束の間、揺れはじめたウンスの態度にサンウはとまどい、途方に暮れ、傷ついていく。「愛は変わってしまう」ことを、サンウは初めて知る。 愛を貫きたいと思っていた純真なサンウに観客は容易に心を寄り添わせ得る。自分から別れを告げたくせに気まぐれに訪ねてきて「会いたかった?」と軽く言う彼女にとまどいながらも、つい頷いてしまうサンウの気持ち。深夜に車を走らせ彼女の部屋の下にたたずむサンウの気持ち。ひとり大声で歌って涙にくれるサンウの気持ち。一方、ウンスの心の動きは説明抜きで描かれていく。かつて結婚したことがあるウンスは、愛の変化を経験しているから愛に溺れるのが怖いのか?それとも、愛をもてあそんでいるだけなのか?ただ自分に正直なだけなのか? 録音技師であるサンウは自然の音を採取していく。竹林が風で揺れる音。せせらぎの音。冬の山寺に雪が静かに降りつもっていく音。夏の終わりの波の音。悠然とした自然界の音は、人間の営みなどちっぽけな存在と教えて<れると同時に、今という大切な瞬間を記憶させて<れる。 ひとりで気ままに暮らしているウンスに対して、サンウは伝統的な家屋に家族とともに暮らしている。その家族はそれぞれ愛する相手を失っている。父親は妻に先立たれた。父の妹も配偶者がいない。そして、おばあちゃん。若い頃は夫に愛されていたのに、時を経て夫は若い愛人を作ってしまった。いま、痴呆の症状が出ているおばあちゃんは、かつて幸せだった頃の夫の記憶だけを心にしまっている。そしてそんなおばあちゃんを家族がしっかり受けとめている。 春の日が過ぎても、すべての愛が消えてしまうわけではない。ラスト、ひとり草原のまんなかに立ち、風の音を録音するサンウの顔には、傷が癒えたことを禾す微笑が広がるのだ。 本作によってホ・ジノは、ウオン・カーウァイやトラン・アン・ユンといった、映画を通してアジアの現在、アジアの精神を描きだす才能のひとりとして、さらにその作品世界を深めた。

ストーリー


録音技師の青年サンウ(ユ・ジテ)とラジオ局のDJ兼プロデューサーのウンス(イ・ヨンエ)は、番組制作のための取材で初めて出会う。季節は冬。山寺への2度目の旅の帰り、ウンスはサンウを自分のアパートに誘う。ごく自然に恋に落ちる2人。恋愛経験の少なそうなサンウと、年上で離婚経験があるウンスだが、一緒にいると嬉しい気持ちで繋がりあう。だが、やがて春がきて夏を迎える頃、ウンスの態度に変化が表れる。父親に紹介するとサンウが言えば黙ってしまう。泥酔して帰った夜に泣き、翌朝はきつい言葉でサンウの優しさを拒絶する。そして、別れを告げては、気まぐれにまた連絡してくる。そのたびにとまどい傷つくサンウ。しかし再び春がめぐって再会した時、サンウはひとつの辛いけれどそれしか選べない道を選択をするのだった。

スタッフ

監督:ホ・ジノ
脚本:リュウ・チャンハ、イ・スクヨン、シン・ジュノ、ホ・ジノ
撮影:キム・ヒョング
照明:イ・カンサン
編集:キム・ヒュン
録音監修:パク・ヨンギ
録音:イ・ビョンハ
美術:パク・イルヒョン
音楽:チョ・ソンウ
ミキシング:松竹サウンドスタジオ
製作:キム・ヒョンスン、大谷信義、アラン・ファン
プロデューサー:チャ・スンジェ、キム・ソナ、宮島秀司、ピーター・チャン

キャスト

サンウ:ユ・ジテ
ウンス:イ・ヨンエ
サンウの祖母:ペク・ソンヒ
サンウの父:パク・イヌァン
サンウの叔母:シン・シネ
音楽プロデューサー:ペク・チョンハク

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す