原題:Barnie et ses petites contrar

ないしょの恋にご用心 誰と行く? ヴェニス行きの切符は3枚…

第9回フランス映画祭横浜2001出品作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/france2001/

2001年2月21日フランス初公開

2000年/フランス/85分/35mm/カラー/1:1.85ヴィスタサイズ/DTS 配給・宣伝:アルシネテラン

2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年04月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年10月19日よりシャンテシネにてロードショー公開

公開初日 2002/10/19

配給会社名 0013

公開日メモ 妻がいて、愛人がいて、「情夫」もいる幸せ一杯のバルコニーだったが・・・・・。演技派ルキーニ、ナタリー・バイ、マリー・ジラン共演。

解説


恋愛の国フランスから届いた、愛すべき大人のコメディ

まだまだ寒さの厳しい2001年2月、よくあるフレンチ・コメディとは一味違う、とびきり上質でチャーミングな大人の恋愛コメディがフランスの人々を魅了していた。設定のユニークさ、自分に正直だけれど人のよさも澄み出ている登場人物たち、彼らが紡ぎたす生き生きとした台詞、スピーディな展開…。これが長篇初監骨作とは思えないブリュノ・シッシュの細やかな演出手腕もさることながら、この成功の立役者となったのは、今やフレンチ・コメディには欠かせない演技派ファブリス・ルキーニに、年を重ねてもなお少女のような愛らしさをたたえるナタリー・バイ、若手女優の中では実力も人気もトップクラスのマリー・ジラン、そしてイギリスから参加のヒューゴ・スピーアといった俳優陣だった。この理想的なキャストを得たことで、愛すべきキャラクターたちに息が吹き込まれ、彼らのちょっとした台詞や仕草のやり取りに思わずクスッと笑わずにはいられない、絶妙なアンサンブルが生まれたのである。こうして本作は、フランス全土で観客動員83万人を突破する大ヒットとなった。

優しい妻とキュートな愛人、そして…ハンサムな愛人との四角関係

愛する妻リュシーと娘セシールとの3人で、フランスの港町カレーに暮らすバルニーは、家からロンドンにある会社まで毎日ユーロスターで通勤しながら、フランスとイギリスを往復している。一見どこにでもいるようなビジネスマンだが、実は彼には家族には言えない秘密があった。ロンドンで出会った愛人—若くてキュートなフランス人マルゴとハンサムなイギリス人マークがいるのだ。ところがバルニーの誕生日が近づいてきたある日、妻と愛人の3人が揃って同じ日・同じ車両のヴェニス行きオリエント急行のチケットを贈ったから・事態は複雑に。妻はもちろん愛人の存在を知らないが、マルゴとマークもまさかバルニーに自分の他にも愛人がいるとは思っていない。誰も傷つけまい、とバルニーの奮闘が始まった…。

人気俳優たちの息の合ったコラボレーション

短気で子供っぽいけれど、そこが魅力でもあるバルニーを演じるのは、エリック・ロメールやクロード・ルルーシユ・ブノワ・ジャコら巨匠とのコラボレーションも多く、セドリツク・クラピッシュの『百貨店大百科』(92)や『ボーマルシェ/フィガロの誕生』(96)でも知られる演技派ファブリス・ルキーニ。包容力のあるバルニーの妻リュシーには、『ポルノグラフィックな関係』(99)でヴェネツイア国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた、フランスを代表する名女優ナタリー・バイ。コケティッシュな魅力に溢れるバルニーの愛人マルゴには、エットレ・スコーラの『星降る夜のリストランテ』(98)や『ラスト・ハーレム』(99)などに出演し、またランコムの顔としてもおなじみのマリー・ジラン。そして、バルニーのもう1人の愛人マークには、『フル・モンティ』(97)のヒューゴ・スピーアがイギリスから参加している。妻と愛人それぞれのバルニーとの力関係の違いと、その後4人が勢ぞろいすることで生まれる新たな関係性の妙が面白さを引き立てている。また世代の異なる2人の人気女優——ナタリー・バイとマリー・ジランとの組み合わせも、ファンには嬉しい限り。撮影現場の雰囲気の良さがそのままスクリーンに映し出されたような、キャストたちの息の合ったアンサンブルは必見である。

旅情誘うユーロスターとオリエント急行

バルニーの憂鬱のはじまりは、妻と2人の愛人からそれぞれもらった、ヴェニス行きオリエント急行のチケット。アガサ・クリステイの小説でもおなじみのオリエント急行の旅は、本来であれば、豪華な車内と洗練されたサービスを保証してくれるみんなの憧れ。だからこそ、3人ともバルニーとのロマンティックな旅を夢見てチケットをプレゼントしたのだが、その旅行は予想もしなかった展開を迎えていく…。また、バルニーが毎日通勤に利用しているのが、ドーバー海峡を挟んでイギリスとヨーロッパ大陸とを結んでいるユーロスター。今や観光客やビジネスマンにはおなじみの高速列車である。フランスのカレーからロンドン、そしてヴェニスヘと続く4人の愛の行方とともに、本作にはヨーロッパ鉄道旅行の魅力も満載である。

ストーリー

困惑のバースデー・プレゼント

ロンドンにある造船会社の営業マンとして働くバルニーは、毎日自宅のあるフランスのドーバー海峡に面した港町カレーとロンドンの間をユーロスターで往復する毎日を送っている。愛する妻リュシーと娘セシールと暮らすバルニーは、一見どこにでもいるビジネスマン。しかし、実は彼には家族に言えない秘密があった。
今日はバルニーの45回目のバースデー。昼休みの合間を縫って彼が向かった先は、あるアパートの一室。ハンサムなイギリス人マークと、束の間の逢瀬を楽しむためだ。ベッドの上でマークが差し出したのは、豪華でロマンティックなヴェニス行きオリエント急行の切符だった。しかも車輌はバルニーの誕生日に因んだ45号車。愛人の粋な計らいに喜ぶバルニーだったが、ふと日付に目をやり顔が曇る。5月1日の週末、その日はリュシーとの先約が入っているのだ。
どこか落ち着かない様子のバルニーをよそに、マークはバースデーケーキにロウソクを点し、愛しの人に差し出すのだった。
会社に戻ったバルニーを待ち構えていたのは、何でもお見通しらしいバルニーのアシスタント、ジェニー。朝は両方赤だったバルニーの靴下が、赤と青のびっこになっているのを目ざとく見つけてつっこみを入れる。同僚がバルニーのためにバースデーソングを歌い始めると、バルニーのデスクの電話が鳴る。電話の主はバルニーのもう1人の愛人——若くて魅力的なフランス人のマルゴだった。彼女に言われるままに、既に手元に届けられていた封筒を開けると、そこにもヴェニス行きオリエント急行の切符が。しかも日付は5月1日!困惑を隠せないバルニーの様子を向かいのホテルの一室から窺っていたマルゴは、「すぐに部屋まで来て」と言って、スリップドレスの肩紐をはずす。そしてバルニーは、バツが悪そうに再び会社を脱け出すのだった。
バルニーは悩んでいた。マークとヴェニスへ行くべきか、はたまたマルゴと行くべきか。様々な思惑が頭の中をかけめぐるものの決心がつかない。家へ帰ると、バル二一は悪いと思いながらも、5月1日にパリでセミナーが入ったとりュシーに嘘をつく。とたんに不機嫌になるリュシー。実は、彼女もヴェニス行きオリエント急行の切符をバルニーへのプレゼントに用意していたのだ。

妻と2人の愛人がはちあわせ!

とうとうバルニーは決心する。家庭を守るため、マークとマルゴの誘いは断ろう、と。しかし2人に面と向かって断ることができないバルニーは、お詫びの手紙とともにチケットを送り返すことにする。リュシーへはセミナーがなくなったと留守電にメッセージを残し、一刻も早く直接伝えようと早退した。しかし、そこでトラブルが発生!手紙と封筒の宛名を入れ違えてマークとマルゴへ送ってしまったのだ。それぞれ仕事先で手紙を読み、別の愛人の存在を知った2人は、仕事も手につかずバルニーの職場へ駆けつけた。そして、会社の受付で鉢合わせしたマークとマルゴは、ともにバルニーの家へと向かう。バルニーにそっくりの羊の人形ポボールと、マルゴの愛犬サムライとともに。
カレーへの道すがら、2人はお互いの馴れ初めなどを話しながら、ますますライバル心を深めていく。しかしカレーに到着し、バルニーの家を探しながら道を導ねたのがリュシーだったことから、2人はとっさに夫婦のフリをする。何も知らないリュシーは、ロンドンからの友達の来訪を疑いもせず、快く2人を家の中に招き入れた。驚いたのはバルニーである。2人が自分との関係をリュシーにバラしはしないかと気が気ではない。わざと思わせぶりな発言をしたマークを殴ったと思えば、娘にも当たり散らし、まだ妻にバレていないとわかるや、マークとマルゴをなだめにかかり、それがうまくいかないとなると逆切レする始末。しかしリュシーは疑いも持たず、2人に泊まるよう勧める。
そんなリュシーにも家族に話していない秘密があった。突然、バルニーに「家を出るわ」と切り出したのだ。妻の思いもよらない言葉に驚き、問い詰めるバルニー。リュシーは好きな人がいることを打ち明ける。自分のことは棚に上げ、バルニーは怒りを抑えることができない。しかも、相手がセシールの憧れている教師のアレックスだったことからバルニーは激怒、セシールは傷つき部屋に篭ってしまう。そんなところヘアレックスもやって来たから、事態はさらに複雑に。しかし、アクシデントでアレックスの車にバルニーが引きずられたことから、怪我の功名と言うべきか、バルニーとリュシーは仲直り。居場所のなくなったマークとマルゴ、アレックスは、バル二一宅を後にする。すると途中で立ち寄ったバーで、マルゴとアレックスはいい関係に、一方、マークはバーの店員と見初め合う。ところが、翌朝バルニーが目を覚ますと、隣にリュシーの姿はなかった。そして彼女の置手紙には、“やり直したいから、独りになって考えたい。5月1日に駅で”と書かれているのだった。

恋の結末はヴェニスで…

運命の5月1日。バルニーとリュシーは、ヴェニス行きオリエント急行のコンパートメントで再会した。新鮮な気持ちで向き合う2人。しかし、ふとブラインドを上げたバルニーは、窓ガラス越しに映るマークとマルゴの姿に気づく。慌てて下車しようとしたが、既に列車は出発した後。マークはバーで知り合った男と、マルゴはアレックスとやって来たのだった。
果たしてバルニーは、自分の愛人の存在を知られることなく、リュシーとやり直すことができるのだろうか?そして、マークとマルゴの恋の行方は?

スタッフ

監督:ブリュノ・シッシユ
製作:フィリップ・ルスレ
原脚本:アランうイラック
脚色台詞:ブリュノ・シツシュ、ファブリス・ロジェ=ラカン
撮影:レジス・ブロンド
美術:イザベル・デルペック
衣装:アンヌ・ショット
配役:リシャール・ルソ
音楽:アレグザンドル・デズプラ
演奏:バラチュ
録音:ジャン=ジャック・フェラン、ステファーヌ・ブランクレール、ドミニク・ガボリオ
編集:ジュリエット・ウェルフリング
第一助監督:アラン・アルチュール
製作主任:フランソワ=グザヴイエ・デクラーヌ

キャスト

バルニー:ファブリス・ルキーニ
リユシー:ナタリー・バイ
マルゴ:マリー・ジラン
マーク:ユーゴ・スピーア
アレックス:セルジュ・アザナヴィシウス
セシール:メラニー・ベルニエ

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す