原題:THE FILTH AND THE FURY

世界のすべてが意味をもつ。

1999年制作/イギリス/105分/カラー/ビスタサイズ/ドルビー/ステレオ(一部モノラル) 提供:竹書房・クロックワークス 配給:クロックワークス→トランスフォーマー

2015年6月13日(土)〜6月26日(金) 下北沢トリウッド にて上映 2009年06月05日よりDVDリリース 2008年8月23日公開 2001年6月29日DVD発売/2001年6月29日ビデオ発売&レンタル開始 2000年10月28日よりシネセゾン渋谷にてロードショー公開

公開初日 2000/10/28

配給会社名 0033

解説

取材陣にVサインをして見せたリーアム・ギャラガーがロックン・ロールだと言われ、マイケル・ジャクソンに尻を振って見せたジャーヴィス・クッカーが一面に取り上げられた90年代。しかしそれまでにも、音楽が企業の単なる代弁者であることを止めた時期があった。
ロック音楽の反乱が国民を徹底的に驚かせたときだ。
25年程前のロンドンの薄汚れた裏通りで”パンク”は誕生した。
とても新しい音楽を産み出しそうにない労働者階級のティーンエイジャーたちが組んだバンド、その名もセックス・ピストルズだった。

■セックス・ピストルズは20世紀に出現したバンドの中で、間違いなく最大の影響力を持ち、悪名の高さでは右に出る者がいないロック・グループである。
英国のテレビで「FUCK」と言ったのも彼らが初めてだ(本作では、テームズ・テレビの番組「トゥデイ」での、その悪評の真相も伝えている)。
ジョニー・ロットンは慢性の鼻腔炎だからとステージ上で唾を吐き、それがお決まりになった。そしてベースのシド・ヴィシャスはポゴに乗って跳んでいるような彼独自の”ポゴダンス”を始めた。
彼らを中傷する者たちからは、神をも恐れぬニヒリストまたはそれ以下の存在として退けられ、それ以外の皆からは救世主と崇められ、その両方が相まってピストルズのムーヴメントは、世界のロック・シーンを揺さぶり燃え上がらせた。
セックス・ピストルズは最初のパンク・バンドではない。
しかし彼らこそ、まさに”パンク”バンドだった。爆走する若い主張は、増長する退屈なロックに終止符を打ちつけたのだ。
シェーン・マクゴワンは売れない時代に、トイレでピストルズの歌を歌い、
スージー・スー、デヴィッド・ボウイ、エルヴィス・コステロはピストルズのギグに行った。1976年には、クラッシュ、ダムド、バズコックスらがこぞってピストルズを支持している。

■監督のジュリアン・テンプルが初めてセックス・ピストルズのドキュメンタリーを製作したのは、1980年の「ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル」。
この作品はバンドのマネージャー、マルコム・マクラーレンの視点で構成されており、セックス・ピストルズの功績が、すべて自分の手によるものだという主張のみが伝わるようにつくられていた。
しかし、本作「NO FUTURE」ではピストルズがどのように成功したか(また致命的な点でどのように成功しなかったか)という記録が正しく描き直されている。さらに世間を騒がせたヒステリックなスクープ記事の裏で、本当は何が起きていたのかも明らかにされている。
バンドの内部に解散につながるような亀裂が走った全米ツアーの内幕、数々のゴシップの真相…etc。
病的なまでにエゴイスティックなマネージャー、マルコムから完全に離れて、初めてメンバー自身の声を聞くことができるのである。

■また本作「NO FUTURE」は、70年代半ばの政治、経済そして当時のロンドンのカルチャーを背景に、英国社会に訪れた、一つの大きな転換期をも描いている。セックス・ピストルズの物語はそのまま英国の一つの時代の物語なのである。
本編内に挿入されているテレビ・ニュースの映像を観ると、英国はまるで未来を舞台にしたスリラーのようだ。
腐敗した政府は若者の失業率を隠蔽し、数千人に上る労働者階級のティーンエイジャーたちには未来を夢見る余裕もなく、失業手当を貯金し貧困に喘いでいる。
朽ちかけた空き家を見つけて勝手に居
着くことも、特別なことではないのだ。
さらに清掃業者のストライキが都心のいたるところに腐敗臭を漂わせるゴミの山を作り、IRA(アイルランド共和国軍)による爆弾テロが頻繁に都市を破壊している。
そんな時代に現れたのがピストルズだった。本当の音楽を作りたいと願う4人の青年だったのだ。
彼らには主張したいことがあり、人そして彼らが何よりも望んだのは、”楽しむこと”に他ならなかった。

■本作で映像の中核となっているのは、ピストルズの活動を記録した20時間以上の未公開シーンである。ライヴ演奏に始まり、リハーサル、レコーディング、プロモーションのイベント風景そしてプライベートタイム映像…その中には現存していることさえもが奇跡と言える映像が含まれている。
しかも監督によるピストルズ結成時のオリジナル・メンバーへの最新インタビューも登場する。
ジョン・ライドン(ジョニー・ロットン/ヴォーカル)から、スティーヴ・ジョーンズ(ギター)、ポール・クック(ドラム)、オリジナル・メンバーのグレン・マトロックと、その後を務めたシド・ヴィシャス(ベース)まで、バンドのメンバーが総出演である。
シドヘのロング・インタビューは、彼がヘロインの過剰摂取で亡くなる前、
1978年にハイドパークのデッキチェアで、監督自身が行ったものである。
20余年の年月を経て、メンバーの誰もが初めて真実の思い”本当のセックス・ピストルズ”を語る。本作「NO FUTURE」は独創的なパンク・バンドのリアル・ストーリーなのである。

ストーリー

スタッフ

監督:ジュリアン・テンプル
制作:アニタ・カマラタ/アマンダ・テンプル
編集:ニーベン・ホウイー

◇FILMFOUR提供◇セックス・ピストルズ協力
◇JERSEY SHORE/NITRATE FILM PRODUCTI0N製作 ジュリアン・テンプル監督作品
◇FilmFour Ltd.MCMXCIX

キャスト

【セックス・ピストルズ】
ジョン・ライドン(ボーカル)
シド・ヴィシャス(ベース)
スティーヴ・ジョーンズ(ギター)
ポール・クック(ドラム)
グレン・マトロック(ベース)

スティング
クラッシュ
スージー・スー
ジェネレーションX他

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.filthandfury.co.uk/
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