シネマGOラウンド

2000年TOKYO FILMeX参加作品

2000年/日本/35分/ヴィデオ作品 製作・配給:映画美学校/アテネ・フランセ文化センター 主催:映画美学校/アテネ・フランセ文化センター

2001年6月22日(金)〜7月7日(土)(日曜休館)まで アテネ・フランセ文化センター(130席)にて上映

“シネマGOラウンド”公開記念イベント&トークショー開催::http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=1561

公開初日 2001/06/22

公開終了日 2001/07/07

配給会社名 0218

公開日メモ 映画美学校の講師をつとめる気鋭の4人の映画作家が、生徒たちとのコラボレーションにより製作した“シネマGOラウンド”のRound4!

解説


奇抜この上ない怪作である。監督は『精霊のささやき』の植岡喜晴、脚本は植岡と映画美学校第2期生の遠山智子(監督作品に『集い』がある)が共同であたった。レトロな雰囲気が濃厚だが、時代は不明である。UFOが飛来し、月が地球に接近しているらしい。柿の木坂(という名字)ナオという女子高生が高校教師の小山の車でドライブしている。小山は生徒のナオを犯してしまうのだが、その時、空飛ぶ円盤が出現し、ふたりにピンク色の光線を浴びせるのである。どうも、ナオは宇宙人の子供を身ごもってしまったようなのだ。
わざとチープな特撮が試みられている。車の背景はスクリーン・プロセスだし、マスキングや二重露出などの生合成やキャメラの逆回転といったトリックは、映画というよりテレビの初期の特撮ものを思わせる。そして不自然な人物の静止など演劇的とも言える手法が多用され、実際ロケセットは芝居の舞台のように暗転する。家屋の様子は、資料館などに展示されている戦前の家庭の模型のようだ。
髪がピンク色に変化したナオのお腹はすっかり丸く膨らんでいる。ナオの父テツゾウは豆腐屋を営んでいるが、そこに小山が部屋を借り、家出した母タマエが戻ってくるが、それは時が逆回転しているのかもしれない。やがて大地震が起こるが、それは地球最後の日が近づいている前触れかもしれない。なにしろ地上には小型の円盤がうようよいるし、空には巨大な月が回転しているのである。テツゾウはネズミの腹を裂き、爆弾を埋め込んで、ネズミ爆弾を製造している。そんななか、出産の近づいたナオはどうするのか。運命の日は近づく。
植岡喜晴はあちらこちらに映画へのオマージュをさりげなく散りばめている。『アデルの恋の物語』のフランソワ・トリュフォーよろしく、植岡監督自ら登場もしているので、お見逃しなきよう。

《監督からのコメント》
この短篇映画に登場する3人の女性は、1人の男を巡って、それぞれの仕方でつかの間激しい戦いを戦い、全員悲劇的な死を遂げます。一方、登場する2人の男は泣き虫で、情けなく、彼らのとる唯一の能動的な行動は何かにせきたてられ二階の窓から飛び降りることぐらいしかでしかなかった…。
ドノバンの「きみのストッキングの花模様、真夜中にしぼんでいく」という歌詞がとても好きで、この詩の冷んやりとした哀しさを始終心に思い描きながら、だまし絵やあぶな絵、のぞきからくり風の語りで日本の伝統的な豆腐屋を舞台にしたホームコメディを撮ってみたら、どうしてか、こんなにも救いのない物語をもの語ることになってしまいました。
わたしの大人げない憤りや悲しみが、愛すべき登場人物たちの懸命な人生に泥を塗っていないことを、今は祈るばかりです。

ストーリー

豆腐屋の娘、柿の木坂ナオは、担任教師の小山に犯され妊娠して高校を休学中。彼女は、空飛ぶ円盤が自分たちにピンクの光線を浴びせたと公言し、だからお腹の子は宇宙人の子だと固く思いこんでいる様子。一方、父親のテツゾウも、時を同じくして妻タマエに家出され、ナオとともに憂鬱な日々を送っていた。
そんなある日、レイプ事件で高校を首になり放浪生活を送っていた小山がふらりと現れ、柿の木坂家に間借りし始めた。そして家を捨てたはずのタマエまでテツゾウとナオの前に姿を現すのだが、小山にはなぜか二人と話すタマエの姿が見えない。テツゾウはタマエの出現に怯え、ナオは激しい気性で彼女を撃退する。
東京に小さな地震が頻繁に起こり出し、テツゾウに想いを寄せていた雇い人の広子が謎の死を遂げるに及んで、ナオは無口になり、テツゾウの心のタガは次第にはずれていった。テツゾウは豆腐作りを止め、ナオの入れ知恵で、新聞の娯楽記事に掲載されていた「ネズミ爆弾」造りに熱中し始めた。

スタッフ

監督:植岡喜晴
脚本:遠山智子/植岡喜晴
撮影:秋元エマ/川野由加里/橋本彰子/遠山智子
照明:瀬戸慎吾/浅野学志
録音:高野美和子/島田宜之
スクリプタ:浦山三枝
美術:湊博之/椎名寿江/多胡真二郎/福井廣子
音楽:野本昌嗣/渡辺拓実
爆破効果:宇田川幸夫/高見沢利光
造形:山田陽
UFO操演:新谷尚之
編集:木村有理子
編集助手:笹田留美
題字:植岡道蔵
助監督:荻野健一/田中深雪/大野敦子/光地拓郎
制作:柴野淳/小林妙子

プロデューサー:松本正道/堀越謙三
アソシエイト・プロデューサー:山口博之/安井豊/大坪真理
撮影アドバイザー:宮武嘉昭
録音・整音アドバイザー:臼井勝
編集アドバイザー:筒井武文
ネガ編集:相沢尚子
現像・テレシネ:SONYPCL
リレコ:シネマンブレイン
製作:アテネ・フランセ文化センター/映画美学校

キャスト

柿の木坂ナオ:遠山智子
柿の木坂テツゾウ:加藤賢崇
小山:戸田昌宏
柿の木坂タマエ:宮田亜紀
柿の木坂ナナオ:植岡虹蔵
広子:植岡深雪

居原田眞美
植岡一蔵
植岡道蔵
三浦楕大

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