原題:salsa

ショパンを捨て、ラテンの女神に魅せられた天才ピアニスト キューバの熱い音楽が心を酔わせる恋と情熱の物語

☆第8回フランス映画祭横浜2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/france2000/index.htm

1999年/フランス・スペイン合作/1時間40分/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/ サントラ盤:マーキュリーM.E./日本語字幕:加藤リツ子/ 配給:コムストック、キネティック/宣伝:キネティック

2001年2月21日DVD発売/2001年2月21日ビデオ発売&レンタル開始 2000年8月12日より熱い夏、シネスイッチ銀座にてロードショー!

公開初日 2000/08/12

配給会社名 0026

解説

 誰にだって人生を変えることはできる!自分の大好きなことに情熱的に飛び込む勇気さえあれば…。『サルサ!』は、悩みや厭なことを忘れて、心から人生を楽しむ喜びを教えてくれるとことん陽気なフランス生まれのラテン・ムービー。ハバナの熱い吐息が聴こえてくるようなキューバ音楽に心を酔わせ、音楽のミューズが素敵な恋を運んでくるラストシーンではすべての人々が最高に幸福な気分で包まれる。大ヒットを記録した本国フランスにつづき、本格的なラテン・ブーム到来の日本にも、恋と夢を叶えてくれる魔法のリズムに乗って『サルサ!』の熱い波がやってくる。
 『サルサ!』は、いまどき珍しいほど人生に対してポジティブで、チャーミングな映画だが、秘密や偽りといった人生の影の部分をきっちりと描き込むことで、その美しさをより一層くっきりと際立たせている。恋が深まれば深まるほど、異邦人に成りすまして彼女を欺いていることにいたたまれなくなるレミの心の葛藤。そしてもう一つの秘密…。彼らを見守る伝説のキューバ人作曲家バレートとナタリーの祖母レティの秘められた過去。キューバ革命で投獄されていたバレートと、レティの秘められた恋の伏線には、若い主人公たちの恋以上に胸を熱くさせられる。ふたりが失った時間を埋めるように楽しげに踊るシーンでは、サルサには年齢も国境も関係なく、踊っている瞬間こそ全てたと感じさせられる。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で話題の本物の“ソン”
情熱的でノスタルシックなキューバ音楽に、体も心も歓びに包まれる

 映画の中で何度も出てくる“ソン”とは、20世紀初頭にキューバで発展した音楽で“音”を意味する。キューバ音楽の根幹であり、ヴィム・ヴェンダース監督の音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の大ヒットにより、世界的にまた注目を集めている。
 “サルサ”はこの“ソン”から生まれた音楽で、ソースを意味する。キューバ革命、キューバ危機によってアメリカとキューバの国交が途絶えたことで、移民都市ニューヨークのプエルトリコ系の人々が中心になって、自分たちのラテン音楽にジャズ、ソウル、ロックをミックスして60年代末に独自の音楽を生み出した。そのピリッとした味のある新しいラテン音楽のムーブメントが“サルサ”だった。この映画には、陽気で情熱的なサルサ、懐かしくてもの悲しいサルサなどたくさんの曲がストーリーを彩って全編に流れている。
 テーマ曲の「MI MUSICA ES TU MUSlCA(これは私の歌、そして君の歌)」の他6曲を作曲、演奏しているのはキューバの老舗バンド、グルーポ・シエラ・マエストラ。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の音楽監督を務めているファン・デ・マルコス・ゴンサレスが在籍していたバンドで、伝統的な“ソン”の再生に大きな役割を果たしたことで有名。彼らは実際に映画の中で演奏をしており、また、役者として味のある演技も披露してくれている。

バニラ色の肌にチョコレート色の情熱
フランス期待の美しき俳優
ヴァンサン・ルクールに注目!

 観るものを惹きつけずにはいられないカリスマ性を発散しているレミ役は、これが映画初出演になるヴァンサン・ルクール。家柄のよい美しいフランス人青年と、後にサルサのキングと呼ばれるキューバ人青年にも見えなければならないという難しい条件をクリアし多大な人数のオーデションから抜擢された。次回作はフランス版『スクリーム』「PROMENONS-NOUS DANS LES BOlS」。今後が期待されるフランス久々の美形俳優である。
 保守的な家庭に育ったシャイで清楚な女の子が、サルサと出会ってセクシーで美しく変身するというダンスものの王道をいくファンタジーを体現するナタリーを演じるのは、メキシコの女優クリスティアンヌ・グゥ。迫力のダンスシーンでは、輝くばかりの魅力を発揮している。
 ナタリーの美しい祖母レティを演じるのは、名優カトリーヌ・サミー。高齢でありながら、楽しそうに踊る姿には微笑まずにいられない。そして、パレート役は元ユネスコ職員で詩人でもあるエステバン・ソクラテス・コバス・プエンテ。もちろん演技は初めてであるが、役者には出せない味わいを醸し出している。他にこれが最後の出演作となったロラン・ブランシュ、そしてミシェル・オーモンなど素晴らしい名優が脇を固めている。
 監督・脚本を務めたのはこれが監督2作目になるジョイス・シャルマン・ブニュエル。ブルックリン育ちの彼女は、ニューヨークでラテン音楽に囲まれて育った。『サルサ!』では、その天性のリズム感が高く評価されている。

ストーリー

 トゥールーズ。ニューヨークの音楽大学への奨学金がかかったコンクール会場で、華麗にショパンを弾きこなす24歳の若き天才クラシックピアニスト、レミ。誰もがレミの演奏に驚嘆し、優勝は間違いないと思われた時、突然、レミの指が止まってしまう。そして、一瞬静まり返った会場に、いきなり激しいラテンのリズムが流れ出す。この15年、レミの心を捉えて離さなかった違うジャンルの音楽が、いま、堰を切ったように溢れ出したのだ。それは…サルサ!
 ショパンも輝かしい未来も投げ捨てて走り出したレミの情熱はもう止まらない。パリに旅立ち、知り合いのキューバ人フェリペのキューバ・バンドに参加させて欲しいと頼むが、笑い飛ばされてしまう。お客が望んでいるのは“チョコレート(黒人)”つまりキューバ人の演奏であり、白い肌と美しい金髪を持つレミは“バニラ(白人)”だから、どんなに才能があってもどうしようもないというのだ。
 しかし、それぐらいのことでレミはあきらめない。フェリペの紹介で伝説のキューバ人作曲家チューチョ・バレートを訪ねる。古びて人気のないバー。そこから聞こえてくるC.エンバーレのキューバ音楽。年代物のピアノの側で昔の思い出を懐かしむように一人静かに踊るバレートは、パリのラテン文化の中心地だった有名なバー“カサ・クバーナ”を今まさに閉鎖しようとしていたのだ。しかし、若いレミの熱意がバレートの心を動かす。レミはバーのスペースを使って、パリっ子向けにサルサのダンスレッスンをする仕事を得る。
 そこでレミは新しい自分“モンゴ”を手に入れる。キューバ人独特のアクセントを習得し、肌と髪の色まで変えたのだ。パリでは外国人の誰もがフランス人になりたがっているというのに、レミは自分の夢を叶えるために思い切った方法をとったのだ。
 世界は変わる。まるでキューバ人の心まで手に入れたように、自由に情熱的にサルサを教えるレミ。そこでレミはナタリーと出会う。お堅い家庭に育ったナタリーは、旅行会社で働いていながら一度も海外旅行に行ったことがないという、人生を楽しむことを知らないパリジェンヌ。法務省勤務のエリート婚約者とゴールイン間近。祖母レティの提案でサルサのレッスンを始めたナタリーだが、思いがけないもう一人の自分に気づくことになる。それは突然、ナタリーに舞い降りた。流れ出したサルサのリズムに恐る恐るステップを踏みだしたナタリーは、体の中から湧き出してくる情熱に逆らえず、弾けたように踊り出す。セクシーで美しくて自由で大胆。その夜、サルサの神様はレミとナタリーに恋の魔法をかける。しかし、「婚約者がいるのに他の男と踊るとは!」と父親に怒鳴られてしまうナタリー。そんな彼女を慰めようと祖母はこんな話をする。自分が間違った結婚をしてしまったこと。そして、“何もかも奪われても、踊りたい気持ちは残る”ということを…。

スタッフ

監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル
脚本:ジョイス・シャルマン・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
原案:ジョイス・シャルマン・ブニュエル
製作:アイッサ・ジャブリ、ファリド・ラウアサ、マニュエル・ムンツ
撮影:ハヴィエル・アグィレサローベ
セット:ジャン・ボエール
オペレーター:ロジェ・ドリュー
編集:ニコール・ソニエ
助監督:ティエリー・モヴァザン
キャスティング:ノラ・アビブ
衣裳:クリステーヌ・ジャキン
メイク:リディア・ピュジョル
ヘアデザイナー:ジョエル・ドミニク
ミキシング:パトリック・ジスラン
共同製作者:マテ・カンテロ、.ステファン、ソルラ、ダニエル・アロシェ
製作管理:エリック・ユベール
音響:ジル・ルティオン
オリジナル音楽:グルーポ・シエラ・マエストラ、ジャン・マリ・セニア
振付:ジョルジュ・モーレ、アニュルカ・シャトラン

キャスト

レミ:ヴァンサン・ルクール
ナタリー:クリスティアンヌ・グゥ
レティ:カトリーヌ・サミー
レデル氏:ミシェル・オーモン
アンリ:ロラン・ブランシュ
フェリペ:アレクシ・バルデス
フランソワーズ:エリザ・マイヨ
ラ・ゴヤ:オーロラ・バスヌエヴォ
バレート:エステバン・ソクラテス・コバス・プエンテ
レデル夫人:クリスティアンヌ・コアンディ
ステフアン:ナイム・トーマス
ジャン=シャルレ:ピエール・アルノ・ジュアン

そして…“グルーポ・シエラ・マエストラ”

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