サンディ・ドライブ
原題:sunday drive
のほほんと怖い日曜日。
トロント国際映画祭 正式出品 モントリオール国際映画祭 正式出品 ハワイ国際映画祭 正式出品
1998年/16mm/カラー/スタンダード(1:1.33)/モノラル/86分/©1998海獣シアター
2002年2月25日DVD発売 2001年2月23日ビデオ発売&レンタル開始 2000年2月26日(土)よりユーロスペースにてレイトロードショー
公開初日 2000/02/26
解説
レンタルビデオ屋の店長岡村とアルバイトの結衣は、ふとした偶然から結衣の同棲相手の真二の浮気を知ってしまう。店内で立ちすくむ二人の前に血を流して横たわる真二。ほんの一瞬の出来事が、店長と結衣を仕事仲間から共犯者へとすり替えてしまった。「ずっと結衣ちゃんのことが好きだった」という店長の言葉も、真二を置き去りにした事実も、うまく受け止めることのできない結衣。二人は真二の兄のワゴン車で、行くあてもなく逃亡する。追跡者のいない逃避行は、時折ピクニックとさえ感じられてしまうほどの暖昧さで、ふたりの前を通り過ぎていく…。
恋人と毎日くり返される生活は、突然の事件によって変化しはじめる。しかし、新しい土地と生活への旅立ちは、事件のあいまいさと同様、あいまいな終末を迎える。そんな日常に閉じ込められた登場人物たちの動作や言葉は、ときに滑稽であったり、気持ち悪かったりするのだが、それこそまさに、誰もが見たり感じたりしている現実なのかもしれない。
大人の男として結衣を守ろうと右往左往する遅れてきたヒーローを演じるのは、自身の監督作以外にも、映画やTVドラマに数多く出演する塚本晋也。本作品では、誇張されたコミカルな演技を抑え、微妙な表情や声のトーンで、中年男の不器用な恋心を自然体で表現している。結衣役の唯野未歩子は、「フレンチドレッシング」や「大いなる幻影」(監督・黒沢清)でもヒロインを務め、自らも自主製作映画を監督する注目の女優である。他に、丹治匠や鈴木卓爾、田中要次ら、ユニークな俳優が登場。
1997年、やまだないと原作の「フレンチドレッシング」で劇場公開デビューした斎藤久志監督の最新作「サンデイドライブ」。今回はオリジナルの脚本で、日常に生じる生々しい人間の感情を少ないセリフのひとつひとつや、一見偶発的に見える出来事の連鎖によって浮き上がらせている。ほぼ全編ワンシーン、ワンカットのカメラワークを用い、役者に感情を動かざせ、緊張感を維持させる斎藤監督の演出は、確かなリアリティを生み出す。遠景の効果を活かす撮影は、同監督の「はいかぶり姫物語」などの自主製作映画や「冷たい血」(監督・青山真治)「流星」(監督・山仲浩充)などを手掛けた石井勲。
ストーリー
レンタルビデオ屋でアルバイトをしている結衣は、同じくアルバイトの真二と同棲している。いつものように朝食を用意する結衣は、授業をさぼり、ひとりで散歩をしてきたところだ。
ビデオ屋の店長・岡村は、店員総出の野外バーベキューを企画し、たくさん買い込んだ材料の中から、イチゴを取り出して結衣に勧める。「ずっと結衣ちゃんの事が好きだった」という店長と、笑って冗談にする結衣。
同じ日の夜、店長と結衣は真二の浮気を知ってしまう。二人の目の前には、頭から血を流して横たわる真二。いったんは警察に通報しようと考えるのだが、結局二人は、真二の兄のワゴン車で逃避行を始める。「結衣は何もしてない。オレが結衣を守る」
車が着いたところは、キャンプをするはずだった河原。車を止め、結衣が出会った見知らぬ女の子が加わって、3人は、店長の作ったヤキソバを食べる。あたかも一家族の、おだやかな日曜日の一コマように。
ワゴン車の中で夜を共にした店長と結衣は、お互いの腹をさぐりあう。店長の過去の相手が同僚のみどりだと知ると、結衣は一言、「やっぱり店長って信じられない」
次の日の朝、どこからともなく現れた前日の少女と共に、二人はドライブを続ける。ルーフ・ウインドから体を乗り出す結衣と少女。運転する店長もどこかうれしそう。
そんな時、真二から店長の携帯電話に連絡が入る…
スタッフ
製作:塚本晋也
監督・脚本:斎藤久志
プロデューサー:鈴木ゆたか
撮影:石井勲
録音:中村由美子
編集:岡田久美
音楽:金澤信一
助監督:吉見拓真
製作協力:(株)リクリ
製作:海獣シアター
キャスト
店長・岡村:塚本晋也
結衣:唯野未歩子
真二:丹治匠
少女:中山舞衣
みどり:小野麻希子
警察官:田中要次
ビデオ屋の客:唯野友歩
真二の兄:鈴木卓爾
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