原題:THE REINCARNATION OF ISABEL

中世の魔女裁判の怨念 死霊の復讐は鮮血の儀式となり、 夜の獣たちの虐待と 暴行の宴がはじまるのだ

1972年/イタリア映画/98min 発売・販売:日本コロムビア(DVD税抜3,800/ビデオ税抜:16,000)

2001年6月21日DVD発売/2001年6月21日ビデオ発売&レンタル開始

解説




「ポルセリの超傑作、ゴシック調に描かれたセクシーでサディスティックなホラー映画。彼の妄想はとどまるところを知らない。」これは、イギリスの権威あるホラー映画の辞典『THE AURUM HORROR ENCYCLOPEDIA』に書かれたこの作品を賞賛する言葉である。中世の魔女裁判を題材にとっているが、この映画はナチズムのサディスムを暗に賛美しているとして、イギリスでは20年以上上映が禁止されていた。女性をモラルのかけらもない性欲の権化として糾弾する内容は、盲目的な女性差別であり、これは同様に盲目的差別であったホロコーストを髣髴させるのである。鞭や拷問などのサディズムと悪魔崇拝の要素にとんだ超低俗なレアものである。

【チェック・ポイント!】

 “REDEMPTION”レーベルが、またまた珍しい作品をリリースしてくれた。レナート・ポルセリは、60年代から70年代にかけて数々のイタリアン・ホラーを撮った監督だが、これまで日本では60年の『吸血鬼と踊り子』がテレビ放映されたほか、73年の『衝撃のドキュメント/発禁ポルノの世界』が劇場公開されたくらいで、その監督作は過去に国内版ソフトが発売されたこともなく、日本のホラー・ファンの多くには名前のみ知られた存在といったところ。筆者自身も、今回の国内版が初見である。
 500年前にある村でイザベルという女が魔女として告発され、胸に杭を打ちこまれた上で火あぶりにされて処刑された。そして現代、一人の男がある古城の持ち主となり、そこで義娘の結婚祝いのパーティーを行う。しかしその頃村では、魔女イザベルを復活させようとする謎の男たちが、若い娘たちを捕らえ凄惨な拷問の末、その心臓をイザベル復活の生贄として捧げていたのだ…。
 …という物語は、現実と幻想、過去と現在、此岸と彼岸が混ざり合い、その細部は正直のところよく判らない。しかし、山頂の古城のロケーションや、イタリアン・ホラーの伝統にのっとった赤や緑の照明効果による撮影など、幻想的なムードは悪くない。とりあえずそうした怪奇味に加え、前述の魔女狩りの処刑場面や、全身赤タイツ姿の男たちによる心臓抉り出しなど、この時代としてはそれなりに凄惨なスプラッタ描写を楽しむのが正解だろう。
 本作で新しい城主ジャックを演じるミッキー・ハジティは、66年製作のイタリアン・ホラー『惨殺の古城』(マッシモ・プピロ監督・TV放映)でも、半身赤タイツ姿で女たちを責め立てる役を演じていたハンガリー出身の俳優。後述する『DELIRIUM』にも出演している。また、イザベラとローレンの二役を演じたリタ・カルデローニは、“REDEMPTION”レーベルより既発売の『悪魔の陵辱』にも出演している。
 なお、この頁の解説や本ビデオ冒頭のイントロ部分で、語られているように70年代のポルセリ監督作品は、幻想的な要素を残しつつもその描写に関しては、エロティックでサディスティックな方向に傾倒していったようだが、本作と同年に監督した『DELIRIUM』は、そのものズバリナチスの残党である医師による虐殺が描かれているとのことだ。(殿井君人)

ストーリー

スタッフ

監督:レナート・ポルセリ
脚本:ギセッペ・ラニエーリ
製作:GRPシネマトグラフィカ
撮影:ウーゴ・ブルネッリ
音楽:ジャンフランコ・レヴェベッリ、ロマーヌ・フォルレイ

キャスト

ミッキー・ハジティ
リタ・カルデローニ
ラウル・ターチャー
クリスタ・バリモア

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