原題:SUMMER OF SAM

2000歳の犬がオレに命令する…。

1999年/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/2時間22分/ 日本語字幕:林完治

2005年03月18日より2005年5月20日までの限定DVDリリース 2001年3月16日よりDVD発売開始 2000年10月18日よりビデオ発売・レンタル開始 2000年4月15日よりシネマスクエアとうきゅうにて公開

公開初日 2000/04/15

解説

 その《狂気》の始まりは1977年のニューヨークだった…。
 気温が37℃を超える日々が果てしなく続き、街は自らの熱気と汗、そしてエネルギーで焼きつくされていた。非情ともいえる猛暑の中、街の様子は変わっていき、それは人々を緊張させ《狂気》へと導いていく。略奪者が街にあふれ、追い討ちをかけるように起こった大停電は市民を暗黒と恐怖の深淵へと落としこんだ。
 44口径の銃を持った殺人鬼が、夜の街を徘徊する市民を無差別に殺害し始める。新聞は、この冷酷な快楽殺人鬼(サイコパス)のことを書き連ね、彼を”サムの息子”と呼び始めた。誰もが容疑者で、誰もが次の犠牲者になるかもしれない。マスコミ報道が恐怖と錯乱状態に油を注ぎ、ニューヨーク全体が疑惑と混乱状態の温床となっていった。それはニューヨークからアメリカ全土へそして全世界へと伝播していった。
 テビット・バーコウィッツ/快楽殺人鬼”サムの患子”。彼はうそぷく「2000歳の犬が殺せ!と命令した…」と。
 懲役365年21世紀を迎える今も”サムの息子”は生きている。
 記録的な猛暑、大停電と略奪者の群れ、ディスコブームの幕開けとスタジオ54、SEXと麻薬とパンクロックの台頭、背番号[44]レジー・ジャクソンの大活躍とニューヨークヤンキースのワールドシリーズ優勝、スーパースター、エルビス・プレスリーの死…そして”サムの患子”に怯えた1977年のニューヨークの熱い夏。《狂気》は、人々を狂わせ、愛と友情も打ち砕き、街全体を終幕へと導いていくのだった。

 実在した連続殺人鬼”サムの息子”の恐怖に全米が震憾した《狂気の夏》を、『トゥ・ザ・ライト・シング』『マルコムX』などを送り出した映像の鬼才スパイク・リーが刺激的に描く衝撃の問題作。この映画が公開されることを知った獄中のデビッド・バーコウィッツは、「スパイク・リーの妻のために祈りたい」と彼の2人の子供の名前までをあげたコメントを出している。
 ニューヨーク、ブロンクスで”サムの息子”に翻弄される若者たちを『ロミオ+ジュリエット』のジョン・レクイザモ、『シン・レッド・ライン』のエイドリアン・ブロディ、『誘惑のアフロディーテ』でアカデミー賞受賞のミラ・ソルビーノ、『ラスト・サマー2』のジェニファー・エスポシートが熱く演じている。また、全編をTHE WH0 ABBA、エモーションズなどのロック&ポップスのメロディーが刺激的な映像を彩っている。

ストーリー

 1977年、ニューヨーク・ブロンクス、夏−−−気温が37℃を超える日が果てしなく続き、街は自らの汗とエネルギーで焼き尽くされていた。暑さを逃れるために街へ繰り出した若者違の熱気で渦巻くディスコにに、街一番のプレイボーイ・ヴィニーと妻ディオナの若いカップルの姿があった。ある夜、ディスコからディオナの従妹を送るついでに、いつもの悪い癖が出て浮気を楽しんだヴィニーは、すぐそばに止めてあった車の中で無残にも撃ち殺された死体を目撃してしまう。それは1976年の夏から、ニューヨークを恐怖のどん底に陥れていた連続殺人鬼”サムの息子”の6人目と7人目の被害者だった。44口径の銃を持った正体不明の殺人鬼は、狂ったように吼え続ける隣家の犬の声に追い詰められ、夜の街を徘徊しては手当たり次第に殺人を重ねていた。
「俺はサムの息子 血を飲むのが大好きだ パパ・サムが殺せと命令する 殺さずにはいられない」−−−
 ”サムの息子”の恐怖はやがて、ニューヨーク市民を狂気の集団へと駆り立てていった。「”サムの息子”は黒髪の女性を襲う」とマスコミが報じると、ブロンドに染める女達が相次いだ。暗黒街の顔役は犯人に1万ドルの懸賞金をかけ、誰もが犯人探しに狂奔していた。そんな頃、ブロンクスの街にヴィニーの親友リッチーが1年半ぶりに戻ってくる。パンクロッカーへと変身を遂げていたリッチーは、街では完全に浮いた存在となり、ヴィニーの仲間達から「”サムの息子”ではないか」という疑いの目を向けられる。”誰とでも寝る淫乱女”と軽蔑されているルビーだけが、リッチーの唯一の理解者だった。
 ”サムの息子”の凶行は止まるところを知らず、人々の恐怖は頂点に達していた。ニューヨークヤンキースの背番号44のスーパースター、レジー・ジャクソンこそが44口径の殺人鬼だと言う者さえいた。ヴィニーもまた、あの夜”サムの息子”に自分の姿を見られたのではないかという不安にとり憑かれていた。余りの不安と緊張から薬物に手を出したヴィニーは、あらゆることに被害妄想を抱くほどに追い詰められ、夫の浮気に気づいたディオナとの結婚生活は暗礁に乗り上げていた。
 「教えてくれ、7月29日はどんな予定だ?」”サムの息子”の最初の凶行から1年がたった時、一通の手紙が届く。それは未だ捕まらない”サムの息子”からの新たな犯行声明であり、その予告通りに犠牲者が生まれた街は、再び恐怖に包まれた。新聞に載った犯人の似顔絵をリッチーだと錯覚したヴィニーは動揺し、薬物で高揚したまま仕事へ行きクビになる。そんな彼に愛想を尽かし、ディオナはとうとう家を出ていった。
 愛が壊れ、人々の信頼も消え失せ、友情と裏切りが交錯する中、街は”悲劇の終幕”に向かって突き進んでいた−−−。

スタッフ

監督:スパイク・リー
製作:ジョン・キリク、スパイク・リー
脚本:ビクター・コリッチオ、マイケル・インペリオーリ、スパイク・リー
撮影:エレン・クーラス
プロダクション・デザイン:テレーズ・デフレス
編集:バリー・アレキサンダー・ブラウン
衣裳デザイン:ルース・E・カーター
製作総指揮:マイケル・インペリオーリ、シェリ・キャロール・コリッチオ
音楽:テレンス・ブランチャード
音楽スーパーバイザー:アレックス・ステイヤーマーク
キャスティング:エイシャ・コーリー

キャスト

ヴィニー:ジョン・レクイザモ
リッチー:エイドリアン・ブロディ
デイオナ:ミラ・ソルビーノ
ルビー:シェニファー・エスポジート
ペトロチェリ警部:アンソニー・ラパグリア
グロリア:ベベ・ニューワース
ヘレン:パティ・ルポーン
ルイジ:ベン・ギャサラ
サイモン:ジョン・サベージ
”サムの息子”:マイケル・バダルッコ

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.movies.co.jp/
ご覧になるには Media Player が必要となります