青空へシュート!
2001年/日本/ 配給協力:全国映画センター
2002年5月25日(土)青葉の森公園芸術文化ホール 2002年2月2日(土)瀬谷公会堂 2001年12月1日(土)横浜市立岡村小学校 2001年11月17日(土)神奈川公会堂
公開初日 2002/02/02
配給会社名 0209
解説
ストーリー
春休みのある日、三沢競技場では地区少年少女のサッカー大会がひらかれていた。強豪、豊浜ユーゲルスと対戦しているのは、何とも惨めなラスカル桜台のメンバーであった。
心技体すべてにおいて、ラスカルのひどさは誰もがお見通し。デブの伊集院。ノッポだが眼鏡の畑。ちびで唐辛子のように激しい金。気ばかり強い女子の飛鳥。そしてやはりデブの女子、菜穂子。二枚目だが運動神経がないのではとしか思えない内山。痩せた大関。日本語も覚束ない白人のマイケル。足だけは早いが、技術がない神埼。ちょっとまともなのは、篠田だけだった。全くユニークなチームだ。強烈なボールがゴールを襲うと逃げてしまうキーパー。走り回って疲れ果て、試合中にもかかわらず休憩する者。ヘディングしようとしてボールポストに突っ込む者。こんなメンバーでは全く勝負にならない。
しかし、応援の父親母親たちは、賢明に応援の声を出している。その中に、デブの伊集院の母、情報通の綾子の姿があった。彼女は飛鳥の父親、監督の栄二に向かって、今度の新学期から転入してくる教師、今岡慎之介の噂をしていた。慎之介は大学の時、サッカーで全国優勝したチームメンバーだったと言うのだ。(もっとも彼が補欠だったという情報は、栄二には言わなかったけれど。)綾子は慎之介を絶対チームのコーチに就任してもらうのだと張り切っている。確かに、このままではチームの存続にかかわる。毎回ぼろ負けのチームでは辞める者は出てきても、入団する者は皆無だ。
一方、ユーゲルスは情け容赦なく、攻めて攻めて攻めぬいている。飛鳥や金、大関とクラスメートの本郷は、ユーゲルスのメンバーのフォワードとして、飛鳥たちを「おまえらはクズだ」と馬鹿にしながら、ゆうゆうとゴールを決めていく。
ユーゲルスのコーチ、清水が丘は手綱を緩めることなく気を抜いたプレーをする者には厳しい声が飛ぶ。そしてその叱責を最も受けているのが、ユーゲルスの最強ストライカー大輔だった。勝利至上主義と管理プレーを信条とする清水が丘に対し、個性の強すぎる大輔は個人プレーが目立つ分、厳しい罵声を浴びるのだった。試合は0対10の大差のまま後半も残りわずかにした時、清水が丘の罵声が大輔に飛んだ。「バカヤロー、オレの言うことが聞けないなら、ヤメチマエ!」そう怒鳴られた大輔は、唖然とするチームメイトを尻目に、「やめてやる」と言い捨て、グランドを飛び出していった。
桜吹雪の中ハンサムな青年、今岡慎之介が鼻唄まじりに桜台第2小学校の校門をくぐって行った。転任してきた慎之介の心の中は、新学期の期待に溢れていた。朝礼で生徒に紹介された後、5年1組の自分のクラスで、今度は転校生、寺嶋悟を冗談と笑顔の中、紹介した。しかし、寺嶋は緊張した面持ちを崩さなかった。(実は寺嶋は前の学校でイジメにあい、それで転校してきたのである)
一方6年1組の教室ではユーゲルスの本郷が、ラスカルのメンバーで気の弱い大関を、前回のサッカーの試合のひどさをタネにイジメていた。それに対し大関のチームメイトで喧嘩早い金と飛鳥が、大関を助けに飛び掛っていき、帰宅する生徒たちの残ったクラスは大騒動となり、ようやく飛び込んできた担任に引き離され、なんとか事なきを得た。
週末、学校のグランドではコーチを依頼された慎之介が、初めてラスカルの練習を見ていた。いやはや、そのひどいこと。慎之介は想像を絶するチーム状況に頭を抱え込んだ。「お前ら、やる気があるのか!?」と言う慎之介に、金は「嫌ならコーチやめてもいいんだぜ」と答える。前も、期待のコーチが来てすぐ辞めていったのだ。どうせ皆は、今度のコーチも匙を投げると腹の中で思っていた。
それが感じられるだけに、慎之介は「やめるもんか」と言ってしまった。
慎之介は恋人、ゆかりの家を訪ねた。折角期待をもって始まった新しい職場での新学期も、ダメチームのコーチという気の重い仕事と、どうも元気のない寺嶋を始めとしたクラスということで、ゆかりに優しい言葉で慰めてもらいたいという気分なのだ。
しかし、ゆかりは、慎之介が2年前に起こした自動車の事故で助手席に同乗していて運悪く脊椎を損傷し、以後車椅子生活を余儀なくされ、鬱々とした日々を送っていたのである。
ゆかりは、慎之介の今のそんな心を斟酌する余裕もなく、ついに流れの中で「私と同じ車椅子のお世話になっている人と親しくなったの、だからもう家に来ないで」と言ってしまう。ゆかりは、慎之介が事故以後一層自分の事を気遣い、優しくしてくれているのを、心の負担にしていたのである。また、どうせ私となどと結婚などしてくれる筈のない健常者の慎之介が、という思いもなかった訳ではなかった。そんな思いが、そういう言葉を言わせてしまったのである。
慎之介はまたまた、ショックを受けゆかりの家を後にした。
清水が丘が、チームを辞めるといったまま戻らない大輔を家の近くに呼び出していた。「チームの全国大会優勝の為にはお前が必要なんだ」という清水が丘に対し、大輔は、その管理的なやり方が納得できないだけに「もうサッカーなんか辞めたんだ」と意地を張りつづけ去って行った。
スタッフ
監督:すずきじゅんいち
プロデューサー:小杉哲太
プロデューサー補:榊原るみ
キャスト
宍戸開
石田裕加里
金井勇太
榊原めぐみ
榊原るみ
ダンカン
服部真湖
ダンプ松本
大林素子
柚木由紀子
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