原題:RETURN TO ME

あなたに出逢ったときなつかしい恋の予感が…

(全米2000年4月7日公開)

2000年/アメリカ映画/MGM映画提供/JLTプロダクション 116min/カラー/ビスタ・ビジョン/6巻/3,185m/DTS,SR 日本語字幕:古田由紀子/配給:UIP

2007年12月21日よりDVDリリース 2001年4月6日DVD発売/2001年4月6日ビデオ発売 2000年9月30日、シャンテ・シネにてロードショー!

公開初日 2000/09/30

配給会社名 0081

解説

 恋の始まりは、いつも“ときめき”から。だが、その瞬間、二人が感じた“ときめき”は、どこかフツーじゃなかった。親しい人に再会したような不思議な感覚。そして、それは、決して気のせいではなかった……。

 妻を亡くした痛手から立ち直れない男。長い入院生活から開放されたばかりで、恋に臆病になっている女。人生に足りない何かを探していた二人が、ある日、街角で出逢った。どこかに人のぬくもりを残す大都会シカゴを舞台に、運命的な“ときめき”から始まった二人の恋が奏でられる。明るい陽の光に満ちた、ハートフルな大人のラブ・ファンタジーだ。

 愛し合う男と女が、突然、ドナー(提供者)の遺族とレシピエント(被提供者)という微妙な関係になってしまう。臓器移植という現代的なテーマを取り入れながら、デリケートに揺れ動く二人の恋を追って、物語は展開していく。

 深刻な心臓病に冒され、長年、病院のベッドで過ごしたグレース。大手術を経て、今、初めて人生を謳歌しようとするこの女性を、『グッド・ウィル・ハンティング』『理想の結婚』などで今、最も個性的な輝きを放つ女優ミニー・ドライバーが演じる。彼女と恋に落ちる建築技師のボブには、テレビ・シリーズの『X−ファイル』、映画『X−ファイル/ザ・ムービー』で主役のFBI捜査官フォックス・モルダーに扮して人気のデビッド・ドゥカブニー。二人の恋を温かく見守る周囲は、ベテラン揃いのアンサンブル・キャストが生み出した。先ず、グレースの祖父で、レストラン“オライリーズ”を経営するマーティには、『荒野の隠し井戸』などで活躍した往年のスター、キャロル・オコナーが扮し、25年ぶりのスクリーン復帰を果たした。そのレストランのコック、アンジェロは、『インデペンデンス・デイ』のロバート・ロジア。設定は、マーティがアイルランド系で、その義弟アンジェロがイタリア系となっていて、それぞれの“お国自慢”をベースに、ユーモラスな台詞がやりとりされる。また、グレースの親友で子だくさんのミーガン役は、『K−9/友情に輝く星』などのジェームズ・ベルーシーが得意のコメディ・センスを見せる。一方、ボブの妻で動物学者のエリザベスには、『101』のジョリー・リチャードソン。その同僚で獣医のチャーリー役には、『ジュマンジ』のデビッド・アラン・グリアが扮している。

 この作品は、女優ボニー・ハントの監督・脚本家としてのデビュー作だ。女優としては、『グリーン・マイル』でトム・ハンクスの妻の役を演じるなど、脇役で実力を発揮してきた。今回は、故郷シカゴを舞台に男と女の恋というタイムレスなテーマに、臓器移植、動物保護と言ったタイムリーな展開を絡めて、軽快なテンポでストーリーを展開させている。彼女の“顔”で、シカゴの名士が多数カメオ出演している他、兄弟姉妹から甥まで、“ハント・ファミリー”も総出演だ。製作は、『フリー・ウィリー』シリーズを手掛けたジェニー・ルー・トゥジェンド。製作総指揮は、『アル・フランケンはMr.ヘルプマン』(未)のC・O・エリクソンと、本作に主演のデビッド・ドゥカブニーのマネージメントを請け負ってきたメラニー・グリーンが担当した。今回、ボニー・ハントと共に脚本を執筆したのはドン・レイク。役者が本業の彼は、本作品にも登場している。

 撮影は、古くは『パーパー・ムーン』、最近では『ベスト・フレンズ・ウェディング』を撮ったベテランのラズロ・コバックが担当した。プロダクション・デザインは、『フリー・ウィリー3』のブレント・トーマス。スクリーンには、これまでの映画で見ることのできなかった、シカゴの市井の人々のぬくもりやさりげない生活感があふれている。衣装は新人のリース・ボスウェル。編集は、『ベスト・フレンズ・ウェディング』などのガース・クレイバンが務めた。そして、音楽は、『キャプテン・ロン』(未)などのファミリー・ピクチャーのスコアを書いたニコラス・パイクが担当。冒頭の、ディーン・マーティンが歌うタイトル曲“リターン・トゥ・ミー”が印象的。その他、ディーン・マーティンの歌声で“ボナ・セラ”、フランク・シナトラで“『真実の恋”などが流れる。また、寄付金集めのパーティのシーンでは、シカゴ出身の歌手ジョーイ・ジアンが“リターン・トゥ・ミー”“ライオンは寝ている”などを披露している。

ストーリー

 シカゴの郊外のリンカーン・パーク。この公園の一角にある動物園のゴリラ館で、動物学者エリザベス(ジョエリー・リチャードソン)は、ゴリラのシドニーに話しかける。狭い檻に閉じ込められているシドニーを見るたびに、彼女の心は痛んだ。何としても、ゴリラ館を拡張して良い環境を作り、絶滅の危機に扮しているゴリラを救いたい。エリザベスは、今夜、そのための寄付金集めのパーティを主催する。夫のボブ(デビッド・ドゥカブニー)も、建築家として、彼女のプロジェクトに協力を惜しまなかった。スピーチも上々の出来。寄付金も、予想以上に集まった。二人は、ボブがこっそりリクエストしておいた“リターン・トゥ・ミー”に合わせてダンスを踊る。今夜は最高の夜だ。

 その頃、市内の病院では、グレース(ミニー・ドライバー)が苦しい息に喘いでいた。重い心臓病の彼女が助かる道は、臓器移植手術しかない。だが、臓器提供者(ドナー)はなかなか現れなかった。グレースは見舞いに来た親友のミーガン(ボニー・ハント)に、力なく微笑みかける。

 パーティを無事終え、ボブとエリザベスは上機嫌だった。しかし、その帰路、交通事故が二人を襲う。病院に運び込まれた時、エリザベスはすでに脳死状態。摘出された心臓は、知らない誰かのもとへ運ばれていった。ボブは、ただ、呆然とするばかりだった。

 それから1年。移植手術が成功してすっかり元気になったグレースは、育ての親である祖父マーティ(キャロル・オコナー)が経営するレストラン“オライリーズ”を手伝いながら、好きな絵を描いて過ごしていた。のどかな昼下がり、内庭に咲き乱れる花、老人たちの話し声。それは、長年、病気に苦しんだグレースが、生まれて始めて味わう平和な日常だった。憧れのイタリアに行ってみたい。恋もしてみたい。そんな望みが叶えば、人生はまさにばら色だ。幾度も迷った末、グレースはドナーの遺族に届くよう、ドナー協会宛に感謝の手紙を送る。一方、ボブは、妻の遺志を継いで、新しいゴリラ館建設に全精力を注いでいた。私生活は殺伐たるもの。そんなボブを見かねて、ある日、エリザベスの同僚だった獣医のチャーリー(デビッド・アラン・グリア)が食事に誘い出す。行き先は、“オライリーズ”。チャーリーが連れて来た女性弁護士とは、一向にウマが合わないボブだったが、その店のウェートレス、グレースには、何か不思議な親しさを感じた。

 店に忘れた携帯電話がきっかけで、ボブとグレースに愛が芽生えた。初めてのデート。夜の公園を歩きながら語らう二人。5歳のとき、母が心臓病で死んだ。父はまもなく蒸発した。だが、グレースは、胸に残る傷痕を気にして、手術のことだけはどうしても打ち明けられない。15歳で出会って20歳で結婚した。ボブも亡き妻のことを話し始める。ボブが初めて建てたビルの屋上で、二人は美しいシカゴの夜景を見下ろした。

 ゴリラ館の完成が近づいた。近ごろのボブとグレースは、ゴリラのシドニーさえも焼きもちを焼くほどの仲だった。そんなある日、ボブの家に遊びに行ったグレースは、偶然、机の上に置かれた一通の手紙を見つける。それは、グレース自身がドナーの遺族に宛てて書いた、あの感謝の手紙だった。自分の胸で鼓動を続ける心臓は、ボブの死んだ妻から提供されたものだったのか。すべてを知ったグレースはうろたえ、ボブを振り切るように、その場から駆け出した。何事が起きたのか見当もつかないボブは、翌日、新しい自転車をプレゼントしに、グレースの家を訪れた。夏の日差しが降り注ぐ庭で、グレースは泣きながら真実を告げた。さすがに動揺を隠せないボブ。彼は、そのまま黙って立ち去った。その夜、グレースは失意のまま、ひとりでイタリアに旅立った。ボブが最後にくれた、赤い自転車を荷物に積んで……

スタッフ

監督:ボニー・ハント
脚本:ボニーハント、ドンレイク
原案:ボニーハント、ドンレイク、アンドリュー・スターン
   サマンサ・グッドマン
製作:ジェニー・ルー・トゥジェンド
製作総指揮:C・O・エリクソン、メラニー・グリーン
撮影:ラズロ・コバック
プロダクション・デザイナー:ブレント・トーマス
編集:ガース・クレイバン
衣装:リース・ボスウェル
音楽:ニコラス・パイク
音楽製作総指揮:ジョエル・シル

キャスト

ボブ:デビッド・ドゥカブニー
グレース:ミニー・ドライバー
マーティ:キャロル・オコナー
アンジェロ:ロバート・ロジア
ミーガン:ボニー・ハント
チャーリー:デビッド・アラン・グリア
エリザベス:ジョエリー・リチャードソン
ジョー:ジェームズ・ベルーシー

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