原題:FLAWLESS

この世に完璧な人間などいない!名優デ・ニーロ最新作!!

1999年11月24日全米公開

1999年/アメリカ映画/メトロ・ゴールドウィン・メイヤー映画/111分/カラー/ビスタビジョン/DTS,SR/日本語字幕:古田由紀子 配給:UIP 提供:トライベッカ・プロダクション

2001年4月6日DVD発売/2001年4月6日ビデオ発売 2000年9月2日より銀座シネパトスにてロードショー!

公開初日 2000/09/02

配給会社名 0081

解説

名作『お熱いのがお好き』のジョー・E・ブラウン(ジャック・レモンを追い回す初老のプレイボーイ)曰く“この世に完璧な人間などいない” 少々モンダイありの男2人が、時にはケンカ腰に、いろいろトラブルを起こしながらも、心の絆を深めてゆく。68年『真夜中のカーボーイ』、73年『スケアクロウ』、88年『レインマン』…アメリカ映画の最も良質な部分が生んだ名作の隊列に、この2000年、『フローレス』が加わる。それは、天下の名優ロバート・デ・ニーロが選んだ最高のバディ・ムービー!

同じ人間であることの意味を、外見や考え方にこだわって見失ってはいけない。表紙を見ただけで本の中身を決めつけてはいけないように、ズボンを見ただけでその人を判断してはいけない。人間はしばらく向き合えば、違いよりも共通点を見いだすことが出来るはず。長年敵対してきた北と南の指導者がとりあえず握手してみようか、という時代です。少しおおげさに言えば、“共生と融和の時代” 21世紀へのメッセージがさりげなくこめられた愛すべきバディ・ムービー。それが『フローレス』!

ストーリー

ニューヨークのロワーイーストサイド。ビルに囲まれた狭い公園で壁を利用したハンドテニスに興じる中年男ウォルト。その後方で、マフィア、ミスターZ一味のヤバい金を一瞬の隙を衝いて奪った男が、追っ手に追われて屋根伝いに逃げてゆく。それは一見、ウォルトには直接関係のない出来事に映った。
アパートに戻ったウォルトは斜め上に住むドラッグクイーンのラスティといつものように口げんか。ウォルトは共和党びいきの保守的な男の例に漏れず、ゲイ嫌いだ。彼の誇りは、かつて警官だった時に強盗事件で手柄を立て、それが仲間内で語り継がれている“街のヒーロー”であることだ。行きつけのダンス・クラブではなじみのダンサー、カレンとひと踊りしてベッドを共にする。ウォルトを慕う娼婦のティアがアプローチしても、、「俺は娼婦とは遊ばない主義だ」と冷たくあしらう。“金で女を買わない”こだわりもウォルトのプライドの一つだった。一方、プロの歌手、芸人であるラスティはゲイクラブの軽妙な司会を拍手喝采でこなしていた。

ある日、ラスティの部屋でマフィアがらみのトラブルが発生した。くだんのミスターZの金を奪った男アンバーを友人としてかくまっていたのを、フロント係のレオナードが密告し、マフィアに押し入られたのだ。銃撃音が聞こえ、元警官の血が騒いだウォルトは、急いでかけつけるが、階段で突然発作に襲われ、昏倒した彼は病院に運ばれる。意識は回復したものの、脳卒中で右半身が麻痺したままだった。惨めな姿を見せたくないと友人のたまり場にも足が遠のき、アパートの自室で抜け殻のような時間を過ごす。
一方ラスティは、殺されてしまった友人アンバーの遺灰を手に自室に戻ってくるが、マフィアに待ち構えられ、奪った金のありかを言え、との脅迫にも屈しなかった。ラスティはウォルトがアンバーを助けようとして、脳卒中で倒れたことを知って、お礼を言おうとするが、いじけたウォルトの態度にまた口ゲンカ。だが、ウォルトはラスティを無視するわけにもいかなくなっていた。医師がリハビリに歌のレッスンを勧めるが、歩行に苦労するのと外出して自分の姿を人目にさらしたくない彼にとって唯一の歌のコーチになりそうなのは同じアパートのラスティだけなのだ。ウォルトは意を決して、部屋を訪ねる。金を払うから歌のレッスンをしてくれ、との頼みを「ヒトラーにフェラするほうがマシよ」とあしらわれるが、根は優しいラスティは「明日からいらっしゃい」と受け入れる。
翌日、ウォルトが現れるが、あまりにも価値観が違う2人だけに、すぐケンカ。「オカマに同情されたくない」「人生から逃げる気?」と言い合いになるが、やがて、ウォルトのドラッグ・クイーン仲間も現れて、賑やかな騒ぎとなり、ウォルトの心も少しなごんでくる。ある日、ラスティに電話が入ると、電話口の彼の顔が曇り、今日のレッスンは中止だという。寂しさを紛らわせるため、ウォルトはダンサーのカレンに電話するが、彼がお金が乏しいことを知ると、あからさまに言い訳を作って避けてしまう。そういえば、いつも家賃が払えないから助けて、とお金をせびっていたっけ、金の切れ目が縁の切れ目か、モテてたつもりが、単なる金づるだったのか…ウォルトの中で一つの価値観が崩れていった。
何日かして、ラスティは戻ってきた。母の葬儀があったという。これを機に、ラスティは自分の生い立ちを含めて、洗いざらいをウォルトにぶちまけ、ウォルトもそれを聞き入った。そんな時、ラスティのたちの悪いボーイフレンドが金をせびりにやってきたが、鉄板を入れて強化した別室に逃げ込んで難を逃れ、この“事件”を機に2人の溝がまた縮まったそんな折、ウォルトの元警官仲間で今は警備員をやっているトミー(スキップ・サダス)が心配して、なじみの友達を引き連れ、カードをしに押しかける。そこにティアもまた現れた。気を利かせて退散するトミーたち。ティアはウォルトの好きなタンゴの曲を録音したテープと花束で癒してくれた。2人はタンゴを踊り、ティアがウォルトを誘ってくれないの、と口説く。金はないよ、とウォルト。いらないわ、とティア。そんないいムードにウォルトが水を差す。「そうか、トミーが金を渡して頼んだんだな」という無粋な一言は、無償の彼女の行為を踏みにじってしまう。ティアは当然のごとく「本当に哀れな人ね」と怒って帰ってしまう。
やがて、ラスティから歌のレッスンはもう卒業よ、と言われるウォルト。言葉のリハビリとともに、彼の歪んだ狭い心も矯正されつつあった。部屋を訪ねると、ドラッグ・クイーン仲間が、ウォルトの“卒業パーティー”を催してくれた。下のピザ屋のマッチョ青年も飛び入りして、ハチャメチャの中にもあったかい人間同士のふれあい。パーティーの後、ウォルトとラスティは真の友人として心ゆくまで語り合った。今度はウォルトが自分の生い立ちも秘密も打ち明ける番だった。
そこで、ラスティは驚くべき告白をした。「実はアンバーが奪った、ミスターZが血眼で今も探している大金を隠し持っているの。部屋にあるマネキンのヒップとおっぱいが隠し場所よ」と。ここでまたウォルトの不用意な発言で大ゲンカ。
ウォルトはケジメをつけるべく、ダンス・クラブに向かう。花を手に、ティアに非礼を詫び、仲直りのダンスをするべく。それをティアは受け入れてくれて、ウォルトは脳卒中で倒れて以来初めてセックスをする。それは何の打算もない純粋な営みだった。
アパートに帰ったウォルトにフロントのレオナードが今夜物音がしても気にしないように、と因果を含める。不審に思ったウォルトが探りを入れると、案の定ミスターZが内偵して、ラスティが金を隠していることを嗅ぎ付けたのだ。ラスティの身が危ない。ウォルトは真の友達を守るべく、本当のヒーローになるために立ち上がった…。

スタッフ

監督・脚本・製作:ジョエル・シューマカー
撮影:デクライン・クイン
プロダクション・デザイナー:ジャン・ロエルフス
衣装:ダニエル・オーランディ
編集:マーク・スティーブンス

キャスト

ウォルト:ロバート・デ・ニーロ
ラスティ:フィリップ・シーモア・ホフマン
カレン:ワンダ・デ・ジーザス
ティア:ダフニ・ルービン・ヴェガ
レオナード:バリー・ミラー
トミー:スキップ・サダス

LINK

□IMDb
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http://www.mgm.com/flawless/index2.html
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