原題:PUPS

デビュー作「BANG」で注目を浴びたASH監督の第2弾

☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm

2000年/アメリカ映画/103分/カラー/シネマスコープ/ドルビーステレオ 提供:チーム・オクヤマ/配給:日活

2000年8月5日よりシネリーブル池袋にて公開 2001年4月27日ビデオ発売

公開初日 2000/08/05

配給会社名 0006

解説

 1998年・夏。アメリカ各地の学校で生徒たちによる銃の発砲事件がたて続けに発生した。事件を起こした生徒たちは平均年齢13歳の白人少年たちである。
 十代の若者たちによるこのような「目的や理由のわかりにくい」犯罪が世界的に増加している現象を正面から見据えながら、子どもが銃をみつけたとき、あるいは銃が子どもを見つけたとき、いったい何が起こるのか?そういう視点から無作為に書き進められたのがこの「PUPS」である。
 映画ではぜんそくに苦しむ13歳の白人少年にスポットを当てている。
 この少年はメディアや都市生活の強いるさまざまなストレスのために、今にも切れてしまいそうなくらいにせっぱ詰まった精神状態にある。そして、ある朝、母親の銃を発見した少年は、映画から学んださまざまな言葉や感情で武装し、彼女を引き連れ、「狼たちの午後」を彷彿とさせる絶望的な行動に走りだすのだ。
 映画の主な舞台は、少年たちが強盗に押し入った銀行。
 そこで少年たちはパート・レイノルズ(98年「ブギ・ナイツ」でゴールデン・グローブを受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた)の演じるFBI捜査官や現場に居合せた人質たちを相手に、更にメディアをも巻き込んでさまざまな要求をつきつける。
 物語は、銃撃事件の緊張感が続いていた4週間のうちに書き上げられ、日本のチームオクヤマから異例のオファーを受けて製作されている。限られた条件の中で勘をたよりに出きる限りのあらゆる手をつくして、欠陥のほとんどない作品を作りあげたのは、イギリス生まれでロサンゼルス在住の映画監督ASH。彼の第2作目となる本作品は、批評家たちに高く評価された彼のデビュー作「BANG」(3万ドルで撮影され、LA-TIMESやNY-PRESS紙が97年の映画トッブ10に選出し、98年インディペンデントスピリッツ賞にノミネートされた)に出演した俳優たちを中心に、カリフォルニア州、チャッツワースにて16日間かけて撮影された。
 ASHは少年「スティーヴィ」を演じたキャメロン・ヴァン・ホイを、この映画でデビューさせ、さらにレオナルド・ディカプリオの兄、アダム・ファラーも本作品で「身障者」を演じて映画デビューを飾っている。
 映画の中で使用されているホーム・ムービーの映像は本物で、キャメロン少年の母親の好意で映画のために提供されたものやある。

ストーリー

 ロサンゼルス、渇いた都会の、さらに渇いた思春期の真っ只中。
 スティーヴィは、自殺をはかる自分の姿をビデオに収めようとするほどテレビにとりつかれた13歳の少年。結局、自殺は果たせないが、そのかわりに、彼にとっては地獄のような郊外の生活から脱出するために、自殺よりもさらに興味をそそるものを見つける。それは母親が無造作にしまっていた拳銃だった。
 その朝、ガールフレンドで一つ年下のロッキーが、一緒に学校に行こうと訪ねてくる。ふたりは、小犬を可愛がるあどけなさもありながらセックスヘの強い興味も示す、10代はじめにある特有の関係。ふたりして学校に内かって歩いていくその途中、ステイーヴィは見つけた拳銃を彼女に披露しながら「これから銀行強盗をする」と宣言。表現しようのないフラストレーションを貯めこみ、何かに突き動かされるようにして銀行へ押し入って行くステイーヴィに、驚きながらも、引き込まれてついて行くロッキー。
 しかし、引き起こしてしまった明解な目的もない銀行強盗は、当然、映画のようにうまくいくはずもなく、スティーヴィが現金を受け取って逃亡をはかった時、地元の警察とFBIが到着し、ふたりは仕方なく銀行にたてこもることになる。ちょうど銀行に居合せた車イスに乗った湾岸戦争負傷者や、第二次大戦に従軍していた老人、神経質でうるさ型の銀行のマネージャーやゲイの銀行員、今度遅刻すると会社をクビにされるという中国娘からなる人質は、しきりに楯突いてきて一筋縄ではいかない。
 襲撃当時、トイレに入っていた警備員が、外の警察に刺激されて銃を構えて出てくるが、驚いたスティーヴィにたちまち肩を撃ちぬかれてしまう。そしてその警備員が持っていた拳銃は、ロッキーが拾いあげた。
 生中経放送で流れる事件の報道番組を、銀行のテレビでふたりも観ていた。テレビではさまざまな識者達が、勝手な意見をしゃぺっている。
 スティーヴィの母は、いつまでたっても現れないが、やがてロッキーの父親が連れてこられる。が、しかし、ロッキーは父親が自分に性的イタズラをしていたことを暴露し、父親を狼狽させる。
 休みなく頭上を飛び回るヘリコプター、狙撃部隊も到着し、何重にもかさなる警察、その周囲を取り巻くテレビや新聞のカメラマンやレポーター達、そしてたくさんの野次馬で、銀行の周りはものものしいものになっていく。
 FBIネゴシエイターのベンダーは、世論からうける圧力の事しか考えない上司や、解決案を求めるマスコミ、テレビを見て事件を知った自分の娘等、あらゆる方面からプレッシャーを与えられながら、スティーヴィを説得し続ける。
 15歳以上はだれも信じず、傷つきやすい繊細な心を隠して暴走するスティーヴィは、吐息で息をつまらせ、幼い頃にオモチャの銃で遊んだことを思い出した。
 極度の緊張と興奮の中、具合が悪くなってトイレに駆け込んだロッキーは、初潮が訪れたことを知り、動揺する。
 少年たちの行為も大人たちの行為も、共におろかな行為でありながら、事件は思わぬ方向へ、進んでいく。

スタッフ

監督:ASH

キャスト

パート・レイノルズ
キャメロン・ヴァン・ホイ
アダム・ファラー

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