リリィ・シュシュのすべて

この映画はカラダにくる。 岩井俊二の才能が到達したひとつの頂点。 「遺作にしたい」 岩井自らがそう語るこの映画の全容とは。

2001年／日本／2時間26分／カラー／ビスタサイズ／DTS 5.1CH 提供：ロックウェルアイズ 配給：日本ヘラルド映画

2002年6月28日よりビデオ＆DVD発売 2001年10月6日よりシネマライズ、シネスイッチ銀座にてロードショー公開

公開初日　2001/10/06

配給会社名 0058

公開日メモ　遺作になるなら、これを遺作にしたい

解説

ストーリー

「僕にとって、リリイだけがリアル」いままで誰も描けなかった、十四歳の世界がここにある。

田園が美しいとある地方都市。中学二年の蓮見雄一(市原隼人)の一家は、実の母と新しい父親とその連れ子の弟との３人家族。学校ではいじめを受け、窒息しそうな毎日。そんな雄一にとって、リリイ・シュシュだけが「リアル」。自分の部屋に閉じこもり、自ら主宰するリリイ・シュシュのファンサイト「リリフィリア」の中だけが、本当の居場所。「フィリア」というハンドルネームが自分のその中で、[青猫]と名乗るリリイファンと知り合い、心を通わせていく。

1999年。十三歳。
リリイすら知らなかった時代。それは雄一にとってはバラ色の時代だった。中学生になった雄一に、鮎小学校の児童会長だった星野修介(忍成修吾)と同じクラスになる。新入生代表で答辞を読み、勉強も出来る。そんなスーパーマンのような星野と雄一は、同じ剣道部に入ったことで仲良くなる。ある日、剣道部の仲間たちと野球部の応援にいった雄一は、その帰り、駅のホームで、久野陽子(伊藤歩)の存在を知る。夏になり、剣道部では三年生が引退。厳しい練習にへとへとになる雄一たちは、合格が終わったら、みんなで沖縄旅行にいこうと計画する。雄一たちは秋葉原でカツアゲした不良たちから、金を奪い取り、晴れて西表島に旅立った。南の島での夏休みを満喫する少年たち。しかしそこで星野は、溺れかけ、旅で出会った学生の交通事故を目撃し、旅の終わりは何か不穏な空気が立ちこめたのだった。

新学期。少しだけ大人びたクラスメートたち。そしてクラスの中で一番ガラの悪い犬伏を殴り倒したことがきっかけとなって、星野は豹変した。クラスの飯田と辻井を子分に従え、すっかり人が変わってしまった星野は、剣道部にも顔を出さなくなる。そして雄一は星野のイジメの対象となってしまう。

2000年。十四歳。
二年生になった今でも、ひったくりや万引きをしては、星野にお金を上納する雄一。ある日、雄一は星野から新たな仕事を言い付けられる。それは同じクラスの津田詩織(蒼井優)を尾行するというもの。そこで雄一が知ったのは、津田が星野に援助交際をさせられているということだった。以来、雄一は津田の見張り番として行動を共にするようになる。

雄一にとって息のつまる学校生活での唯一の光。それは二年生になって同じクラスになった久野陽子の存在だった。成績も良くピアノの腕前も学校一の久野は男子からの人気も高い。ちょうど学校では、校内の合唱コンクールを控えていた。久野の存在が面白くない神崎すみかを中心とする女子一派は、久野に反発し、練習をさぼる。学級委員長の佐々木健太郎は困惑するが、久野からアレンジを変えた課題曲の譜面を渡される。それはピアノなしバージョン、つまりアカペラでの合唱だった。久野がピアノを弾かないことで納得した神崎一派たちも参加し、合唱コンクールは成功した。しかし、その編曲をしたのが久野だったことに、さらにムカつく神崎。そして、星野は…。かつて新入生代表として答辞を読んだその場所で、星野は自分の居場所を見いだすこともできない。
真空のような孤独。
窒息しそうな毎日。
やがて雄一にとってはあまりに耐え難い現実が、待ち構えていた。

《死のうと思いました。でも死にきれなかった》パソコンに向かい、心の痛みを吐露する[フィリア]。《あなたの苦しみは自分にも分かる。何故なら、自分もあなたと同じ痛みの中にいるから》そう言って[フィリア]を慰める[青猫]。

12月8日。
リリイ・シュシュのライブが開催される。雄一は会場となる渋谷キャトルヘと向かった…。

スタッフ

監督・脚本：岩井俊二
音楽：小林武史
撮影：篠田　昇

キャスト

市原隼人
忍成修吾
蒼井優
伊藤歩
勝地涼
五十畑迅人
郭智博
田中丈資
土倉有貴
南イサム
吉岡麻由子
大沢たかお
稲森いずみ
市川実和子
杉本哲太

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