原題:HAZY LIFE

2000年ロッテルダム国際映画祭コンペティション正式招待作品。 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000・オフシアターコンペ部門グランプリ受賞。

1999年/16ミリ/90分/カラー/ 配給:スローラーナー

2004年03月26日よりDVD発売開始 2001年10月20日よりユーロスペースにて公開

公開初日 2001/10/20

公開終了日 2001/11/16

配給会社名 0048

公開日メモ 先の見えないぼんやりとした生活を送る二人の若者と、その周りを流れ漂う人々や出来事を淡々と描く日常劇。1998年、各方面で多大なショックと話題を振りまいた『鬼畜大宴会』の制作スタッフ『鬼プロ』の協力下、当時22歳で同作品助監督であった山下敦弘が中心となり作り上げた初の長編劇映画。

解説




『どんてん生活』の後ろ向きの全力疾走は、糖漬けの臭いがして、ゴミを漁るカラスの色をして、だらしない生活の音を立てて、それでも不快どころか心地よかった。
…阪本順治◎映画監督

山本浩司と宇田鉄平がみつめ合い、ことばもなくほほえんでしまうだけで、うれしくなってしまう。(中略)だから新しいコミュニケーションに対する期待がこの山下敦弘監督という若い監督にはあるんだと思った。

先の見えないぼんやりとした生活を送る二人の若者と、その周りを流れ漂う人々や出来事を淡々と描く日常劇。
1998年、各方面で多大なショックと話題を振りまいた『鬼畜大宴会』の制作スタッフ『鬼プロ』の協力下、当時22歳で同作品助監督であった山下敦弘が中心となり作り上げた初の長編劇映画。
平成11年度新人監督助成金受賞作。

「どんてん生活」——曇天、くもり空。
先の見えないぼんやりとした生活を送る二人の若者と、その周りを流れ漂う人々や出来事を淡々と描いた日常劇。何となく社会に出るタイミングを逃し、何となくそれにも気付かないで、都合のいい夢ばかり見ている二人。向上心、のようなものはあることはあるが、具体的な人生の目標はない。
——それでも何となく生きていられる——現代の日本のかたちをシンプルに切り取った作品。

退廃的、流動的、現実的、非現実的、無秩序的、暫定的、絶望的。でも決して卑屈じゃない。だから見る人は紀世彦と努を好きになる。楽観的、刹那的、ある意味健康的。なぜか達観的ですらある、二人。背中には寂蓼感まで漂っている。流れるままに、そして流れがなければその場で淀んでいる、曇り空の雲。まさしく『どんてん生活』。なのに、見た後に残るものが「見る前と同じ自分」というところが、山下監督のすごいところであり、ずっこいところでもある。
お腹が痛いからどこかで休みたいとラブホテルの前で、屈み込む紀世彦。侮蔑とも憐れみともつかない視線を女に投げかけられそれでも笑っている。風邪を引いた紀世彦に病院にかかるようにと努がすすめるシーン。「保険証がないから」という紀世彦の台詞。情けなく生きていくにも根性がいるのだということが判明した。

「映画という世界でしか生きることの出来ないストーリー」というものがあると思う。テレビドラマ化、小説化、ましてやライブ感たっぷりの芝居化なんてというストーリーが。やっぱり『どんてん生活』の生きる場所は「映画」の世界である。そうじやないとあの会話、あの空気、あのテンポ、あの間抜けさのおもしろ味は伝わってこない。ここも山下監督のすごいところでもあり、ずっこいところでもある。             ライター:種田桂

ストーリー



無職で、将来の事など何も考えようとしない青年、町田努の唯一の楽しみはパチンコだ。その日の朝も、彼は真冬の冷たい風に吹かれながらウォークマンを聴き、開店前の時間をボーッとやり過ごしていた。と、そこへもう一人、朝イチに並びに来る男がいた。努はその男の風貌を見て唖然とする。頭はガチガチに固めた特大リーゼント、真っ赤なカーディガンに豹柄のサンダル。しかも男は平然上としながら努の隣に立ち止まる。だだっ広いパチンコ屋の駐車場に立つ努と如らない男。その気まずい雰囲気をウォークマンに意識を集中させてじっと耐えようとする努。そんな彼の気持ちなどお構いなしに、男は買ってきた缶コーヒーを差し出して話しかけて来る。
「・・・・・・学生さん?」
「いえ・・・・・・違います・・・・。」
こうして二人の出合いは始まった。
男の名前は南紀世彦。裏ビデオのダビングで生計を立てている。紀世彦の不思議な存在感に驚きながらも、努は誘われるままにその仕事を手伝い始める。パチンコという共通の趣味を持つ彼等が気を許し合うのにそれほどの時間はかからなかった。やがて、紀世彦の先輩であり仕事仲間でもある田所という情熱的な中年男や、その恋人である裏ビデオ女優・愛子と出会うと、努の周りにそれまでとは違う——風変わった生活が広がっていくのだった。

スタッフ

監督:山下敦弘
脚本:向井康介、山下敦弘
制作:真夜中の子供シアタ
撮影:近藤龍人
撮影助手:柳田佑子、藤野ミチル
照明:向井康介
音楽:赤犬
音響:前田隼人
音響効果:松本章
記緑:須田結加利
編集:向井康介、山下敦弘、前田龍人
衣装:西尾真紀、藤野ミチル、須田結加利
特殊メイク:須田結加利、藤野ミチル、前田隼人
車輌:村主岳史、神田新、岡崎誠、岡正太郎
タイトル:沢田まこと

製作:真夜中の子供シアター

キャスト

山本浩司
宇田鉄平
康季丹
前田博通
今枝真紀
柴田剛
神田新
加茂浩志
鳴海なお
井上淳
元木隆史
江戸川渚
三十川十三
山下敦弘
ダルビッシュ賢太(子役)
西平すみれ(赤ちゃん)

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