原題:KAKASHI

死んでまでも奪いたい愛。死してなお守りたい愛。

2001年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/

2001年/日本・香港/カラー/ビスタサイズ/86分/ 配給:マイピック

2001年11月25日DVD発売&レンタル開始 2001年11月25日ビデオ発売&レンタル開始 2001年6月16日〜より新宿ピカデリー4にて公開 2001年6月15日〜29日まで渋谷シネパレスにてレイトショー公開

公開初日 2001/06/15

公開終了日 2001/06/28

配給会社名 0127

公開日メモ 伊藤潤二のベストセラー短編集「伊藤潤二・恐怖マンガCollection」から、21世紀にさらなる進化を遂げるホラーワールドを映像化したのがこの『案山子KAKASHI』である。

解説


連絡の途絶えた兄の部屋で見つけた一通の謎めいた手紙。兄を探すために向かった村でかおるが見たものは、不気味に林立する案山子の姿だった。そしてその村では、1年に一度、案山子に死んだ人間の魂を宿らせて生き返らせるという風習が残っていた。

『リング』の大ヒット以来、日本映画にシャパニーズ・ホラーというジャンルが確立されて人気を博しているが、中でも『富江』を始めとする伊藤潤二原作のコミック作品は、映画、TVで数多く映像化され高い人気を得ている。伊藤潤二のベストセラー短編集「伊藤潤二・恐怖マンガCollection」から、21世紀にさらなる進化を遂げるホラーワールドを映像化したのがこの『案山子KAKASHI』である。

本作がこれまでの伊藤潤二作品とは違うのは、ただ単なる恐怖を描いたホラー作品ではなく、トンネルを越えた村を舞台に、愛の憎悪と嫉妬にまみれた女の情念が巻き起こす恐怖と悲劇の結末を描いた作品となっていることにある。そんな一味違った作品に仕上げたのが、『リング0〜バースデイ〜』の鶴田法男監督。もともと和製ジョン・カーペンターと呼ばれ、海外のSF・ホラー作品にも造詣が深い鶴田監督にとって、本作はまさに遊び心満載の作品となっている。また、東南アジアでは近年まれに見る日本ブームと重なり、日本のホラー映画の人気が高いことから、ジャッキー・チェン主演”HIGH BINDER”を製作する香港の映画製作会社EMG(エンペラー・マルチメディア・グループ)が出資し、世界に向けて発信する日本との合作映画ということで、海外でも話題となっている。

主演を演じるのは、『愛を乞うひと』で映画賞新人賞を総なめにし、若手女優ながら将来を嘱望されている野波麻帆。ホラー映画は初出演ながら、表情による恐怖と、ラストの悲しみを誘う熱演を見せ、これまでのホラー映画とは一線を画すものにしている。対する恐怖と悲しみの象徴となる幽霊を演じるのは、『バトル・ロワイアル』で大注目を浴びている柴咲コウ。冷たい表情に潜む美しさは、まさに幽霊の真骨頂と言えるであろう。この二人の女性に愛される男を演じるのが、俳優として、またアーティストとして人気の高い松岡俊介。そして香港からはアイドル歌手として活躍する『ジェネックス・コップ』のグレース・イップが熱演している。また脇を固めるのが、『ホワイトアウト』などのベテラン河原崎建三、歌手としても人気が高い『ニンゲン合格』のりりィ、そして「HERO」やCFで個性を見せる田中要次といった面々が顔を揃えている。

ストーリー


連絡の途絶えた兄・剛(松岡俊介)のアパートを訪れた吉川かおる(野波麻帆)は、部屋の中に残された一通の手紙を見つけた。「目に映るものも、私の姿も、すべて夢。これは夢。それとも幻。確かなのは、あなたの面影だけ。あなたに会うことができたなら、きっと、この悪夢から醒めることができるかもしれない。会って下さい、愛しい人。」不気味な文字で書かれた手紙の送り主は高校時代の同級生・宮守泉(柴咲コウ)からだった。かおるは兄の行方を追うために、差出先である不来彼方村[こずかたむら]へ向かう。
山道を走り村へ通じるトンネルに入ったかおるの車は、トンネルの出口に近づいた時、突然理由もなくエンストしてしまう。かおるは車から降りて山道を歩いて行くと、野原に座っている少女にびっくりする。それはトンネルの入口で目にした探し人の札に書かれてあった、香港からの留学生サリー・チェン(グレース・イップ)だったからだ。だが、一瞬の出来事にかおるはサリーを見失ってしまう。
山道を歩いている途中、かおるは不思議な光景を目にする。それは人々が広場に次々に案山子を立て掛けている姿だった。やがて泉の実家に到着したかおるは、泉の母、宮守幸恵(りりイ)に会い兄の消息を聞くが、そっけない返事をされてしまう。そこに泉の父、宮守耕造(河原崎建三)も帰って来たが、やはり同様の返事でしかなく、その上、泉が診療所に入院していると聞き見舞いに行きたいと言うと、冷たくつっぱねられてしまう。その理由はかおるが知っているように耕造は言い、そして早くこの村から出るように彼女に告げるが、車が故障したことを話すと、結局その口は宮守邸に泊まることとなる。
夜、寝付けないかおるは、宮守夫婦の口論を耳にしながら、昼間来た時に見かけた二階の赤い服を着た女の姿が気になり、二階へ上がろうとするが、その時背後に人影を感じ、それを追って納屋に行き着く。そこで彼女が見たものは、赤い服を着た女の姿をした案山子だった。そして背後から聞こえる声に振り返ると、闇の中に佇んだ女、それは診療所にいるはずの泉だった。かおるを見つめる泉の目は冷たく、かおるに敵意を持った言葉を言い放つ。その時、案山子が・・・・はっと気付くとかおるは蒲団の中から飛び起きた。それは現実のような夢であった。
翌朝、かおるは耕造に連れられ、合同会所へ向かった。そこでは村人たちが案山子を作っていた。かおるはサリーの姿を見つけ、図書室で彼女に問い正そうとするが、巡査に話を遮られてしまう。かおるは村で見かける案山子のことを巡査に聞くと、巡査は明晩、案山子の祭が行われると、含み笑いをしながら話す。
その晩再び宮守邸に泊まることとなったかおるは、もう一度納屋に向かう。そこで案山子に化粧を施す剛に出会う。だが、案山子に覆いかぶさられ叫び声を上げる。再び蒲団から飛び起きたかおるだったが、彼女の手には藁が握られていた。
かおるはサリーに会いに合同会所の図書室へ向かう。机に向かってもの書きをしている男にサリーの居場所を聞こうとするが、何も答えない。ふとその男の書いている手元を見ると、それは兄の部屋で見つけた泉からの手紙と同じ震えるような筆跡だった。そこにサリーが戻り、かおるは彼女に詰め寄って手がかりを掴もうとしたその時、不気味な顔をした藁人間がかおるを襲う。無我夢中で外へ逃げ出したかおるは、宮守邸に着くと、案山子を抱えて出て行く幸恵を見届け、家の二階へ上がっていく。がらんとした部屋でかおるは、机の上に置いてある泉の日記を見つける。そこに書かれていたのは、剛に恋した泉が、かおるに対して残した嫉妬と憎悪と怨みの言葉であった。泉の声に振り向くと、夢で見た赤い服を着た泉が、かおるに対して憎悪と不気味な表情を浮かべて立っていたのだった。
不気味な叫び声から逃げるように家を飛び出したかおるに出くわした耕造は、意を決したようにかおるを剛に会わせる。耕造は、この村では案山子に死んだ人間の魂を吹き込ませて生き返らせる風習があることを、そして泉が既にこの世を去っていることをかおるに話す。泉の死によって村に何か不吉なことが起ころうとしていることに気付いていた耕造は、かおるに村から早く出るように諭す。かおるは剛と合同会所に向かい、サリーを連れて逃げる。巡査に襲われながらも、行き着いたのは案山子復活の広場だった。3人がそこで見たのは、案山子から復活した泉の姿だった・…

スタッフ

監督:鶴田法男
原作:伊藤潤二(朝日ソノラマ刊「伊藤潤二・恐怖マンガCollection」より)
エグゼクティブ・プロデューサー:楊受成/相原英雄/北村喜久雄/川島晴男
企画:相原英雄/尾西要一郎
プロデューサー:尾西要一郎
アソシエイト・プロデューサー:唐銘基/笠井正規/鈴木径男/盧聰明
脚本:村上修/玉城悟/鶴田法男/三宅隆太
撮影:菊池亘
照明:近守里夫
録音:深田晃
美術:丸尾知行
キャスティング:水永久美子
特殊メイク:ピエール須田
音楽:尾形真一郎
編集:須永弘志
助監督:加藤文明
製作担当:小松功
製作:EMG/プラネット/マイピック/ビームエンタテインメント
制作プロダクション:プラネット

キャスト

吉川かおる:野波麻帆
宮守泉:柴咲コウ
サリー・チェン:グレース・イップ
野地周作:有薗芳記
野地あゆみ:五十嵐瑞穂
巡査:田中要次
修理工:ボブ鈴木
村人:森下能幸
管理人:小柳友貴美
宮守幸恵:りりィ
宮守耕造:河原崎建三
吉川剛:松岡俊介

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