原題:Sade

マルキ・ド・サドによる、壮絶な処女喪失とは—

2000年/フランス/100分/DTS / Dolby Digital 配給:コムストック

2004年04月23日よりDVDリリース 2004年04月23日よりビデオリリース 2003年5月24日より銀座シネパトス他全国ロードショー

公開初日 2003/05/24

配給会社名 0028

解説



1794年、恐怖政治の嵐がf吹き荒れる中、スキャンダラスな文学や言動で拘留されていたサド侯爵は、パリの刑務所から郊外の館に移された。隣人となった無垢な伯爵令嬢を、サドは自分の思うままに調教するが・・・。サド侯爵の真実に迫る衝撃の話題作。

<サド公爵はマゾだった?>
他者の苦痛から快楽を引き出す「サディズム」の起源となり、生涯の三分の一を牢獄で過ごし、作家の肩書きのみならず、フランス革命との関係も詳細に研究され、哲学者とも言われるマルキ・ド・サド。しかし、彼が晩年に出会ったひとりの少女エミリーとの処女解禁の時、自らはその行為をせず、庭師に少女を犯させていきながら、自分にも鞭を打たせてその苦痛に快楽を覚えるサドは、マゾだったのかもしれない。

<処女喪失は性の通過儀礼>
16歳の貴族の娘エミリーは自分の残された時間がわずかだと気づく。時間は凝縮されている。もし何か経験するのなら、素早く経験しなければならない。彼がこの少女に手ほどきする関係は催眠的で、サドは彼女を支配可能な地点まで導くが、彼は彼女自身を回復させる。つまり、彼は彼女を所有しようとするのではなく、彼女を彼女自身として甦らせ、性の喜びへと導く。

<サドのため高官に体を売る最後の愛人>
サドの最後の女性マリー・コンスタンス・クズネと出会ったのは映画の冒頭から2,3年遡った時期だ。コンスタンスのことは感度のいい女の意味をこめて彼女のことをサンシーブルとよび、彼女はそのまま彼の最後の女性になった。もちろん。サドは他の女性たちともつきあった。たとえば、最後の時を過ごしたシャラントンの精神病院で、サドは15歳の少女と一緒だった。彼自身は70歳を超えていたがそれでもサンシーブルは最後まで彼のそばに居続けた。彼女は大したげ芸歴はなかったが、元女優で、国民公会の議員にも知り合いがいた。そんなわけで、彼女がサドの人生を救うために努力した。

<逞しい体だけしか持ち合わせない小作人と貴族の処女の性の雄たけび>
貴族の少女と、肉体だけの小作人の不釣合いなセックスは、永遠のテーマ。「ボヴァリー夫人」も同じ題材で、発禁本となった。そして、映画では、『ソドムの市』『エマニュエル夫人』が続く。そして、今、禁断の性哲学『発禁本SADE』が誕生した!

<イジルド・ル・べスコの淫らな魅力>
主演は『八日目』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞にも輝いた名優ダニエル・オートゥイユが文学史上最もスキャンダラスな作家サドを演じ、そのサドのターゲットとなる純真無垢な伯爵令嬢エミリーを、イジルド・ル・べスコが演じる。パトリック・ゴドーが、エマニュエル・べスコの短編『少女』に出演したイジルドは魅力的だった。そこで、彼女に閉ざされた空間の中でサドによって導かれる少女の通過儀礼を演じさせた。その少女はサドが演出している主演女優だ。

その他『そして、僕は恋をする』のマリアンヌ・ドニクール、『恋ごころ』のジャンヌ・バリバール、『天使が見た夢』グレゴワール・コランといった実力ある若手俳優が脇をかためている。監督はドフトエフスキー、ヘンリー・ジェイムズ、三島由紀夫といった文学作銀の映像化を数多く試みるブノワ・ジャコが務めている。脚本は『愛を弾く女』『ヴァンドーム広場』のジャック・フィエスキが担当した。
 

ストーリー


1794年、フランス革命が最も血塗られた局面を迎えた頃、サド侯爵は再び獄中にいた。どんな体制になろうと、時代の権力者には彼は要注意人物としか映らなかった。最高存在の崇拝を提唱する禁欲的なロベスピエールはショッキングな大ベストセラー「ジュスティーヌ」の著者‐一貴族から煽動者に転じた放蕩三昧の無神論者で“不道徳の極み”で“社会に無用”なサド‐を敵視し彼の著書を発禁し、ギロチンにかけようとした。

サドは54歳になっていた。バスティーユ、サン・ラザールといった牢獄を渡り歩いた彼にとって、現在収容されている、僧院を囚人病院に作り直した施設は、地上の楽園のように感じられた。そこにいるのは「上流社会、魅力的な女たち」・・・。そこでは貴族や詐欺師たちがなけなしの金をはたいて、命拾いをする、いんちきなサナトリウム。。
一文無しのサドが幸運を得たのは誰のおかげか?彼の最後の愛人マリー・コンスタンス・クズネのことを彼はサンシーブル(sensitive、感受性豊か)と呼んだ。(もちろん、サドは彼女の他にも女性と交流するが・・・)彼女は自分の愛する空恐ろしい男のために、国民公会議員でロベスピエールの取り巻きの一人であるフルニエを嫌いながらも身をまかす。
サナトリウムで隣り合わせになった貴族は16歳の娘、エミリーにサドと口をきくことさえ禁じた。サドは発禁された小説をもちろん匿名で出版していたが、彼の名は既に有名だったからだ。しかし、彼女はいつ殺されるかわからない日々の中で、自由に生きること、まだ知らぬ性を知らずにはいられなかった。彼女の欲望を知ったサドは馬のように荒々しく心優しい庭師を初体験の相手に選んだ。夜が更け、両親が寝静まって庭師の小屋に行く、16歳の処女エミリー・ドゥ・ランクリ。サドは彼女に性の調教をする。彼のような“不徳の教師”が、彼女を完壁な女へと変身させる・・・

ロベスピエールの脅威が忍び寄るようになると、サンシーブルがサドにしてやれることはもう何もなかった。ギロチンの刃が大量の死者を生みだし、施設の庭に掘った溝の中に死体が積み上げられていく。もはや天国は地獄へと変わっていた。歴史の風はサド、エミリー、サンシーブル、そしてフルニエの運命を弄ぶだろう。だが、この巨大な混沌の中で、この無情な作家は狂気をはらんだ透明な眼差しで、自由の限界を試す新しい実験を見つめていた・・・。

スタッフ

監督:ブノワ・ジャコー
脚本:ジャック・フィエスキ
脚本協力:ベルナール・ミノレ
製作:パトリック・ゴドー
撮影監督:ブノワ・ドゥロム
プロダクションデザイナー:シルヴァン・ショヴロ
衣裳デザイナー:クリスティアン・ギャスク
編集:リュック・バルニエ
サウンド編集:ニコラ・ナエジュレン
サウンド・エンジニア:ミシェル・ヴィオネ
ミキサー:ドミニク・ガボリオー
ライン・プロデューサー:フランソワーズ・ガルフレ
プロダクションマネージャー:カトリーヌ・ラプシャド

キャスト

サド:ダニエル・オートゥイユ
サンシーブル:マリアンヌ・ドニクール
サントゥロ夫人:ジャンヌ・バリバール
フルニエ:グレゴワール・コラン
エミリー:イジルド・ル・ベスコ
ド・ランクリ子爵:ジャン=ピエール・カッセル
コワニャール:フィリップ・デュクズヌ
クーブリエ騎士:ヴァンサン・ブランシェ
モッサーヌの頭領:レイモン・ジェローム
ギュスタン:ジャリル・レスペール

LINK

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