ロードキラー
原題:Joy Ride
この恐怖は加速する。
東京国際ファンタスティック映画祭2001出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/tokyo/
2001年1月12日スウェーデン公開 2001年3月9日全米公開
2001年/アメリカ/97分/ 配給:20世紀フォックス
2008年01月18日よりDVDリリース 2007年06月22日よりDVDリリース 2002年4月26日よりDVD発売 2001年11月23日より、ニュー東宝シネマほかにてロードショー
(C)2001 TWENTIETH CENTURY FOX
公開初日 2001/11/23
公開終了日 2001/12/14
配給会社名 0057
公開日メモ 『レッドロック/裏切りの銃弾』(92)や『甘い毒』(94)といったスリラー作品で賞賛を受けたジョン・ダール監督が、「道路と車、無線」というアナログなモチーフを用いて作り上げたコンテンポラリー・ロード・スリラーだ。
解説
アメリカのハイウェイは、
昼と夜とでその表情を変える。
大学生活はじめての夏休み——彼にとってそれは、恋人未満のガールフレンドとの関係を進展させる千載一遇のチャンスだった。しかし、厄介者の兄とクレイジーなトラツカー“ラスティ・ネイル”の出現で、甘いバカンスは血塗られた悪夢の逃避行へと一転した。
広大なアメリカ大陸を横断する直線の道路。どこまでもまっすぐに伸びる道路の脇には、雄大な山々や砂漠、農作物の畑。食事に立ち寄ったドライブインでは、チーズバーガーとフレンチフライをコーヒーで流し込み、夜になれば安っぽいネオンが輝くモーテルヘ……圧倒的な開放感にあふれたドライブツアーは、多数の映画作品に登場する印象的なモチーフだ。
その反面、大自然に囲まれたアメリカの道路は、夜になるとその表情を急変させる。たちまち車内は暗闇に閉ざされた密室の箱となり、すれ違うヘッドライトは容赦なく目にとびこんでドライバ一の意識を覚醒させる。そんな中、CBラジオ(無線)から自分を「見つめている」者の声が聞こえてきたとしたら?また、それが始終自分を監視し、追い詰めていくとしたら?
見知らぬ人聞に悪戯をしかける…
出未々からはじまったすさまじい恐怖
本作は『レッドロック/裏切りの銃弾』(92)や『甘い毒』(94)といったスリラー作品で賞賛を受けたジョン・ダール監督が、「道路と車、無線」というアナログなモチーフを用いて作り上げたコンテンポラリー・ロード・スリラーだ。なかでも「CBラジオ(市民バンド無線)」は旧時代の象徴ともいえる通信手段だが、現代を舞台にしたスリラーでも十二分に恐怖感を煽るツールだろう。自らの正体を明かさないまま「見知らぬ人間」をからかう行為は、なにもCBラジオだけで可能な手段ではない。現在でもインターネットを使って、匿名性を逆手にとった「悪戯」は後をたたない。こういった「軽はずみな出来心」はおよそ誰にでも考えつく範囲のものであり、「現実にも起こりうる充分な可能性」こそがこの物語の恐怖の土台となっている。主人公の若者たちが見知らぬトラッカーにしかけた些細な「悪戯」は、思わぬ災厄となって彼ら自身に跳ね返って<ることになる。 『ロード・キラー』は、『スクリーム』や『ラスト・サマー』のような超常的なホラーとは一線を画す、日常のほんの数センチ向こうにある、誰もが踏み込みかねないリアルな悪夢なのだ。 見えるものと見えないもの、 その両方で追い詰められる若者たち。 『ロード・キラー』は、『バニシング・ポイント』(71)や『ダーティ・メリー、クレイジー・ラリー』(74)といったカーチェイス映画の名作を祐佛とさせるアクションシーンをふんだんに盛り込みながらなさらにコーエン兄弟の初期作『ブラッドシンプル」(84)を思わせるドメスティックな心理的恐怖もフォローされている。 本作の殺人鬼(追跡者)である“ラスティ・ネイル”は、一貫してその姿を現わさず、CBラジオや道路標識、モーテルの部屋などを利用して狡猪な罠を張り巡らせていく。さらに、“ラスティ・ネイル”の巨大なトラックが若者達を執勘に追い掛け回すシーンからは、スティーブン・スピルバーグ監督による『激突!』(71)を想起させるだろう。最初は声だけ、やがて足音や物音、そしてシルエットと、「姿が見えない追跡者」がじわじわと与える心理的圧迫は絶大である。この臨場感溢れるスリルが、観る者と主人公たちとの心理を巧みにシンクロさせていく。 微妙にからまる男女の心… ヤングスター3人に今後も注目。 『ラウンダーズ』(98)でギャンブルの世界を舞台に青年の成長を描いたジョン・ダール監督の手腕は、本作でも存分に発揮されている。『ロード・キラー』は良質のスリラーであると同時に、若者たちならではの過ちや心の揺らめきを描いた青春劇でもある。 ここでは、兄フラーと弟ルイス、そしてルイスが憧れている女性ヴェナとの奇妙な三角関係が描かれている。いい加減で粗暴さを秘めた兄と生真面目で人の良い弟、5年ぶりの再会を果たした二人は、兄弟という関係にありながらどこか隔たりを感じている。彼らの奏でる不協和音が、時に物語にシニカルな笑いを生み出していく。ヴェナをはさんで対侍する二人が、殺人鬼に追われながらどのように関係性を変化させていくのかも見どころのひとつだ。 個性派俳優として巧みな演技カで厄介者のフラーを演じるスティーブ・ザーン。精桿なルックスながら内気ではにかんだ印象のルイスを演じるポール・ウォー力一。憧れの女性にふさわしい端麗さと知的なムードさらに男二人を凌ぐタフな一面も垣間見せるヴェナを演じるリリー・ソピェスキ一。今後の活躍に注目したいヤングスター3人が濃密な恐怖空間でなお、みずみずしい好演を見せている。
ストーリー
ボストンからコロラドヘ、ルイス(ポール・ウォー力一)は憧れの女性ヴェナ(リリーソビェスキー)と深夜の長電話を楽しんでいたが、ボーイフレンドと別れたばかりの彼女は元気がない。「あなたが、車を持っていれば、帰省途中に私をピックアップして大陸横断ドライブができるのに」。ふとルイスは手元のエアチケットを見つめた。“払い戻し可能”と書かれたそのチケットは翌日すぐに換金され、中古のクライスラーに変身した。
車での帰省を母親へ報告すると「好都合」の返事が返ってきた。放蕩者の兄フラー(スティーブ・ザーン)が、ソルトレイクシティで釈放されたばかりなのだ。兄を想う母の声を聞いたルイスは、フラーを迎えに遠回りを決める。ボストンとコロラドの中間にあるソルトレイクシティヘは、中一日のロスで向かうことができるからだ。
5年振りに再会したフラーは相変わらず強引な物言いで、やや内気なルイスを容赦なくまくしたてる。テールランプを修理するため寄った整備工場で、フラーは「CBラジオ」(市民バンド無線)を購入した。交信を始めたフラーは、ルイスに女性のハンドルネームを名乗らせ男を偏す悪戯を思いつく。“キャンディ・ケイン”というハンドルネームで交信した相手の男は、“ラステイ・ネイル”。不気味な声の主ラスティは見事に編され、“キャンディ・ケイン”に魅了された。ただしその悪戯は、その場限りのはずだった。
その夜、モーテルに逗留しようとしたルイスとフラーは、モーテルのフロントで怒鳴り散らす男の姿を見かける。フラーがフロントへ入ると、車内に残ったルイスの元へ無線のコールがかかった。昼間に交信したラスティの声。車へ戻ったフラーはコールに狂喜し、「モーテルへ呼び出せ」とルイスに指示する。呼び出す部屋は自分たちの隣室、17号室。先刻フロントで怒鳴り散らしていた男が逗留している部屋だ。フラーの気迫に押されたルイスは、深夜の訪問をラスティにもちかけた。
深夜、2人の耳に無気味な物音が聞こえた。隣室に人が近づいている。悪戯の成功を確信して興奮するフラーだが、ルイスは嫌な胸騒ぎを覚えた。電気を消して隣室の物音に聞き耳を立てるが、それは次第に言い争いと物騒な騒音に変化していく。翌朝、ルイスが外に出るとフラ一が警察の事情聴取を受けていた。病院へ同行させられた2人は集中治療室にいる17号室の男を見て、あまりの無惨な暴行の跡に愕然となった。
ドライブを再開した2人に・再度ラスティのコールが入る。自分は男でモーテルの一件は冗談だと告げるルイス。続いて、フラーがラスティを罵倒した。ラスティは言う…「ちゃんと固定するべきだ」…その言葉は、2人が乗っている車のテールランプを意味していた。尾行に気づいた2人はガススタンドへ駆け込み、警察へ連絡しようとする。焦てた2人は無関係のトラックをラスティと誤解し、行き止まりへ車を走らせた。誤解に気づき安心した2人の前に、今度は予期せぬ場所から巨大なトラックが姿を現す…ついに、本物のラスティが現れたのだ追いつめられ車を押しつぶされかけたとき、必死に命乞いする2人。「許してくれ!あんたで遊ぼうとしただけなんだ」…ラスティは告げる…「俺も、お前たちと遊ぼうとしただけだ」。そしてラスティは去った。
翌日、2人はヴェナをピックアップし、ネブラスカ州へ向かう。ルイスの恋心を知るフラーはさりげなくヴェナヘアプローチをかけ、泥酔しルイスが部屋で寝入ったスキにヴェナの部屋をノックした。その頃、ルイスの枕元で電話が鳴る…「彼女はお前の兄貴と、別の部屋で何をやってるんだ?」…ラステイだ。モーテルを飛び出した3人の前に、「トランクを見ろ」と落書きされた道路標識が現れる。
そしてトランクには、前日投げ捨てたはずの「CBラジオ」が何者かの手で戻されていた。
夜が明け、ドライブインに立ち寄った3人ヘラステイのコールが入る。「CBラジオ」から聞こえる女の悲鳴にヴェナは驚愕した。それは、出発前に別れを告げたばかりのルームメイト、シャーロットだったのだ。ラスティはすべてを監視していたのだ。人質を捕られた3人は、ラスティの要求に応じざるを得なくなる。指定された場所で車を降りると、突然ラスティのトラックが猛スピードで現れた。トラックへ追い立てられて畑へ逃げこんだ3人は、身長より高いトウモロコシの影に隠れて互いを見失ってしまう。そしてさんざん追い回された後、畑からヴェナの姿が消えていた。
車へ戻った2人ヘラステイのコールが入る。「隣町のモーテル、17号室へ0時ちょうどに」…その直後に、ラスティのしかけた発火装置で車は炎上してしまう。
7マイル(約11km)の距離を必死に走る2人。その頃モーテルでは、ラスティの周到な罠が準備されていた。拘束されたヴェナの前に据えられたライフル。その引き金は、ドアノブに結ばれた紐と繋がっていた。
そして、モーテルに馬区けつけたルイスとフラーが、今、そのドアに手をかけた…。
スタッフ
監督:ジョン・ダール
共同脚本:クレイ・ターバー
製作・共同脚本:J・J・エイブラムズ
製作:クリス・ムーア
製作総指揮:ブリジット・ジョンソン、パトリック・マーキー、アーノン・ミルチャン
撮影:ジェフリー・ジュア
美術:ロブ・ピアソン
編集:エリック・L・ビーソン、スコット・チェスナット、トッド・E・ミラー
音楽:マルコ・ベルトラミ
キャスト
フラー:スティーブ・ザーン
リイス:ポール・ウオーカー
ヴェナ:リリー・ソビエンスキー
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